「全員がチャレンジだった…」映画『ソロモンの偽証』ティーチイン試写会レポ
編集部公式ライターのアスカでございます。
2015年2月15日(日)松竹本社の試写室にて「ぴあカード&衛星劇場&シネマズ by SHOCHIKU presents 映画は観るだけじゃない!『ソロモンの偽証 前篇・事件』と出会うティーチイン試写会&懇親会」が開催されました。
ティーチインについてはこちらを参考に→ティーチインってなに?通常の映画試写会とどう違うの?
今回は映画『ソロモンの偽証 前篇・事件』のティーチイン試写会ということで、ゲストに成島出監督と秋田周平プロデューサーにお越しいただきました。
冒頭の衝撃的な雪のシーンでの撮影秘話や全国で1万人の中から33人の新鋭キャストを選出したオーディションについて、さらに『ソロモンの偽証 後篇・裁判』に関してなど、普段はなかなか聞けそうにないお話をたっぷりお伺いすることができました!
MCはシネマズのティーチイン試写会シリーズでおなじみの映画コメンテーター・エッセイストの八雲ふみねさんです。
雪に数千万円、-20℃の環境…リアリティの追求
作品上映後、参加者の方からの質問をお寄せ頂いたのですが、試写の直後の興奮冷め止まぬ様子が伺える質問が多く寄せられました。
あの冒頭の大雪のシーンはどのようにして撮影したのかという質問に対して、成島出監督は
「12月に雪が降るのを待って撮影しました。実はグラウンドの雪はCGで、長野で塩と発泡スチロールで雪を作ったものをブルーバックで撮影しました。しかし雨が降るとすべて台無しになってしまうから、スタッフは天気予報にすごく気を使っていましたね」
と回答。雪の費用に数千万円かかったとのお話に、その金額を聞いた会場のお客さんたちは驚きを隠せない様子でした。
さらに雪について、合成であるにも関わらず役者さんの息が白い理由について成島出監督は、
「白い息に関しては本物なんです。実は、マイナス20度の冷凍庫の中に入ってもらって、もう1度同じ演技をしてもらったものを合わせました」
と回答。この作品に注がれた力の凄さに会場に来られた参加者は感嘆の声をあげていました。雪以外にも、学校で桜が咲いている様子は本当に4月に撮ったものだし、雪かきのシーンでは本当に雪かきしているところを撮ったと話されていました。
そして予告篇にも登場する、冒頭の雪のグランドに埋まっていた死体について、人形を使ったのか?という質問に関しては、
「雪は塩と綿で作りました。ですが、埋まっていた柏木卓也は人形ではなく、本人(望月歩さん)が実際に埋まっていたんです。絶対に目を閉じるなっていって、ずっと瞬きをせずに死体を演じてくれました。さすがに目に落ちる雪は無理なので、そこはCGで足しました。」
と回答。若い役者さんと監督との気迫に満ちた闘いが撮影で繰り広げられていたことが伺える話でした。成島監督は観客のみなさんがどれだけリアルに感じられるのか?作り物だと感じた瞬間に冷めてしまうので『どのシーンでも必ず1つはリアルなものを取り入れる』ことでリアルさを演出していると話されていました。
キャリアに関係なく1万人の中から33人を選出
「北海道から沖縄まで全国1万人のオーディション応募者の中からこの子たち33人を選んだ」と、14歳の中学生をキャスティングする苦労を語った秋田プロデューサー。
「芸能事務所に所属している・所属していないといったキャリアに関係なく選考し、33人の合格者のうち5人はまったく演技経験のない素人が選ばれたました。後篇では特に(井上康夫役の)西村成忠さんの成長ぶりを確認してほしい」
と熱く語っていました。オーディションで選ばれた33人の生徒役のメンバーは、撮影の1年前から長期にわたってワークショップを行い、1から演技の仕方を指導したそうです。全員がそれぞれの役を、単に役ではなくそのままの人物として演じられるように監督自ら演技指導をしていたとのこと。
ケータイ世代の乏しいコミュニケーション力に喝
登場する生徒役のみなさんは、リアル中学生であるため完全なケータイ世代。
「携帯電話のメッセージだけでコミュニケーションしてしまう彼らの演技は、最初学芸会みたいだった。それで、メッセージアプリを使うのを禁止させました。『面と向かって気持ちを相手に伝えろ』『お芝居をするな、相手の声のトーンや怒鳴り声とかで感情を感じろ』と言い続けてきました」
と成島出監督はワークショップで苦労された点について語られていました。現在の中学生でなく、物語で描かれている当時のリアルな中学生になりきるために、役者のみなさんと監督が本気で取り組んだ様子が伺えるお話でした。
神原和彦役の板垣瑞生さんも急遽会場に!
