加藤泰監督作『ざ・鬼太鼓座』ベネチア国際でワールドプレミアを実施
9月6日に第73回ベネチア国際映画祭クラシック部門で、加藤泰監督作『ざ・鬼太鼓座』(おんでこざ)デジタルリマスターのワールドプレミア上映が行われた。
『ざ・鬼太鼓座 デジタルリマスター』ワールドプレミアを実施
(C)1989「ざ・鬼太鼓座」製作委員会
1981年製作の『ざ・鬼太鼓座』は、一般に広く公開されず幻の映画とされてきた作品で、世界的名匠・加藤泰監督の遺作となった、異色のドキュメンタリー映画。佐渡ヶ島で太鼓を鳴らし続ける芸能集団「鬼太鼓座」の若者たちを撮影した本作が、35年の時を経て、加藤泰監督生誕100年の2016年に、35mmネガフィルムを4K解像度でスキャンし、2Kでデジタルリマスター作業を行い、今回の上映となった。
左からヴェネチア映画祭ディレクター アルベルト・バルベラ、小松士恩
イタリア・ベネチアで開催された「第73回ベネチア国際映画祭」のクラシック上映会場Sale Giardinoにて上映された本作。
約200名の観客から盛大な拍手で迎えられた松竹株式会社メディア事業部コンテンツ版権室海外版権課の小松士恩は「(本作は)1981年に完成しましたが、さまざまな理由で、ほとんど上映の機会がありませんでした。35年たって、デジタルリマスター版を本日、ワールドプレミアをできることは、大変光栄です」と挨拶をすると「デジタルリマスターの監修をお願いしたひとり、本作の脚本と助監督を担当した仲倉重郎さんから、2点皆さんにお伝えしてほしいと言われました」と続け以下のように話した。
「1つめは、本作は、和太鼓の演奏を中心とする若者の集団『鬼太鼓座』の“記録映画”ですが、脚本と画コンテに基づいて撮影されています。ご存じかもしれませんが、加藤泰監督のデビューは、第二次大戦中の記録映画で、本作は、現在イメージする“ドキュメンタリー映画”とは違い、撮影所のセットも利用し、演技指導もしています。
2つめは、多様な演奏場面の撮家は、全て同時録音で、アフレコやプレスコはしていません。ライブ音にこだわった監督の意向が強く反映されたからです。ヴェネチア映画祭ディレクターのアルベルトさん、ヴェネチアクラシック担当のステファノさん、本日の上映のために、尽力して下さったヴェネチア国際映画祭のスタッフの方々、ご来場の皆様にあらためてお礼申し上げます」(小松士恩)
製作当時の横尾忠則氏デザインによる「ざ・鬼太鼓座」ポスターを前に、左から小松士恩、ヴェネチア映画祭クラシック部門ディレクター ステファノ・フランチェディチェリ
『ざ・鬼太鼓座』デジタルリマスターは、2016年11月19から開催される第17回東京フィルメックスにて、ジャパンプレミア上映が決定している。
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