あなたは知ってた?「日本映画 原点の地」は京都のここ!
「日本映画 原点の地」というと、映画館ができたことなのか、映画が公開されたことなのか、あまりイメージが沸きませんが、ズバリ「始めて映写実験が行われた場所を日本映画 原点の地」と定義して今回は文章を進めていきたいと思います。
世界最初の映画、つまり「映画の原点」とされるのは、”映画の父”と言われているリュミエール兄弟が発明した「シネマトグラフ」というものです。これが日本に輸入され、実際に映写実験が行われた場所、それが京都にある「立誠シネマ」なのです。
立誠シネマとシネマトグラフの歴史
立誠シネマが開設されたのは2013年。「日本映画 原点の地なのになぜ?」と思う方もいらっしゃるでしょう。実はこの場所はもともと小学校で建物は1928年から存在しています。
「立誠」は、立誠小学校から受け継いだ名前で、1993年までは小学校として実際にここに通う子供たちがいました。
リュミエール兄弟がシネマトグラフを発明したのは1895年。このシネマトグラフとは、撮影と映写の機能を持ち合わせた複合映写機です。弟のルイが監督を務めた50秒ほどのモノクロ無声ドキュメンタリー『工場の出口』が初上映作品となりました。
1895年12月28日にパリのグラン・カフェにて初めてシネマトグラフを用いた映画の有料公開が行われ、今ではこの日が「シネマトグラフの日」とされています。
その後輸入され、日本で初めての映写実験が立誠シネマで行われたのが1897年です。関西電力の前身である京都電燈が映写実験に携わりました。
この年には1897年の日本では俳句の雑誌『ホトトギス』が創刊され、世はまだ明治時代。歴史の教科書に載っていた、リアルな想像が難しい時代に映画が作られたようです。
京都ではこの年、現在の京都大学である京都帝国大学が開校しており、地域としても栄えていたことがうかがえます。
実際に足を運んでみた
シアターは3階にあるので、階段であがります。登っていると背景に見えるのが、かつての運動場。誰もいない運動場で、テニスのネットがよれていたのが、なんとも物悲しい雰囲気を醸し出していました。
掲示板には映画のポスターやイベント情報が掲載されています。シアターは元・教室の一室を使用しており、待合室も教室。小学生が使用していたイスが並べられています。教室に入るとすぐにスタッフの方が常駐しており、そこで映画のチケットを購入します。平日だとお客さんがおらず、シアター貸切状態で映画を見ることも。
さらに、他の階では、近くの学校の展示物を飾るイベントが行われていたり、立誠の歴史を振り返るパネルがあったりします。時期によってイベント内容はことなりますが、立ち寄ってみると楽しいかもしれません。
階段の段差が低く椅子もかなり小さかったり、教室一つひとつに「家庭科室」といった掛札があったりするので、本当に小学校だったんだということがわかります。
元・立誠小学校は、シネマの営業時間であれば自由に出入りができるので、いつでも訪れてみてください。
目の前にある高瀬川も、季節によって雰囲気を変え、風情のある景色が楽しめますよ!
立誠シネマ
所在地:京都市中京区備前島町310-2(木屋町蛸薬師下ル)元・立誠小学校 南校舎3階
・阪急京都線「河原町駅」1番出口から北に徒歩3分
・京阪線「祇園四条駅」4・5番出口から北西方向に徒歩5分
・京都市バス「四条河原町」各停留所より徒歩5分
公式HP:http://risseicinema.com/
他にもある京都の素敵なミニシアター
京都には立誠シネマの他にもいわゆるミニシアターといわれる劇場が2つあります。。
京都シネマ
京都と大阪をつなぐ阪急電車で一駅分の四条烏丸すぐにある「京都シネマ」。
COCON烏丸の3階にある京都シネマには3つのシアターがあり、連日賑わっていることが多いです。京都にある3つのミニシアターのなかで最もアクセスしやすいのも、魅力的です。
シアター数が多いため、同時に10作以上の映画を公開しているので、自分の都合に合わせて訪れやすく、平日の夕方ごろや休日は満席になることもあります。
頻繁に行っている『京都シネマ名画リレー』では、見逃した作品を見ることができ、昔の作品の上映もあります。
映画のイベント情報などのパンフレットもたくさん置いてあるので、映画情報を集めたい方もぜひ訪れてみて。
公式HP:http://www.kyotocinema.jp/
京都みなみ会館
京都駅から徒歩20分ぐらいの場所にある『京都みなみ会館』。
シネマの入り口が狭く、2階に位置しているので初めて行く場合は迷う方が多いようです。
京都では唯一、オールナイト上映を行っている映画館でもあります。直近だと2月27日に開催予定。4つの作品が、前売り2200円、当日2500円で見られるので超お得で満足度の高い上映になります。
シアターはひとつで、席数が他の2つのミニシアターと比べ、圧倒的に多くなっています。世界各国の映画が上映されており、日本の映画も多数あって、毎日通いたい隠れ家的な存在です。
公式HP:http://kyoto-minamikaikan.jp/
どのシアターも、映画の上映スケジュールや、上映予定の作品はHPにピックアップされているので、訪れる前に一度見ておくことをおすすめします。また、値段もそれぞれなので注意が必要です。
京都には映画館が多数ありますが、中でも今回紹介した3つのミニシアターは、建物や手売りのチケットなどレトロな気分を味わう経験ができます。
日本の映画原点の地を訪れて、その歴史の長さを噛みしめるのも良し、駅チカで空いた時間にふらりと立ち寄るも良し、オールナイト上映を楽しむのも良し。
それぞれの生活スタイルに合わせられる映画館は、これらミニシアターだけ。
ぜひ一度、訪れてみてはいかがでしょう。
(取材・文:kamito努)
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。