映画コラム

REGULAR

2015年08月14日

インディペンデント映画ならではの『Dressing Up』のユニークな映像セカイ

インディペンデント映画ならではの『Dressing Up』のユニークな映像セカイ



インディーズから生まれた新たな才能たち


監督の安川有果は撮影当時25歳。自主映画活動の中、大阪市が立ち上げたCO2(シネアスト オーガニゼーション・大坂エキシビジョン)の企画募集において、黒沢清や山下篤弘に選出されて、今回初の長編映画を監督することになりましたが、その豊かな映画的感性によって第14回TAMA NEW WAVEコンペティション部門グランプリを受賞。
ヒロイン育美を務めた主演の祷キララは撮影当時は小学校6年生でしたが、触れたら壊れそうなか細さと、逆にこちらが壊されそうなオーラの強さをもって、CO2新人俳優賞、田辺・弁慶映画祭・映検女優賞、TAMA NEW WAVEベスト女優賞を受賞しています。

こういった才能は、商業映画からはなかなか輩出できない、インディーズという自由な映画作りの中からこそ育まれてきたものでしょう。また本作の助監督だった清水艶は今年『灰色の鳥』を監督、制作の草野なつかが監督した『螺旋銀河』もまもなく公開されます。一つの作品から広がっていく映画的次世代のネットワークは、これからも注目し続けておいて損はありません。

誰もが持ちえる心の中のモンスターと、人はどうつきあっていくべきか、永遠に答えは出ないであろうが、それでも提示せずにはいられない作り手側の衝動が、痛いほど見る者に伝わってくる作品です。新人若手ゆえのつたなさも今だけの初々しい魅力として、強く一見をお勧めします。

■「キネマニア共和国」の連載をもっと読みたい方は、こちら

(文:増當竜也)

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