岩田剛典の演技を『パーフェクトワールド 』ほか数作品から振り返る
©2018「パーフェクトワールド」製作委員会
現在公開中の映画『パーフェクトワールド 君といる奇跡』。岩田剛典さんと杉咲花さんがW主演を務めています。
インテリアコーディネーターとして働くヒロインのつぐみと、事故で車椅子生活となった初恋の相手、鮎川先輩が再会することで始まる純愛ラブストーリー。講談社「Kiss」にて連載中の有賀リエさんの同名漫画を原作に、岩田さんが初主演を飾った映画『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』(2016)の制作チームが再集結し、製作されました。
今回は、岩田剛典さん特集です。EXILE、三代目 J Soul Brothersのパフォーマーとして絶大な人気を誇っているのはもちろんのこと、EXILEグループの中でも役者として第一線で活躍しているひとりです。
本作同様、恋愛要素の強かった『植物図鑑』、『去年の冬、きみと別れ』(2018)をふまえて、『パーフェクトワールド 君といる奇跡』の岩田剛典さんの演技を考えたいと思います。
岩田剛典の役者としての歩み
岩田さんは、テレビドラマ「ディア・シスター」(フジテレビ)や東出昌大さん主演の映画『クローズEXPLODE』など、2014年ごろから本格的に俳優としての活動を開始しました。「ディア・シスター」では石原さとみさんの相手役として重要な役割を担っていましたし、ラブストーリーでもあったので一気に人気に火がついた印象です。
その後、2016年も新たな役に挑戦した1年でした。
ドラマ「砂の塔〜知りすぎた隣人」(TBS)では体操教室のコーチをして爽やかな印象の反面、ストーリーに複雑に絡み合っていく男性を演じ、映画『植物図鑑』では高畑充希さんとともに映画初主演を務めました。
2017年にかけては「HiGH&LOW」シリーズ5作品に出演し、活躍しました。
(C)2017「HiGH&LOW」製作委員会
そして今年2018年。3月に主演映画『去年の冬、きみと別れ』が公開されると、4月クールのドラマ「崖っぷちホテル!」(日本テレビ)で、民放連ドラ初主演。ひょうひょうとしていつも明るく前向きなホテル副支配人を演じました。映画『Vision』で河瀬直美監督の作品に参加し、本作『パーフェクトワールド 君といる奇跡』に至ります。
テレビドラマか映画のどちらかに絞って出演し、成長や躍進を目指す役者もいる中で、ドラマ、映画ともに着実に経験を積み上げてきたと言えそうです。パフォーマーとしての活動との両立も必須だと思いますので、岩田さん自身、非常に器用で達者な人だという印象を受けますね。
『パーフェクトワールド 君といる奇跡』での岩田剛典の演技は?
©2018「パーフェクトワールド」製作委員会
あらすじ
取引先との飲み会で偶然再会したつぐみ(杉咲花)と鮎川(岩田剛典)。つぐみの高校時代の初恋の相手とあって再びときめきますが、大学生のころに事故に遭い、車椅子生活をしていることを知ります。
それでもつぐみは、鮎川の仕事に一生懸命な姿と、変わらぬ優しさにどんどん惹かれていき・・・。鮎川の毎日の生活や体調の変化など、試練をつきつけられるつぐみと、自分の生活に付き合わせて申し訳なさを感じている鮎川が、それぞれに葛藤しながら少しずつ距離を縮めていくラブストーリーです。
身体能力の高さにおどろかされること、間違いなし!
©2018「パーフェクトワールド」製作委員会
岩田さんが演じる鮎川は胸から下が動かず、車椅子に乗っています。そのため、車椅子の操作はもちろんのこと、身体の動かし方も普段どおりとはいきません。
EXILE、三代目としての圧巻のパフォーマンスを観たことがある人も多いと思いますが、そのパフォーマンスの力が、車椅子に乗る男性を演じるにあたって存分に生かされたのではないでしょうか。
車椅子を動かすときの身のこなしはもちろんのこと、鮎川のライフワークだった車椅子バスケをするシーンも、勢いと迫力、スポーツならではの激しさがありました。また、日常の場面でも、ふつうの椅子に座っている状態から車椅子に移動する時の体の動かし方や、脚の使い方、見せ方にも工夫が必要だったはずです。
岩田さん自身「あちこちが筋肉痛になった」と話している通り、簡単に乗りこなせたわけではなく鍛錬あっての成果なのだとわかりますが、劇中で見せる自然な動きはさすがの一言でした。
『植物図鑑』でみせた愛嬌と、『去年の冬、きみと別れ』の執着心がうまく混ざりあった
インタビューやバラエティ番組などで見かける岩田さんは、笑顔に可愛らしさがありつつも、EXILEグループならではの凛とした雰囲気と芯の強さを持っているように思います。
その”可愛らしさ”に最大限傾いたキャラクターが『植物図鑑』で演じた日下部だと言えるでしょう。
(C)2016「植物図鑑」製作委員会
日下部が持つ愛嬌が、高畑充希さん演じるさやかにも響いたことで二人は距離を縮めていきました。野菜中心のメニューで料理上手な一面も、爽やかで誠実な日下部のイメージにプラスに働いていたように感じます。
一方、『去年の冬、きみと別れ』では、交際していた女性が殺されたことをきっかけに、その復讐を企て実行する男性を演じました。
本来あったものは純粋な恋心や愛情だったのかもしれませんが、だんだんとエスカレートしていく様子、岩田さん演じる耶雲の本性が明かされたときの様子は、狂気的で、執着心をむき出しにしたお芝居でした。
作品のテイストとしては、今回の『パーフェクトワールド 君といる奇跡』と合わせても3作品ともそれぞれに違いますが、どれも恋愛要素が含まれており、恋愛によって変化する人物が描かれています。
そのうえ、もともと高校時代の後輩だったつぐみを可愛がり、その後も変わらぬ爽やかで愛らしい笑顔は『植物図鑑』の要素を引き継いでいますし、仕事に対する熱心な姿勢や、ここぞという場面で好きな相手を引き寄せてくる行動力は、本来あるべき執着心のようにも思われます。
それぞれ単体の作品ですが、主演作2作品を踏まえたからこそ、3作品目『パーフェクトワールド 君といる奇跡』が演じられたのではないでしょうか。
『パーフェクトワールド 君といる奇跡』は劇場上映中!
岩田剛典さんも所属するEXILEを筆頭にしたLDH JAPANには、俳優業をメインとした劇団EXILEがあり、現在放送中のドラマ「今日から俺は!」に出演している鈴木伸之さんや、「中学聖日記」に出演している町田啓太さんらも劇団EXILEの一員です。それぞれ個人としても活躍し躍進しており、LDHグループの層の厚さを感じさせられます。
そんな中で、『パーフェクトワールド 君といる奇跡』では、映画、ドラマともに経験を積み、主演作も重ねてきた岩田さんの力が存分に発揮された作品になっています。
そして本作は、杉咲花さんはじめ、大政絢さん、芦名星さんら女性陣も活躍していますし、須賀健太さんやマギーさん、小市慢太郎さんなどがバックアップしていることで作品の深みが増しています。
岩田剛典さんの次回作にも期待しつつ、まずは劇場上映中の『パーフェクトワールド 君といる奇跡』をぜひ楽しんでください。
(文:kamito努)
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