映画ビジネスコラム
『ファンタスティック・ビースト』が初登場1位!今週の全米興収ランキング速報![11/18・19・20版]
『ファンタスティック・ビースト』が初登場1位!今週の全米興収ランキング速報![11/18・19・20版]
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全米興収ランキング(11/18〜11/20)
1位(NEW)『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』
2位(↓)『ドクター・ストレンジ』
3位(↓)『Trolls』
4位(↓)『メッセージ』
5位(↓)『Almost Christmas』
6位(↓)『Hacksaw Ridge』
7位(NEW)『The Edge of Seventeen』
8位(NEW)『Bleed for This』
9位(↓)『ザ・コンサルタント』
10位(↓)『Shut In』
(速報値/Box Office Mojo参照)
計8作品で全世界興収77億ドルという、途方もない興行成績を誇る『ハリー・ポッター』シリーズから新たに生まれた新シリーズの第1作目、『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』が4000スクリーンを超す超拡大スタートを切った週末。
もちろんのこと、何の危なげもなく1位を飾ったわけだが、その数字にはやや不満が残るところか。週末3日間で7500万ドル(速報値)という数字は、『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』(7710万ドル)を下回る、J.K.ローリング原作作品としては最低の滑り出し。もっとも、メインシリーズにやや劣るという点においては、スピンオフ作品として成功しているとの見方もできる上、批評面でも好意的な意見が集まっている。ただ、これが全5作のシリーズになると、何らかのテコ入れがない限り、ある程度の尻すぼみは危惧しておかなければならないだろう。2作目は2018年の同じ週の公開が既に決まっている。
先週の上位陣はひとつずつランクを落としただけに留まり、いずれも先週比50%程度の興収に踏みとどまる。あらゆるフランチャイズの中で、世界興収が唯一『ハリー・ポッター』シリーズに上回っているMCUの『ドクター・ストレンジ』は、来週末には国内2億ドルに到達することは間違いないだろう。
(C)2016 Marvel
また、来週公開の『モアナと伝説の海』に客層もスクリーンを奪われる可能性が高い『Trolls』は金曜日にようやく1億ドルを突破。同じマイク・ミッチェル監督の『アルビン3 シマリスたちの大冒険』超えはもちろんのこと、同じように50年代からの人気キャラクターのアニメ化作品として、昨年の同時期に公開された『I LOVE スヌーピー』を上回ることもほぼ確実になった。
『トゥルー・グリット』でのアカデミー賞候補からはや6年。すっかりスターに上り詰め、歌手としても活動するようになったヘイリー・スタインフェルド。彼女の主演作『The Edge of Seventeen』は新たなティーン映画の金字塔として絶賛されているのとは裏腹に、苦しい出だしとなった。
また、マーティン・スコセッシが製作を務め、マイルズ・テラーが自動車事故から奇跡の復活を遂げた伝説のボクサー、ヴィニー・パジエンザを演じた『Bleed for This』も、ベストテン圏内に滑り込んだものの、超大作とのバッティングの影響を大きく受ける結果に。
一方で、小規模公開作は健闘が目立つ。何といっても今年の賞レースの台風の目として注目されるケネス・ロナーガンの『Manchester by the Sea』が、4館のみの上映でありながら、速報値で21位に入る大健闘を見せた。1館あたりのアベレージは6万ドル超え。ロッテントマトでも99%を獲得する賛辞を集め、アカデミー賞作品賞候補が一歩近付いた。
ヴェネツィア国際映画祭で大絶賛を浴び、銀獅子賞(審査員大賞)に輝いたトム・フォードの『Nocturnal Animals』も37館の小規模公開でベスト20位以内に初登場を果たす。こちらはアベレージ的にも批評的にも、賞レースの参戦にはまだパンチが足りないか。
先週初登場を果たしたアン・リーの『ビリー・リンの永遠の一日』は、一気に1000館以上の上映館を増やしたものの、伸び切れずに、賞レースからは一歩後退。対してバリー・ジェンキンスの『Moonlight』は今週も上映館を増やし、確定値でベストテンに入る可能性も充分に見えてきた。今年のアカデミー賞はインディペンデント作品から目が離せない。
来週は、ディズニーアニメーションの最新作『モアナと伝説の海』のほか、13年前のサプライズヒット作の続編『Bad Santa2』、ロバート・ゼメキスがブラッド・ピットとマリオン・コティヤール主演で送る戦争ロマン『Allied』が公開となる。
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(文:久保田和馬)
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