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2017年01月13日

ハリウッドのアンチヒーロー新たな名前が!『ザ・コンサルタント』クリスチャン・ウルフとタイプ別アンチヒーロー!!

ハリウッドのアンチヒーロー新たな名前が!『ザ・コンサルタント』クリスチャン・ウルフとタイプ別アンチヒーロー!!

ベン・アフレックが止まらない!

97年、大親友のマット・デイモンと組んだ『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』で大ブレイクし、共同で執筆した脚本で(タイタニック大旋風の中)アカデミー賞を受賞、一躍若手トップスターの仲間入りを果たしたベン・アフレック。また『アルマゲンドン』『パール・ハーバー』などの超大作に出演したものの、その後一時期の作品の不評・不振、私生活のゴシップネタなどが続いて“ちょっとイタイ”存在になりつつありましたが、2007年に初メガホンをとった『ゴーン・ベイビー・ゴーン』が高評価を受けて、映画作家としての新しい顔を見せたことでキャリア復活し、その勢いのまま監督第三作『アルゴ』でアカデミー最優秀作品賞を受賞。今やハリウッドを代表する映画作家となりました。ちなみに、親友マット・デイモンも一時期伸び悩み時期がありましたがこちらは“ジェイソン・ボーン”シリーズでアクションスターとして新境地を切り開きこちらも壁を乗り越えました。 そんなベン・アフレックの最新作が正体不明の謎だらけの男を演じたサスペンス・アクション『ザ・コンサルタント』。 今作では表の職業は片田舎の会計コンサルタント、裏の本業は腕利きの殺し屋というアンチヒーローを演じています。 改ページタイプ別アンチヒーロー!各種!! 一口にアンチヒーローといっても様々なタイプがいます。そこで、簡単に4種類に分けてみました。

【正義の限界痛感型】

悪は裁かれなくてはいけません。しかし、その裁きの基になる法と正義がおよばないとき、裏の顔を持つ男たちが動き出します。ヴィジランテ(自警団)などとも呼ばれる男たちです。 現在はベン・アフレックが演じている『バットマン』=ブルース・ウェインなどはその代表例でしょう。表の顔は大富豪のプレイボーイ、しかし裏の顔はその財力を基にした秘密兵器に身を包んだクライムハンター=ダークナイトとして活動しています。 同じような存在でこちらもベン・アフレックが演じたことがある『デアデビル』ことマット・マードックもいます。表の顔は採算度外視で弱者のために闘う盲目の弁護士ですが、夜になると特殊能力レーダーセンスを駆使した赤い悪魔となります。このヴィジランテというキャラクターはアメコミではおなじみで、『ウォッチメン』やパニッシャーなどもいます。 一方で警察という組織にいながら、枠をはみ出るキャラクターもいます。『ダーティハリー』のハリー・キャラハンはその代表例で、『ロボコップ』なども司法の場にいながらも超法規的存在なのでこちらです。『マッドマックス』のマックスも一作目ではこちらの枠に入る存在でしょう。日本でいえば必殺仕事人中村主水でしょうか?

【境界線彷徨型】

法の正義を遂行するために敢えて悪に近づき、その境界線を彷徨・苦悩するヒーローも映画では多く登場します。役どころ的に一番多いのが“潜入捜査官”。邦画でいうとコメディ色が強いので悲壮感はありませんが『土竜の唄』シリーズもそうです。海外でも非常に多くてジョニー・デップの『フェイク』『Xミッション』としてリメイクもされた『ハートブルー』などは親しくなったマフィアをいずれ売るということに苦悩する姿が描かれます。それが潜入捜査官×潜入マフィアでキャラクター設定2乗となったものに香港ノワールの傑作『インファナル・アフェア』があります。この境界線の部分極端に拡大した映画がジョン・ウー監督の『フェイス/オフ』があります。 また、毒には毒を的な方法で常識的には司法の側にはおけないような人物に任務を託すという危険なチョイスを描くものもあって、ヴィン・ディーゼルが主役に復帰する『xXx〈トリプルX〉:再起動』などがそうです。ちなみにヴィン・ディーゼルはアンチヒーロー・ダークヒーローはお得意の役どころです。

【闇堕ち型】

例え相対する相手がどれだけ闇深きものであっても希望を捨てずに正義を信じ続けることでヒーロー側に存在し続けていたにも関わらず、闇の中に取り込まれてしまった者たちが残念ながらいます。 その代表例は文字通り“ダーク・サイド”に堕ちた男といえば『スター・ウォーズ』シリーズのアナキン・スカイウォーカーことダース・ベイダーです。『ローグワン/スターウォーズ・ストーリー』でもおいしい出番でしたが“スターウォーズサーガ”の真の主役といっていいでしょう。『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』でも遺骸が登場して孫のカイロ・レンに大きな影響を与えました。悪党集団をチームにして危険なミッションにぶつけようとする『スーサイド・スクワッド』の面々。デンゼル・ワシントンがオスカーを獲得した『トレーニング・デイ』のアロゾ。潜入しているうちに薬物に溺れ自我を失っていくキアヌ・リーヴスの『スキャナー・ダークリー』もあります。そして、サイコサスペンス・ミステリー映画でラストのどんでん返しがあってネタバレ防止のために“誰がどうした”は言えませんが、ブラッド・ピット、モーガン・フリーマン共演の『セブン』も強烈な闇堕ちが出てきます。 日本映画では『デスノート』のキラ=夜神月。新世界の神を目指していますが、実際にはダーク・サイドの住人です。

