映画コラム
『キングスマン:ゴールデン・サークル』最高に面白い!毒っ気たっぷり、アクション健在!正月はこれでキマり!
『キングスマン:ゴールデン・サークル』最高に面白い!毒っ気たっぷり、アクション健在!正月はこれでキマり!
© 2017 Twentieth Century Fox Film Corporation
外見は高級紳士服店“キングスマン”、しかしその正体はどこの国にも属さない諜報機関だった…。
『キック・アス』シリーズのマシュー・ヴォーン監督が2014年に放ち、大ヒットしたスパイアクション映画『キングスマン:ゴールデン・サークル』としてパワーアップして帰ってきました!
舞台がさらに広がったシリーズ第二弾はどんな展開を見せるのか!?お先に鑑賞させて頂いた、その興奮を前作の復習とともにお届けします!
※本編の内容に触れていますのでご注意ください。
前作『キングスマン』をサクッと復習
ロンドンの街をぶらぶらとしていた若者エグジーの前に一人の男が現れます。彼の名はハリー。彼はエグジーを諜報機関“キングスマン”にスカウトします。
実はエグジーの父親もキングスマンであり、ハリーの命の恩人でもありました。下町でくすぶっていたエグジーは、諜報員としての厳しい訓練と英国紳士としての立ち振る舞いを身に着けていきます。
© 2015 Twentieth Century Fox Film Corporation
そのころ、アメリカン人実業家ヴァレンタイン(サミュエル・L・ジャクソン)が表の顔に隠れて世界的な陰謀を張り巡らせていました。ヴァレンタインは通信料無料のSIMカードを世界中に配布、実はこれに特殊な信号を送ると相手はヴァレンタインの意のままに。
着々と進む陰謀、内通者の存在もあってハリーが銃弾に倒れてしまいます。エグジーはすべてを解決するためにヴァレンタインの本拠地に潜入し、陰謀を寸前のところで防ぐのでした。
© 2015 Twentieth Century Fox Film Corporation
かつてスパイアクション「国際諜報局」シリーズで諜報員ハリー・パーマーを演じたマイケル・ケインに、キングスマンのリーダー“アーサー”を演じさせたり、主要メンバーがアーサー王と円卓の騎士を模していたりと、端端までスキのない英国ネタを盛り込まれた本作。物語の骨格も英国の定番“父と息子”“ブロマンス”となっています。
キングスマンの装いもオーダーメイドスーツ(防弾使用)に防弾傘、さまざまな情報を映し出す高級フレームの眼鏡、特殊機能満載のペン、ライター、腕時計、そして磨き上げた黒革靴でびしっとした仕上がり。
© 2015 Twentieth Century Fox Film Corporation
対するヴァレンタインはヒップホップスタイルで身を固め、脇には両足が義足剣の美女ガゼルを侍らせています。このクールな女性悪役ガゼルを演じたソフィア・プテラは本作でブレイクして『スター・トレック BEYOND』、そしてトム・クルーズ主演の『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』ではタイトルロールの砂漠の王女アマネットを演じました。
そして『キングスマン:ゴールデン・サークル』
© 2017 Twentieth Century Fox Film Corporation
ハリー亡き後1年が経ち、ストリートキッズだったエグジーも一人前のスパイに。そんな彼をヴァレンタインと内通していた裏切り者・チャーリーが襲撃。腕をロボットアームにしたチャーリーはかなりの強敵、何とか振り切ったものの何かが動き始めた予感が。
翌日、エグジーは恋人でスウェーデンの王女ティルデの両親(つまり国王夫妻!)との会食、しっかりしたところを見せるエグジーですが、そこに驚きの一報が。キングスマンの店舗、本拠地、さらにはエグジーの家まで突然のミサイル攻撃を受けて壊滅してしまうのです。
敵の名は“ゴールデン・サークル”。そのリーダーはカンボジア奥地に50年代風の街並「ポピーランド」を再現したサイコパスな女王ポピー(ジュリアン・ムーア)。
マーリンはキングスマン壊滅の危機に瀕したときに発動される“審判の日作戦”に手を懸けます。そこで手に入れたのはケンタッキー州の蒸留所の名前が記された一本のバーボン。その蒸留所こそキングスマンの“いとこ”ステイツマンの本拠地でした。
© 2017 Twentieth Century Fox Film Corporation
ステイツマンの本拠地でエグジーとマーリンは驚くべきものを見ます。それは死んだと思ったハリーの姿でした。奇跡の再会に喜ぶ二人でしたが、肝心のハリーは治療の副作用で多くの記憶を失っていました。当然二人のこともキングスマンのことも覚えていません。
はたしてエグジーはゴールデン・サークルの陰謀を防げるのか?ハリーの記憶の行方は?
毒っ気たっぷりのアクションは健在、カリカチュアライズされた英米文化、スパイ描写も痛快
© 2017 Twentieth Century Fox Film Corporation
前作の魅力は、なんといっても「英国紳士とスパイ映画の極端な再現」と「個性的なキャラクターとその装い」。
そして50代も半ばになろうかというコリン・ファースを筆頭に、観客を魅了するキレキレのアクションと、マシュー・ヴォーンが「キック・アス」でも見せたドライな毒っ気たっぷりの残酷描写。今回の『ゴールデン・サークル』でもこれは健在。さらに英米文化の違いをカリカチュアライズして描写されています。
ケンタッキー州といえばアメリカの南部。元はバージニア州の一部だった州で、ジョン・デンバーのカントリーソングの名曲「カントリーロード」の舞台ウェストバージニア州とも隣接しています。そんなわけでステイツマンの構成員はマッチョイズムが服を着て歩いているような男性が中心。みんな合わせたようにテンガロンハットをかぶっているのも特徴のひとつ。
© 2017 Twentieth Century Fox Film Corporation
ハル・ベリー演じるジンジャーは優秀ですが、黒人女性ということもあってなかなか思うとおりに活躍ができないと、マーリンに愚痴をこぼすところもあります。
このあたりスティーブン・ソダーバーグの監督復帰作『ロ―ガン・ラッキー』(チャニング・テイタム、ここではビール腹!?)でヒラリー・スワンクが捜査の陣頭指揮を執るFBI捜査官として登場できるのも、白人女性だからなのかと邪推してしまうほどです。
ちなみにこの『ロ―ガン・ラッキー』でも、『ゴ―ルデン・サークル』でもジョン・デンバーの名曲“カントリーロード”がクライマックスで思い切り泣かせてくれます。
また、カラッとした残酷描写も健在というかパワーアップ。サミュエル・L・ジャクソンが犯罪者・悪役を演じていたことを何度も観ていた中で、ジュリアン・ムーアがここまで弾けたサイコパスキャラを演じてくれるのには驚きました。
具体的に書くと文字だけでも強烈ですのであえて避けますが、ミスした人間をある機械にかけてあるものにしてしまいます。血しぶきが飛ばないので目を背けたくなったりはしませんが、よくよく考えるとかなりグログロなことをやっていす。
ステイツメンの基地のガジェットもよくできています。巨大なウィスキーの蒸留樽が実は地下基地へのエレベーターになっていたり、地雷探知機は野球のバット型、手榴弾はボール型だったりと、こまかな楽しみが満載。
典型的なスパイ映画ではお馴染みの雪山ロケもありますし、ポニーの用心棒に収まったチャーリーが機械仕掛けの身体になっているのも、かつての007シリーズを彷彿とさせます。
三部作構想もあるこのシリーズ。監督がこの作品の位置付けを例えるのに、『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』を引き合いに出していたりするので、あながち夢物語でもないのかもしれません。
(文:村松健太郎)
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