2018年10月11日

『あの頃、君を追いかけた』、心に残る3つの魅力

『あの頃、君を追いかけた』、心に残る3つの魅力



 (C)『あの頃、君を追いかけた』フィルムパートナーズ 



10月5日より全国にて公開中の映画『あの頃、君を追いかけた』。

主演を務めたのは、昨年、シネマズPLUSでブレイク俳優として紹介短期連載もしていた山田裕貴さん。そして乃木坂46の齋藤飛鳥さんが初の映画出演で、初ヒロインを務めました。

今回は、本作の魅力に迫りながら、主役を務めた山田裕貴さんの本作のお芝居について考えたいと思います。

『あの頃、君を追いかけた』の鑑賞ポイント


1:注目の若手キャストが揃って出演


台湾で人気の作家、ギデンズ・コーの自伝的小説を映画化し、社会現象に。2013年に日本でも上映され高い人気を得ていました。

舞台や設定を2000年代の日本に移しつつ、オリジナルを最大限に生かしてリメイクしたのが、現在上映中の日本版です。

主人公の浩介を山田さん、ヒロイン真愛を齋藤さんが演じた他、メインキャストに『この世界の片隅に』が記憶に新しい松本穂香さん、『怒り』(2016)で映画デビューを果たした佐久本宝さん、「動物戦隊ジュウオウジャー」シリーズなどに出演している國島直希さん、「花のち晴れ〜花男Next Season〜」で主要メンバーのひとりを演じた中田圭祐さん、コンビで活動後、現在はピンとして俳優活動しているいる遊佐亮介さんが出演しました。



2:今年も多数の出演を経て今観る山田裕貴


昨年の短期連載でも語っていた(第3回)ように『あの頃、君を追いかけた』の撮影は1年ほど前に終わっていたようですが、視聴者目線で考えると、1月には「ホリデイラブ」(テレビ朝日)、4月に「特捜9」(テレビ朝日)、そして7月に「健康で文化的な最低限度の生活」と3クール連続の出演を終えたばかり。

その間に「闇金ドッグス」シリーズ、『となりの怪物くん』、『万引き家族』、『虹色デイズ』、『センセイ君主』と6作品の映画公開がありました。

2016年ごろから、他の役者と比べても圧倒的に出演作品数の多い山田さん。確かに主演作こそ限られるものの、重要なキャラクターとして出演していることが多く、そのタフさに驚かされるばかりです。

そして本作『あの頃、君を追いかけた』に主演。

演じた浩介は物語の主人公でありながら、どこにでもいる高校生です(作品では10年先まで描かれますが)。勉強をしないことで目立っているものの、クラスの中で圧倒的な存在感を放っているのは真愛の方。

主人公と、作品において存在感のある人物が同じであればわかりやすく目立つことができますが、今回のようにそれぞれ違っている場合、ちぐはぐにならないために役者の演技が大きく影響してくるはずです。

その絶妙な関係性をバランスよく保っていたのは、ヒロインを演じた齋藤さんが持つ、そこにいるだけで人を惹きつける力と、はしゃいでいるけれど、でしゃばらない山田さんのお芝居があってこそです。

とはいえ浩介も心置きなく高校生活を送っていて、寄り添いたくなる、目をかける真愛の気持ちがよくわかるような愛嬌がありました。

作品や作風によっては圧倒的な主人公が必要な場合もありますが、本作のように、周囲に溶け込んで同じラインに立ちながら、個性や特徴を発揮していく主人公もいます。それは、数多くの作品に出演し続ける山田さんの経験あってこそのお芝居ではないでしょうか。

浩介が特別な存在でなかったからこそ、主要メンバーみんなに青春を駆け抜ける瑞々しさが感じられたのでしょう。主人公も、そうでないキャラクターも分け隔てなく出演し、演じている山田さんだからこその力ですね。



 (C)『あの頃、君を追いかけた』フィルムパートナーズ 



3:青春は国を超える!


本作日本版には、随所に台湾版のオリジナルの要素が含まれていて、非常に似ているという印象を受けます。実際、台湾にて撮影された場面があったり、ロケーションが違っていても、状況が重なるところがあり、ストーリー展開もほとんどが同じでした。

変更を加えず、あえて脚色しなかったのは、もちろんオリジナルへの敬意が多分に含まれていると思いますが、何より「青春」は爽やかで時に野暮ったい、過ぎし日々の懐かしさもあって、いずれも共感できるという気づきを与えてくれます。

本作には恋愛要素も含まれていますが、いろんな人と関わり、いろんな問題に直面しながら進んでいく青春の一部分であって、恋愛に偏り過ぎなかったことも、観る人を問わず、登場人物たちに寄り添いやすい要因かもしれません。

どちらか一方をご覧になっている方も、ぜひこの機会に両方観て楽しんでください。



 (C)『あの頃、君を追いかけた』フィルムパートナーズ 



『あの頃、君を追いかけた』は現在劇場上映中!


本作の浩介と真愛の関係とその結末を、ほろ苦い恋とも、青春時代の良い思い出だとも捉えることができるように思います。

良かれと思って挑戦した好きな人へのアピールで、むしろ相手を傷つけけることになったり、ほんの少しのタイミングや考えの違いが大きな溝を生んだりと、叶いそうで叶わない、近づきそうで近づききれない、それも青春だと言い切ってしまうのはもったいないほど、浩介や真愛、他のキャラクターも輝いています。

『あの頃、君を追いかけた』は現在劇場にて上映中。一部地域では、これから上映を開始する映画館もあるようです。ぜひ、劇場でご覧ください。

(文:kamito努)

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