映画コラム
北朝鮮の絶望を描くドキュメンタリー映画『北朝鮮強制収容所に生まれて』
北朝鮮の絶望を描くドキュメンタリー映画『北朝鮮強制収容所に生まれて』
朝鮮半島情勢が緊迫している中で映画の紹介をすることに迷いましたが、ドキュメンタリー映画であり、そこで起きたことを描いているものなので紹介を。
タイトルはずばり『北朝鮮強制収容所に生まれて』。
脱北者申東赫(シン・ドンヒョク)さんの証言を元に構成されたドキュメンタリー映画です。
『北朝鮮強制収容所に生まれて』が描くものは?
この映画がいったい何を切り取ったドキュメンタリーなのか。公式ホームページにその説明がされているので引用にてご紹介。
北朝鮮の政治犯強制収容所第14号管理所で、政治犯の両親の“表彰結婚”の結果として生を受け、生まれながらの政治犯として育った申東赫(シン・ドンヒョク)。「北朝鮮強制収容所に生まれて」は、2005年、収容所から脱出して現在は韓国に暮らすシン・ドンヒョクの想像を絶する半生と、北朝鮮強制収容所の実態を、本人へのインタビューをもとにドイツ人監督が描きだしたドキュメンタリーです。映画は脱北した元北朝鮮の秘密警察員オ・ヨンナムと、虐待、拷問、処刑を行っていたクォン・ヒョクにも取材。衝撃的な内容に、世界の映画人が驚きの声を上げた作品です。
参照:http://www.u-picc.com/umarete/
つまり、強制収容所で生まれ育った申東赫さんの壮絶な経験を軸に、政治犯強制収容所で起こった(もしかしたら今この時も起きている)想像を絶する出来事を世界へと発信するドキュメンタリー映画というわけです。
想像を絶し、絶望感だけに支配される
この映画は申東赫さんの証言とそれを元にした当時の再現アニメーションで構成されています。
ちなみに申東赫さんのエピソードについてはクーリエ・ジャポンで記事もあるので合わせて是非チェックしてみてください。
=http://courrier.jp/blog/?p=11311
証言録の書籍化もされています。
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申東赫さんからはとても知的な印象を受けます。しかし、身体は傷跡が多数あり腕も拷問によって曲がってしまっています。身長も小さいです。
彼が心の奥底で何をどう思っているのかを私たちは知ることができません。
生まれながらに強制収容所、常に何かを強いられ我慢することばかりだった幼少期。それを刷り込まれて様々なトラウマを抱えながら生きる彼の辛さはきっと私たちが同情し理解しようとしても到底しきれるものではないのでしょう。
そして、この映画で描かれた想像を絶する悲痛な出来事はきっと氷山の一角。だからと言って私たちが個人で何かアクションを起こせるわけでもない。ただただ絶望感に支配されます。
ここまで書いてきての通りで、非常にヘヴィーな作品ではあります。しかし、知るべきことが描かれている映画でもあります。
是非チェックしてみてください。
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(文:柳下修平)
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