『ズートピア』監督が語った、この世界観を思いついた「きっかけ」とは?
大ヒットとなった3つの大きな理由とは?
——本作は世界中ですでに大ヒットを記録しています。ここまで世界の人に受け入れられたのには、どのような理由があると思いますか。
クラーク・スペンサー氏(以下、クラーク) 大きな3つの理由があると思います。
ひとつ目は“世界観”です。非常に複雑かつ、ディテールもしっかりしているので、そこに惹かれる方はきっと多いでしょう。そのスケールの大きさは、ディズニー史上もっとも大きいものと言ってもいいでしょう。
ふたつ目は“観ていて楽しい”ことです。本作にはディズニーでは珍しい“事件の捜査”というミステリーとしてのおもしろさがあるのです。主人公のジュディとニックの関係などを描いた多層構造の物語も、高く評価していただいた理由のひとつでしょう。
3つ目は“できることは、世界から押し付けられるものではなく、自分で見つけるものである”というメッセージにあると思います。このメッセージが多くの方に響いたのではないでしょうか。
日本人スタッフが実現した夢とは?
——ウサギのジュディと、キツネのニックのキャラクターがとても魅力的でした。ふたりがどのように誕生したのか、教えてください。
バイロン ジュディは純真で、正義感に溢れた女性です。一方で、力強さや運動神経のよさも表現しなければならなかったので、けっこう苦労したところがありますね。彼女は、出会った瞬間から好きになれるキャラクターになったと思います。
ニックは世の中を冷めた目で見ているような “皮肉屋”なのですが、カリスマ性がなくてはいけないというプレッシャーがありました。彼はずる賢いところがあるのですが、ジュディによっては良いパートナーになれる、というキャラにしたかったんです。
一見正反対のようなふたりですが、じつはある共通点もあったりします。映画では、ふたりの友情、タッグを組んで夢を叶えていく様子が描かれていますので、ぜひ楽しみにしてみてください。
——ジュディが“親元から離れてひとり立ちをする”様子など、多くの方が共感できるシーンがたくさんありましたね。
バイロン 映画の素晴らしさには、自身をキャラクターに投影して、“まるで自分のようだ”と思うことができることにもあります。この物語がたくさんの日本人に共感していただけるのであれば、これほど作り手としてうれしいことはありません。
また、ディズニーには宮崎県出身の女性スタッフがいます。彼女は小さい頃からずっとディズニーで働くことを夢見ていましたが、周囲からは「そんなのできっこない」と言われていました。その彼女が決して諦めずにアメリカに渡り、ジュディと同じように夢を実現させたことは、本当に素晴らしいことです。
リッチ そういえば、日本では『ズートピア』が新入学、新生活を始められる春に公開されるんですね。ジュディのように故郷を離れてひとり暮らしをすること、第一歩を踏み出すということは、多くの日本人に共感していただけると思います。
また、本作では“世の中はそんなに甘くない”、“厳しい現実に直面する”ということも描いています。それでもジュディはがんばるのですが、やがて自分の弱さにも向き合って行きます。いままでのディズニーヒロインにはなかった、 “自己発見の旅”を見届けてほしいですね。
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