『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』の魅力、そして音楽!

■「映画音楽の世界」

ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅 012


(C) 2016 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.Harry Potter and Fantastic Beasts Publishing Rights (C) JKR.


みなさん、こんにちは。11月23日より『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』が公開となりました。子供から大人まで誰もが夢中となったハリー・ポッターシリーズの、初の外伝作品。とはいえシリーズ原作のJ・K・ローリングが脚本と製作を兼任し、監督はシリーズ5作目の『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』から最終章『ハリーポッターと死の秘宝』前・後編を監督したデビッド・イェーツという十分すぎるほどの布陣(ちなみにイェーツ監督は初夏に『ターザン リボーン』も公開しているのでこの規模の作品をこんな短い期間で撮ってしまうとは!)。

今回の「映画音楽の世界」では、そんな『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』を紹介したいと思います。

https://m.youtube.com/watch?v=piMCY7szdPw

新章に相応しい新たな登場人物たち


本作はシリーズ外伝ということで、時系列としてはハリーたちが魔法学校で活躍するよりもずっと前、ハリーたちの教材である「幻の動物とその生息地」の著者であるニュート・スキャマンダーがとある目的のためニューヨークに降り立ったところから物語は始まります。

成績優秀でありながらその性格と行動にやや難ありの主人公、ニュート・スキャマンダーには、オスカー受賞でいまや押しも押されぬ人気俳優となったエディ・レッドメイン。トランクから魔法動物が逃げ出したことでそれを必死に追いかけるニュートの姿はおっちょこちょいでありながら動物をこよなく愛する優しい性格がにじみ出たものに。

そんなニュートとひょんなことから行動を共にすることになるのが、マグル=至って普通の人間であるジェイコブ・コワルスキー。魔法を使えないどころか魔法の存在すら知らない彼は言わば観客の代弁者であり、魔法動物のためなら魔法をバンバン繰り出すニュートやニューヨークに住む魔法使いたちの姿を目の当たりにして目を丸くする様子は純粋そのもの。魔法使いとマグルの橋渡し的なポジションでありその愛くるしい見た目やひょうきんな性格に、観客は同じ目線としてのキャラクターという感情を超えて、きっと誰もが惚れ込んでしまうはず。物語の中で意外にも?恋愛パートを担当する辺りもJ・K・ローリングからの嬉しいプレゼントなのかも。

一方で、人間界と魔法界の混乱を企む影がずっと映画のトーンを支配するのはメインシリーズ同様。どうやらダンブルドアとも深いつながりを持つというグリンデルワルドがその渦中にいる様子。──演じるのはあの名優にして怪優のアノ人なのでお楽しみに(未見かつ情報を知らない方のためにここはまだ伏せたままに)。

本作ではニュート以外にも、アメリカの魔法使いであるティナ姉妹やコリン・ファレルが減量してまで挑んだグレイブスらが魔法の大盤振る舞いで、これぞファンタジー映画の醍醐味。観客の待ち望む「魔法や魔術が存在する世界」を、イェーツ監督とJ・K・ローリングは的確なまでにスクリーンに表現して見せています。

FANTASTIC BEASTS AND WHERE TO FIND THEM


(C) 2016 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.Harry Potter and Fantastic Beasts Publishing Rights (C) JKR.



あのテーマ曲も? 音楽も新たな冒険へ


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本作の音楽を担当したのは、ジェームズ・ニュートン・ハワード。『逃亡者』やハンス・ジマーと共作した『ダークナイト』の音楽が有名ですが、近年は『スノーホワイト』シリーズや『ハンガー・ゲーム』シリーズ、『マレフィセント』など、よりファンタジー大作への登板が続いている作曲家でもあります。

ここでハリー・ポッターシリーズの作曲家を振り返ってみると、1作目~3作目までがジョン・ウィリアムズ、4作目がパトリック・ドイル、5、6作目がニコラス・フー、最終章がアレクサンドル・デスプラと受け継がれていますが、やはり全作に共通しているのはジョン・ウィリアムズ作曲のテーマ曲。本作でも外伝ということで前面に出ることはありませんが、耳を澄ませているととあるシーンでそのフレーズが使われているのもファンには嬉しいところ。

序盤からジェームズ・ニュートン・ハワードらしい厚みと感情の込められたオーケストラで新シリーズの幕開けを祝う音楽となっており、物語が進むにつれボルテージが上がって行き聴き応え十分。本作公開前から続編へ引き続き登板が決まっていることから製作陣からの信頼も厚い様子。今回のサウンドトラック盤は国内盤、輸入盤、輸入盤のみのデラックスエディションの三種類が発売されています。

FANTASTIC BEASTS AND WHERE TO FIND THEM


(C) 2016 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.Harry Potter and Fantastic Beasts Publishing Rights (C) JKR.



まとめ


前述のように、なんと公開前から続編製作が決定したという完成度の『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』。確かにこの作品の持つ世界観やパワーは映画ならではのファンタジーの醍醐味が詰まったもの。どれだけ大人になっても魔法の世界は憧れで、子供が見れば不気味な魔法に恐怖を覚えたり。さまざまな形で観客に「夢」を与えてくれる作品であり、なおかつ今回は魔法動物の愛くるしさまで堪能できてしまう(そしてジェイコブの恋の行方にも胸をときめかせる)、満足の一本となっています。

さぁ、新たな魔法の旅に出かけましょう。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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(文:葦見川和哉)

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