映画コラム

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2017年11月19日

『ハイロー3』を観ずに年は越せない!今すぐ劇場に走るべきその理由とは?

『ハイロー3』を観ずに年は越せない!今すぐ劇場に走るべきその理由とは?



(C)2017「HiGH&LOW」製作委員会



8月に公開された『HiGH&LOW THE MOVIE 2 /END OF SKY』に続く、劇場版最新作にしてシリーズ最終章、『HiGH&LOW THE MOVIE 3 / FINAL MISSION』が11日より遂に全国公開された。恥ずかしながら『HiGH&LOW THE MOVIE 2 /END OF SKY』の時は、過去シリーズを全く未見で劇場に足を運んでしまったが、今回はテレビシリーズと劇場版過去作を全て見返し、予習万全で鑑賞に臨んだ本作!

果たして、その結末と出来はどうだったのか?

ストーリー


琥珀(AKIRA)、九十九(青柳翔)、雨宮兄弟(TAKAHIRO、登坂広臣)が、命懸けで公開したUSBの情報により逮捕された九龍グループ総裁・九世龍心(津川雅彦)は、証拠不十分によりすぐ釈放。

打ちのめされたSWORD(山王連合会、White Rascals、鬼邪高校、RUDE BOYS、達磨一家)メンバーたちに追い打ちをかけるかのように、九龍グループ総力を結集した“SWORD壊滅行動”が遂行されていく──。

各チームの本拠地が壊滅させられる中、コブラ(岩田剛典)は一人、九龍に闘いを挑むが、逆に拉致され激しい拷問にあう。九龍の陰謀と真の目的を知った琥珀は、コブラ救出作戦を決行。一堂に会したSWORDメンバーと琥珀・九十九・雨宮兄弟たちは、遂に九龍グループとの直接対決に挑む。「これが最後の喧嘩だ!」伝説として語り継がれるSWORD最後の戦いが、いま始まる!


予告編


これこそ最終決戦!アツい男たちの総力戦に燃えた!


前作『HiGH&LOW THE MOVIE 2 /END OF SKY』の鑑賞以来すっかりそのアツ過ぎる世界にハマり、予習万全で今回の鑑賞に臨んだのだが、その結果は・・・。

もう、最高!いや、これこそ正に最上のエンタメ作品だった!

前作で登場した新たな強豪チームのプリズン・ギャングや、九龍グループの各組長など、更に登場人物を増やしながら最終章を迎えたこのシリーズだが、正直前作では増えすぎたキャラクターの紹介と、延々続くUSBメモリ争奪戦に時間が割かれ、肝心のドラマ部分が平板化してテレビシリーズの延長に思えてしまったのも確か。

だが、後述する様に今回は敵を九龍グループに絞り込み、ストーリーもより判り易く映画独自の展開を見せてくれる上に、前作でほとんど登場しなかったスモーキーが重要な役割を果たす!とくれば、これはファンで無くとも期待せざるを得ないところ。



(C)2017「HiGH&LOW」製作委員会



今までそれぞれの目的のためバラバラに闘っていた各チームが一つになり、共通の拠り所である「SWORD地区」を守るため、団結して最後の戦いに挑むその勇姿!

宿敵マイティ・ウォーリアーズと、前作で登場したプリズン・ギャングとの対決、そして黒幕である最大の敵、九龍グループとの因縁の決着はどうなるのか?そう、我々観客が期待していたこの展開が、遂に大スクリーンに繰り広げられるのだ!

今まで積み重ねて来た物語がここに結実し、SWORDの面々が人間として成長を遂げて最終決戦に向かう!となれば、観客としてはもはやこれ以上何を望むことがあるだろうか。

何より最高だったのは、今までの様に敵を殴って倒して万事解決!では無く、自分の拳ではもはや倒すことが出来ない巨大な敵を、果たしてどうやって倒すのか?という点だ。その最終方法が「人に協力してくれる様に説得する」!という、正に生身のケンカとは真逆の選択肢であると言う素晴らしさ!そう、最終的に九龍グループを潰すのは、幼い女の子と老人の勇気ある証言なのだ。

この二人を目的地に着かせるために、SWORDの面々が敵を食い止めて脇に回りサポートに徹する!という展開は、彼らの確かな成長の印であり、今までシリーズを追いかけて来たファンにとっても涙物!