【火の粉は振り払う型】

このタイプはもはや自身が正義の側の住人でないことを分かっていて、それでいて同類から手を出されたら、降りかかる火の粉を振り払うように闘い、結果として正義の側が求める結果を生み出すタイプです。 アンチヒーロー役者ヴィン・ディーゼルの最大のはまり役『ワイルド・スピード』のドミニクは相棒のブライアン演じるポール・ウォーカーを欠きながらシリーズ8作目『ワイルド・スピード ICE BREAK(仮)』が待機中です。キアヌ・リーヴスのキャリア復活作となった『ジョン・ウィック』は愛犬を殺されただけでロシアンマフィアを壊滅寸前まで追い詰めます。完璧な運び屋『トランスポーター』のフランク、『ニューヨーク1997』とその続編『エスケープ・フロム・L.A.』でカート・ラッセルが演じたスネークもこの中に入るでしょう。コミカルなキャラクターなんで同系列に並ぶと違和感がありますが『パイレーツ・オブ・カリビアン』のジャック・スパロウもそれですね。日本のキャラでいえば座頭市かなと? 改ページそして、ザ・コンサルタント 『ザ・コンサルタント』でベン・アフレックが演じるウルフは地味な服装で几帳面すぎ、礼儀作法はしっかりしているものの、どこか若干取っ付きにくい会計コンサルタント。 地元の農家夫婦に税金対策のアドバイスをしたりする、どこにでもいるような片田舎の会計士に見えるが、その正体は世界中の闇組織のマネーロンダリングなどの資金管理を請け負う裏社会の会計士でもあった。 アメリカ財務省の捜査の手が伸びたことを知ったウルフはことが鎮まるまでの時を稼ぐために一般企業を相手にすることに。ネットワークでのみつながるマネージャーが見つけてきたのが、電子機器メーカーリビング・ロボ社の使途不明金の調査の仕事。この仕事を受けたウルフは会計の不備を発見し会社に報告します。しかし、翌日担当役員が不正露見を苦に自殺したために調査の打ち切りを告げられてしまいます。さらに武装集団にウルフ自身も襲撃されるものの、ウルフは驚異的な戦闘能力を発揮してこれを撃退。襲撃の裏側にロボ社が絡んでいることがわかると、さらに襲い掛かる暗殺者たちを倒しながら、不正会計のさらに奥にある陰謀をつぶしにかかります。 ウルフの捜査を進めていくアメリカ財務省のキング局長とその部下メディナがウルフの正体を探り始め、その秘められた過去・人間関係が明らかになっていきます。

あまりにも独創的な出自

ヒーローの出自は一からトレーニングをする部分が描かれることもあれば、出自があまり語られないこともあります。超戦闘能力を誇るクリスチャンの能力の出自はあまりにも独特です。 ウルフは自閉症スペクトラムという障碍をもって生まれ育ちました。あのハンニバル・レクター博士(この人の場合は上の4つの枠を横断した存在でしょう)を逮捕したウィル・グレアム捜査官もこの障害の一種を抱えたキャラクターでした。 そんな社会コミュニケーション障害やアスペルガー症候群、多動性障害などを抱えたクリスチャン少年の父親は自身が軍人であることもあってか、クリスチャンがいずれ誰の庇護も受けられず、過酷な社会にさらされたときに自分で自分の身を守って生きていけるように高度な戦闘訓練を施していきます。訓練の成果が実り、クリスチャンは命中率100%の射撃能力と瞬時に最短の手段で敵をせん滅する格闘術を身に着けていきます。 こんな育て方をする父親がいるのかとも思うものの、それによってクリスチャンは独創的でオリジナルな出自を持つヒーローとなりました。 身体を厚めに仕上げてきたベン・アフレックが鈍重に見えてシャープなアクションを見せるとギャップが効かせています。クリスチャンの変人ぶりを偏見を持たせない範囲内でドライな笑いに持っていくのも見事。 物語の本筋の合間に挿入される少年期のクリスチャンの姿と環境、これがクリスチャンの秘密に二重三重に絡んでくるラストも語りすぎずにエッジが効いています。 クリスチャンを追うクリスチャンとも因縁深い財務省局長にJ・K・シモンズ、クリスチャンが財務調査にはいるロボ社の技術屋肌の社長にジョン・リスゴーという曲者ベテラン俳優が両極に配されていて、どちらに寄るのが真相に近づくのか最後までわからないのもよかったです。 この後、自身が監督もする新たな『バットマン』単独主演作(犯罪映画・サスペンス映画の演出に定評のあるベン・アフレックを監督にも起用したのは慧眼ですね)を含むジャスティス・リーグモード一気に突入していくベン・アフレック。 そんなビッグプロジェクト前にベン・アフレックの新しい一面を知っておくのには『ザ・コンサルタント』絶好の品となっています。見逃し厳禁です!! (文:村松健太郎)

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