映画コラム

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2018年09月18日

TOHOシネマズが生んだ至高の微妙メニュー「ちょびっとチキン」について

TOHOシネマズが生んだ至高の微妙メニュー「ちょびっとチキン」について



TOHOシネマズが生んだ至高の微妙メニュー「ちょびっとチキン」について


「ちょびっとチキン」は、唐揚げとチキンナゲットが融合したような何とも言えない一品であり、小箱に入ったスタイルで提供される。値段は370円、セットは680円である。




ちなみに「ちょびっと」と名付けられているものの、内容量は普通である。体感としては「からあげクン」よりやや少ない、もしくは同量といったところだろうか。つまり、別に少なすぎるわけでもなく、多いわけでもない。

では、何が「ちょびっと」なのか。考えるに「まあ、映画館でちょっとつまむくらいだから、ちょびっとだよね」とか「脂物だけど、ちょびっとって響きが女性ウケしそうだよね」とか、おそらくは適当・妥当にネーミングされたものだと思うが、35歳のオッサンが「ちょびっとチキンください」とカウンターで頼むには、ちょっと恥ずかしい。もしかしたら、頼むのがちょびっと恥ずかしいからちょびっとチキンなのかもしれない。

ネーミングの話はこのくらいにして、味はどうかというと、自販機で出てくる唐揚げよりは美味く、サービスエリアやテーマパークで提供される同様の商品と比較すると同程度、ケンタッキーフライドチキンやフレッシュネスバーガーのチキンナゲットよりは劣るといった具合で、5文字で表現するなら物凄く微妙である。

一口食べてみると、申し訳程度に胡椒がいていることがわかると思う。口中で「ムラっ」とほぐれる食感が面白い。

ここで注意したいのが、当該商品は箱に入ったままレンチンされ、アツアツの状態で供されるのだが、温めたてのちょびっとチキンは正直あまり美味くない。香りは出るものの、加熱されたことにより脂感が増し、味がぼやけてしまう。

なので、すぐに食ってしまうのは勿体無い。早めに劇場に入ってしまいやることがないからと、山崎紘菜が画面に登場しているうちに食べきってしまう人もいるかもしれないが、グッと我慢して欲しい。山崎紘菜がいくら棒読みだとしてもグッと堪えて欲しい。せめて『NO MORE 映画泥棒』が上映されるまでは待って欲しい。

ところで、山崎紘菜の棒読みは、その後に上映される作品に出演している俳優の演技ハードルを下げるために機能している。つまりわざとやっているのであって、美しく、将来ある女優があの棒読み加減で「今から映画を観るぞ」と構えた観客に向かって喋り、上映作品がアレだったときの「まあ、山崎紘菜よりは棒読みじゃなかったな」といった感じで防波堤になるというディフェンス力はヤバい。筆者の見立てでは、山崎紘菜は前説的映像において、2%程度の実力しか出せていないはずだ。ちなみにこの手法は『カメラを止めるな!』にも通じるが、今書いている暇はない。というか、こんなコラム読んでないで『カメラを止めるな!』を観に行ってください傑作です!



(C)ENBUゼミナール  



勢い敬体になってしまったので話を戻すとともに冷静になるが、ちょびっとチキンは冷めることにより、本来のポテンシャルを発揮する。冷たくなると肉が締まるので、スパイスの味がしっかりと出る。口中で味が広がるようになり、深みが出るのでおどろくほど味が変わる。少しずつ食べて味の変化を楽しむのもおすすめだ。

合わせるドリンクは、メロンソーダが至高である。コーラはパンチが強すぎ、ビールは一見合いそうだが、チキンとの味の兼ね合いがやや悪い。アルコール類ならば赤ワインがよいだろう。重さは問わない。白でもよく冷やした軽めのものなら合うと思う。

さて、こんな長たらしく書かなくとも、ちょびっとチキンは微妙なメニューである、と一行で説明できる。ただ、現状TOHOシネマズでしか食べれない、唯一無二の一品であることもまた確かである。もし未体験の方がいたら、ぜひ試してみて欲しい。

ちなみに、やはり脂物だからして、ニオイが出るので周りに対してちょっと気不味い気分にはなる。そんなときは前もって購入し、じゅうぶんに冷ましてから入場すればやや抑えることができる。さらにプレミア ボックスシートに座り、両サイドとの距離を取ればモアベターだ。

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