(C)2017「HiGH&LOW」製作委員会




実はネット上で、「ラストの戦いがボスキャラとの対決で無く、雑魚キャラを倒すだけだった」とか、「ストーリーが暗くなりすぎている」との感想が多く見られたのだが、あくまでも今回の最終ゴールは、巨大な九龍グループを社会的に潰し「SWORD地区」を守るという物。

そう、相手がプロの暴力組織である以上、もはや個人を殴って倒してハイ終わり、では成立しないのだ。尚且つ、今回スモーキーが話の中心となる以上、ストーリーがハードな方向に行くのも十分理解出来る。これを「ああ、初期と変わっちゃったな・・・」と取るか、SWORDの面々が人間的に成長した証拠と取るかで、作品への評価は大きく違って来ることになるだろう。

本作鑑賞後、改めて劇場版1作目を見返したのだが、SWORD地区を守るために共通の敵に立ち向かう点は同じでも、1作目ではチーム同士横の繋がりが希薄であり、正直1回限りのお祭り騒ぎ的に暴れている感じが強かった。

しかし本作では、スモーキーへの想いを胸に団結する姿と、自分達のチームが壊滅寸前まで追い込まれてからの捨て身の逆襲!という展開で、チーム同士の団結と協力がより濃密な物として描かれるのが素晴らしい!

個人的には、ラストの無名街爆破シーンの炎や、ターミネーター?対雨宮兄弟戦で見せる鎖を使った秘策に、往年のジャッキー・チェン映画へのオマージュと確かなリスペクトを感じたと言っておこう。



(C)2017「HiGH&LOW」製作委員会




さて問題は、この最高にアツい男たちの物語は、遂にここで終わってしまうのか?ということ。その答えは是非とも劇場で見届けて頂ければと思う。絶対にエンドクレジットの最後の最後まで席を立たないのが、オススメです!

最後に


今回の盛り上がりと大成功の要因は、実は前作で一気に増えた敵キャラ達を、思い切って絞り込んだ点にある。

九竜グループとの最終対決に集中させるため、敢えてマイティ・ウォーリアーズとプリズン・ギャングを本筋からは外し、シリーズ未見の方にも楽しめる様に広く門戸を開いたその選択は見事!

更に、意外な九竜グループ総帥のドラマが語られるに及んで、実は九竜のルーツもMUGENやSWORDのチームと同様の理念による物だったことが判明する!理想に燃える若きSWORDチームと同じ想いで結成しながら、いつの頃からかその進む道を誤った九龍グループ。実はこれ、そのまま劇場版第1作目の琥珀さんにも重なることに、お気付きだろうか?

鑑賞時には、九龍グループの各組長にSWORDチームを重ねて見ると、「ひょっとしてこの人が、SWORDのあいつの将来の姿か?」と、よりディープな楽しみ方が出来るかも?

実は今回、個人的に一番心配していたのが、敵がプロの組織である九龍グループということで、『HiGH&LOW THE RED RAIN』のように普通のアクション映画になってしまうのでは?ということだった。

そう、あくまでも素手のケンカ=己の拳による対話こそが『HiGH&LOW』の世界観なのであって、『HiGH&LOW THE RED RAIN』の様にガンアクションが出て来る上に、普通に雨宮兄弟が銃で敵を倒す!という内容では、完全に『HiGH&LOW』の世界観が崩れてしまうからだ。

ところが本作では、派手に暴れたり殺すと政府から睨まれるということで、九龍グループには会長の方から「銃を使うな」、というお達しが出ているという設定に!

まるで映画『燃えよドラゴン』で、銃の携帯が島では禁止されている、と設定されていた様に、本作のこの設定は実に懸命な選択だった。確かに、これでSWORDの面々が敵を殺めるということは無くなるし、殺伐とした中にも一定のルールが保たれ、プロの暴力組織にSWORDが素手で立ち向かっても、観客が納得出来るからだ。

こうして、シリーズの中でも最高に激しいアクション満載のエンタメ作品として、遂に観客の前にその姿を現した本作。

スモーキーの想いが各チームを一つにして、巨大な悪を倒す力となるそのアツ過ぎる展開は、是非とも今すぐ劇場で!

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滝口さん


(文:滝口アキラ)

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