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2015年12月16日

ラスト2本! 中村吉右衛門版「鬼平」が主演150作フィナーレ

ラスト2本! 中村吉右衛門版「鬼平」が主演150作フィナーレ


プロデューサー・能村庸一さんコメント


番組のプロデューサー・能村庸一さんからもコメントが届いています。
『鬼平犯科帳』が放送を開始した平成元年は1980年代最後の年でもあり、〈ベルリンの壁崩壊〉など世界に大きな変革の見られた年でした。また国内では〈バブル〉と共に〈トレンディ〉が流行語で、若者たちが久々にテレビに戻った一方で時代劇人気が低迷し、フジもレギュラー編成を休止していた頃です。そんな中での正統派時代劇の復活は勇気ある決断として世間の注目を浴びておりましたから、図らずも番組のプロデューサーを命じられた私としては、大きな期待と共にチョッピリ不安もありました。

しかし番組がスタートするや、幸いにも視聴率は回を重ねる度に上昇し、作品のクオリティの高さが各方面から評価されました。

中でも原作者からの再三に及ぶ要望に応え、満を持して登場した中村吉右衛門丈の長谷川平蔵は、本格的な時代劇を渇望していたファンや池波正太郎作品の愛読者から絶賛されましたし、そのスタイリッシュな名演は多くの女性層を魅了しました。また、〈善と悪とは紙一重〉といった池波哲学が若者の共感を呼びましたし、熟年層では、平蔵の配下への接し方に学ぶものがあるとして、いわゆるエグゼクティブの方たちにも人気の番組となりました。

『鬼平』を取り巻く密偵や与力・同心などを演じた多彩なレギュラーにはそれぞれのファンが付きましたし、他番組ではめったに見られない大物ゲストも話題でした。さらに、江戸料理の権威に御指導頂いた日本の食文化へのこだわりや、四季の彩りで構成したエンディングのタイトルバックとそこに流れるジプシー・キングスのテーマ曲など、様々なチャーミング・ポイントが〈鬼平現象〉とも言うべきブームを呼んだのでした。

そんな名番組を足掛け10年で終了したのは原作が尽きかけたからに他なりませんが、断腸の思いでした。やがて、“同窓会のつもりで一度やってみたい”との声が上り、二時間スペシャルを制作したところ、その『大川の隠居』が好評で、もう一度、さらにもう一度と回を重ねて今日に至りました。

いま、私が何より思うこと。それは、歌舞伎界を背負う重鎮として超多忙な中で鬼平を演じ続けて下さった中村吉右衛門丈を始め、それぞれの持ち役をかくも長きにわたり、ライフワークのごとく勤めて下さったキャストの皆様への感謝の気持ちです。

そしてもう一つ、あえて申し上げたいのは、私共この番組に関わった全ての者たちの幸せです。『鬼平犯科帳』の制作に携わったことは多くの感動をもたらしてくれましたし、誇りでもありました。それを支えて下さったのは他でもない、『鬼平』を愛する全国の視聴者の皆様であることは今さら申し上げるまでもありません。

平成という時代と共に歩んだ『鬼平犯科帳』。来年夏に制作予定の150作目で、七度目のオリンピックイヤーを迎えることになります」

(文/奥野大児)

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