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『マッドマックス 怒りのデス・ロード』ファン必見の チェコ人形劇映画『クーキー』!

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■「キネマニア共和国」

今年の夏、大いに盛り上がった映画の中に『マッドマックス/怒りのデス・ロード』がありますが、そんなカルト的人気を得た快作も、まもなく各地のロードショーは終了予定。しかし、そんなマックス・ファンにこそ、今からでも見ていただきたい作品がありまして……。

《キネマニア共和国~レインボー通りの映画街 vol.18》

チェコの人形劇映画『クーキー』に要注目!

クーキー_メイン

操り人形によるパペット映画の快作!


『クーキー』は基本、実写を背景にしながらピアノ線で人形を操り、ポストプロで線をCGで消し、また部分的にコマ撮りアニメの技法も取り入れたパペット(=人形)映画です。

ストーリーは、持ち主である少年の喘息によくないという理由で捨てられてしまった古いピンクの人形クーキーが、少年のところへ戻るべく、ゴミ捨て場から脱出し、森の中をさまようサヴァイヴァル・アドベンチャー。
クーキー_サブ①

クーキーが森の中で出会う数々の妖精や精霊など、クリーチャーの不気味でユニークな造型の素晴らしさもさながら、よくぞまあここまでと唸らされるほどのパペットの動きの妙、さらにはカーチェイスや川下りなどのダイナミックなアクションもふんだんに用意されており、一見ほのぼのとしたテイストの中、意外にヴァイオレンスな要素をあちらこちらに覗き見ることができます。

監督はヤン・スヴェラーク。アカデミー賞外国語映画賞を受賞した名作『コーリャ 愛のプラハ』(96)や、英国空軍に入隊したチェコ人パイロットの運命を描く戦争映画『ダーク・ブルー』(01)などで知られるチェコ映画界の才人ではありますが、その作風にはどこかファンタスティックな情緒がベースにあることを、今回の『クーキー』を通して今さらながらに気づかされてしまいました。

チェコ映画が持つファンタジーの伝統


クーキー_サブ②

チェコ映画には古くからカレル・ゼマン、イジー・トルンカ、ヤン・シュヴァンクマイエルなどの名匠たちによる人形や切り紙、版画、粘土などを用いたアニメや特撮のファンタスティック映画の伝統があり、スヴェラーク監督もその影響下で創作活動を続けてきたと思しく、ついにジャンルそのものとしてのファンタジーに真っ向から挑戦したのが、この『クーキー』なのでした。

チェコ本国では『トイストーリー3』を上回るヒットとなったようですが、ハリウッド・ファンタジーと大いに異なり、チェコなどの東欧ファンタジーには空想の魔力とでもいうべき闇の描出が不可避で、本作でも主な舞台となる森の中がどこか不気味な魅力を携えています。
チェコの人々にとって、森は神聖な場所であり、そういったアジール性を描いたものも多数ありますが、『クーキー』もその例に漏れません。
クーキー_サブ③

また、捨てられたクーキーの冒険そのものが、実は少年の妄想からもたらされたものであったのかもしれませんが、そう解釈していくと、また別の意味での悲しきダーク・ファンタジーとしての一面も見出せることでしょう。

現在ではファンタジーを現実逃避のジャンルであるとする意見があり、確かにそういった作品もなきにしもあらずですが、それでも優れたファンタジーは弱者の夢であり、自由な空想の翼を羽ばたかせる希望ではないかと私自身は捉えていますし、逃避などと考えるよりもその方が得策ではないでしょうか。
クーキー_サブ④

さて、こういったテイストの中から醸し出される情緒は、画のトーンも含めてどこか『マッドマックス/怒りのデス・ロード』をあちこち彷彿させてしまいますが、なぜと問われても、これはもう「百聞は一見にしかず」としか言いようがありません。

思えばオーストラリア出身のジョージ・ミラー監督も子豚を主人公にした『ベイブ』を製作するなど、従来のハリウッド映画とは一味違うファンタジー映画も得意とする名匠。
チェコとオーストラリア、まったく異なるお国柄ながら、ファンタジーの奥に潜む闇を見据える視線は共通するものがあるのかもしれません。
(本作をミラー監督に見ていただき、ぜひとも感想を聞いてみたいものです)

ハリウッドやディズニー、さらには日本のアニメなどとも大いに異なる東欧ファンタジーは、はまったが最後、と二度と抜けられなくなるほどに魅力的です。ぜひとも大いにはまっていただきたいものです。

『クーキー』公式サイト
http://kooky-movie.com/

(c)2010 Biograf Jan Svêrák, Phoenix Film investments, Ceská televize a RWE.

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(文:増當竜也)
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