俳優・映画人コラム

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2021年04月03日

2つの国で活躍するシム・ウンギョンの代表作3本と最新作での輝き

2つの国で活躍するシム・ウンギョンの代表作3本と最新作での輝き


映画『新聞記者』より (C)2019「新聞記者」フィルムパートナーズ

世界の映像産業もグローバル化が進み、スタッフ・俳優も国際化の時代になりました。日本人俳優が海外の作品に出演する機会も増えていますし、日本国内で活躍する海外出身の俳優も増えています。現在、日本国内で最も活躍している海外出身の俳優といえば、シム・ウンギョンでしょう。

確かな演技力を持ち、日本語の役もこなす彼女は、今最も注目すべき俳優の1人と言っても過言ではないでしょう。そんなシム・ウンギョンのキャリアと魅力を振り返ってみたいと思います。

子役時代からその才能を開花

シム・ウンギョンは、今年(2021年)で27歳となり、年齢の上ではまだまだ若手と言えますが、俳優としてのキャリアは長く、2004年に子役としてデビューしています。子役時代から人気スターであり、KBS演技大賞青少年演技賞の受賞経験があるなど、幼いころから高く評価されてきました。



そんな彼女は、主人公ナミの学生時代を演じた『サニー 永遠の仲間たち(2011年公開)』が日本でも話題になったことで日本での認知が高まります。



2014年には、主演映画『怪しい彼女』が韓国で大ヒットを記録。同作の演技で数多くの賞に輝き、日本でもヒットを記録し、多くの映画ファンに知られるようになりました。その後も、数々の話題作に出演し、人気と実力を兼ね備えた俳優として確固とした地位を築いていきます。

シム・ウンギョンは、中学生の頃から是枝裕和監督や岩井俊二監督らの日本映画に魅了されてきたそうで、2017年には日本の俳優事務所と契約し、日本での俳優活動に乗り出します。



そして2019年、彼女は舞台『良い子はみんなご褒美がもらえる』に出演。堤真一らと共演を果たし、日本語での役に挑戦。さらに主演映画『新聞記者』も公開され、日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞。外国籍の俳優として同賞を受賞する初めての快挙を達成しました。



その後も日本と韓国の両国で活動を続け、日本映画『ブルーアワーにぶっ飛ばす』やTVドラマ『架空OL日記』『七人の秘書』などに出演。2021年にも『アノニマス〜警視庁“指殺人”対策室〜』で香取慎吾と共演を果たし、物語の鍵をにぎる重要な役どころを演じています。

シム・ウンギョンの珠玉の代表作

『サニー 永遠の仲間たち』




40代となった女性が、同級生だった友人が入院していることを知り、疎遠になっていた高校時代の友人を探す物語。主人公は、その過程で青春時代の輝いていた思い出を取り戻していくのですが、シム・ウンギョンはそんな主人公ナミの高校時代を演じています。田舎から都会に引っ越してきて、訛りをコンプレックスに抱えながら、かけがえのない仲間と友情を育んでいく様子を瑞々しく演じています。絶叫したり、恥じらったり、本気で怒ったり喜怒哀楽のはっきりとしてキャラクターをコミカルに演じており、彼女のコケティッシュな魅力が大きく発揮された作品です。

『怪しい彼女』




韓国で800万人以上の観客を動員する大ヒットを記録し、日本をはじめ8言語にリメイクされる快挙を成し遂げたロマンティック・コメディ。シム・ウンギョンの名前を日本で大きく知らしめた作品で、彼女は突然20歳の身体に若返ってしまった70歳のおばあさんの役を演じています。見た目は若いのに中身は年寄りという難しい役どころを魅力たっぷりに演じ、韓国国内の演技賞を総なめにする快挙を達成。作中で歌唱を披露するシーンも自ら取り組み、本格的な歌唱力を披露しています。

『新聞記者』




東京新聞の記者である望月衣塑子氏の著書を原案に、とある官僚の自殺事件の真相を捜査する新聞記者と、内閣情報調査室(内調)の若手エリート官僚が隠ぺいされた真実を暴いていく社会派エンタテインメント映画。政権寄りの情報操作や隠ぺい工作を仕掛ける内調に抗する2人の戦いを通して、官僚の倫理観とジャーナリストの矜持を描く作品で、シム・ウンギョンは本作で、日本人の父と韓国人の母を持ち、アメリカで育った新聞記者、吉岡を熱演。複数のアイデンティティを抱える難しい役ですが、アメリカ留学経験もある彼女にはうってつけの役だったでしょう。『サニー』や『怪しい彼女』などコミカルな役柄のイメージを覆し、真実の追求に燃える気骨あるジャーナリストを見事に演じ切り、言葉を超えた確かな表現力が絶賛されました。

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