出演陣の話題が出たタイミングで、なんと神原和彦役の板垣瑞生さんが急遽登場!大きな拍手のなか迎えられました。
板垣さんは本作について「監督やスタッフのみなさん、そして役者全員と作り上げた作品なので、こころからすごいと言える映画ができたと思います」と、映画への率直な想いを述べてくださいました。
「クランクインのときは身長がこのくらい低かった」と板垣さんの肩あたりを指しながら、この短期間での成長に、成島出監督は思わず笑顔をこぼされていました。
「全員がチャレンジだった」そして、後篇に向けて
秋田プロデューサー曰く「ボリュームの関係で2部作になるというのは最初から決めていた」そうで、成島出監督は「無名の藤野涼子が、松竹の春休みとゴールデンウィークを背負うという、こんな前代未聞のことは松竹でないとできない」と笑顔をのぞかせていました。
試写後に回収したアンケートで「原作を超えるくらい面白かった」というお客さんからの声が紹介された際、会場では同じ感想を持たれた方が多かったようで拍手が沸き起こりました。
「生徒役のみんなも、自分も、プロデューサーも、全員がチャレンジだった。本当にこんなことできるの?というところからスタートした作品でした」と成島出監督がこれまでの撮影を振り返り感慨深く話されていました。
さらに2015年4月11日(土)に公開となる『ソロモンの偽証 後篇・裁判』について触れられ、
「後篇はいよいよ"校内裁判"。裁判に出ることによって彼女たちの闇が浄化されていく。今日見て頂いた前篇はこんなに暗いけど、後篇ではラストの『U2』の曲とともにハッピーエンドに向かっていきます」と成島出監督のコメントで楽しいティーチインを締めくくってくださいました。
成島出監督らを囲みながらの懇親会に参加者もご満悦
そして試写会だけではないのが当イベントの醍醐味。参加されたお客さんたちは、そのまま会場を移し、成島出監督と秋田周平プロデューサー、さらに板垣瑞生さんを囲んでの懇親会へ。
立食形式のおいしいお食事が振る舞われ、普段はなかなか体験できない貴重な時間を楽しんでいる様子でした。急遽参加された板垣さんも、熱心に参加者のみなさんと映画について熱く語っておられました。
成島出監督のサインが入った、宮部みゆきさん原作の文庫本『ソロモンの偽証』や、ぴあオリジナルのオペラグラスが当たる抽選会が行われ、監督から直接手渡し。また、参加者の皆さん全員に特製の『勝訴手ぬぐい』のプレゼントもありました。
最後には記念に全員で集合撮影。楽しい時間はあっという間でした。
ティーチイン試写会&懇親会に参加してみて
映画好きや成島監督のファンの方、原作を読んで作品に興味を持った方など、実にさまざまな参加者がいた今回のイベント。試写の際に拍手が起きたように、全ての参加者が作品そのものを素晴らしいと感じ、楽しんでいられている様子が伝わりました。
作品を観ただけでは知ることができない裏話をたっぷりお聞きすることができ、映画『ソロモンの偽証』に対する興味が一段と増しました。
『ソロモンの偽証 前篇・事件』はもう1度観て、今度はじっくり目を凝らしてチェックしながら観てみたいです!また、いよいよ問題の解決に向けて校内裁判を実施することになる『ソロモンの偽証 後篇・裁判』(4月11日公開)も楽しみに待ちたいと思います。
映画『ソロモンの偽証 前篇・事件』はいよいよ明日2015年3月7日(土)より公開です!
映画『ソロモンの偽証』オフィシャルサイト
(文・アスカ)
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