インタビュー

2018年10月19日

カツセマサヒコとシネマズ編集部が語る「2018年の映画」森の映画祭2018レポ

カツセマサヒコとシネマズ編集部が語る「2018年の映画」森の映画祭2018レポ




10月6日(土)に栃木県のツインリンクもてぎで開催されたオールナイトの野外上映フェス「夜空を交差する森の映画祭2018」。
メインステージでは、毎年恒例の「2018年今までとこれからの映画を振り返る」と題して、シネマズPLUS編集部からヤギシタシュウヘイ編集長、大谷和美、ゆうせい両副編集長と共にコラムニストのカツセマサヒコさんが登壇しました。




今年で5回目を迎えた「夜空を交差する森の映画祭2018」。シネマズPLUS編集部は3年連続のの登壇となりました。深夜2時半過ぎから始まったトークショーは今年2018年の注目作を振り返るクロストーク。一体どんな話が交わされたのでしょう。



シネマズPLUS ヤギシタシュウヘイ編集長 




ヤギシタ:さて、2018年の映画を振り返っていきましょう。

カツセ:今年は面白い映画多かったよね。

ヤギシタ:1月〜3月を振り返った時に一番話題になった作品はというとまずは『グレイテスト・ショーマン』ですね。



シネマズPLUS ゆうせい副編集長 



ゆうせい:これ冒頭から良かったですよね。一体これから何が始まるんですかっ!ていう感じが。



 コラムニストのカツセマサヒコさん



カツセ:最初から劇中の観客の気分になれるよね。僕はバーのシーンが大好きで、男二人で向かい合ってショットグラスを飲む場面。

ゆうせい:あの勧誘シーンでしょ?

カツセ:めちゃくちゃカッコいいですよ。夢とかキャリアだけじゃなくて家族とか、お金とかいろんな要素が詰まっているし、それでいてしっかりエンタメでくくっているから本当にこれは観たほうがいい。

ヤギシタ:続いて『スリー・ビルボード』。これは最近ノーベル平和賞が女性だったことでも話題になっていますね。女性の差別やアカデミー主演女優賞を受賞したフランシス・マクドーマンドのスピーチも話題になりました。カツセさんも良かったそうですね」





カツセ:今年見た中で1番良かったですね。考えさせられたというか。

ゆうせい:どんな映画なんですか?

カツセ:説明難しいなこれ。3つの看板からはじまるストーリーで、この看板だけではなくて、登場人物の3人それぞれの思いが交錯する話なんですよ。正義も悪も自分の中にあって、それがたまたま悪い方向に発展していくんですが、この脚本、よく書けたなあって。

ヤギシタ:このメッセージ性をよく描ききったなって感じするよね。

カツセ:中身もしっかり描ききったのがすごい作品だなって。

ヤギシタ:続いては2月公開の『リバース・エッジ』これは大谷さんが上げていましたね。



 シネマズPLUS 大谷和美副編集長



大谷:原作のマンガを読んでいたんですけど、原作が好きな人も観られるんじゃないかなと。吉沢亮くんが演じている山田一郎という役が美少年なんですけど、アンニュイな役柄もいいなと思いました。




ヤギシタ:吉沢亮くんは勢いあるよね。

カツセ:僕もこの映画に出てくる吉沢くんが一番好きでした。岡崎京子さんの原作の流れをしっかり汲んで、主題歌も小沢健二さんが担当してるし、作品をよく分かっているスタッフが描いているので、主演の二人も当時のカルチャーを強く意識できるからいいなと思いました。

ヤギシタ:アニメ作品で一番話題になったのは『名探偵コナン ゼロの執行人』ですね。会場の中で平次よりも安室派だって方、手を上げてもらっていいですか?

ゆうせい:女性陣はだいたい安室派が多いみたいですね。

ヤギシタ:毎年のボジョレーヌーボーみたいですけど、今年は良かった(笑)去年は平次で、今年は安室で、来年はキッドなので、今年、安室派に落ちた人が何人変わるかですよね。

カツセ:コナンくんの話はひとつもしてないですね(笑)

ヤギシタ:大丈夫です。コナンくんは謎を解決します(笑)




ヤギシタ:続いて春夏の話題作。『さよなら僕のマンハッタン』はゆうせいさんがおすすめの作品。

カツセ:これは『500日のサマー』の監督の作品ですよね。




ゆうせい:これは言わば、ハリウッドの人が作った「昼ドラ」なんですよ。ドロッドロしてて(笑)

大谷:ポスターは爽やかなのに(笑)

ゆうせい:主人公がかなりこじらせてるんですよ。親父もこじらせてて、ドロドロなんです。

カツセ:ムカつくとしか思わない主人公だよね。それでも観たあと、作品自体をすごく愛せちゃうんですよ。というのも、現状うまく言ってなくて鬱憤が溜まっている方とか、すごい共感できる内容になっていて、それを突き抜けるから気持ちし。




ヤギシタ:続いて『ワンダー 君は太陽』。

ゆうせい:これが良かったんですよ!『Wonder』が原題なんですけど、邦題の「君は太陽」は上手く付けたなあって。

ヤギシタ:これは良い邦題だよね。




ゆうせい:主人公が太陽みたいな子で、みんなを照らすんですど、その照り返しで、この子自身も照らされて、みんながハッピーになれる映画。オーウェン・ウィルソンのお父さん役もひとつひとつのセリフがすごく良いんですよね。学校の辛さとか分かっているから、的確なアドバイスをするんです。この親父の言うこと聞いとけば、間違いないなっていう。お母さんももっともな事を言うんだけど、「母さんはあんなふうに言っていたけど」ていう親父のフォローがまたね。

カツセ:ああ良いね。

ゆうせい:他に友達も出てくるんですけど…。ああもうこれ、あとは見てください(笑)

ヤギシタ:大きく話題になった作品を上げましょう。まずは『万引き家族』。これは観た人も多いでしょうね。

ゆうせい:今これ見ると、ポスターの「盗んだのは絆でした」ってフレーズは響くね。

カツセ:ホント響く。亡くなった樹木希林さんのことを考えちゃいます。

ヤギシタ:先日、亡くなられたからね。

ゆうせい:ただこれ、ほんと投げっぱなしなの。「今、こんな問題がありますよ〜!」っていう作品で、後はみんなで考えようっていう問題提起がね。

大谷:樹木希林さんとリリー・フランキーさんの対談は、シネマズPLUSでも取り上げているので、ぜひご覧ください。

「リリーさんの知的な声が作品の邪魔をするのよ」映画『万引き家族』リリー・フランキー×樹木希林是枝組常連対談




ヤギシタ:『仮面ライダーアマゾンズ THE MOVIE 最後ノ審判』は大谷さん。

大谷:こちらはAmazonプライムでシーズン2までやっていて、今年映画化された作品なんですけど、結構大人向けな内容です。

カツセ:Amazonプライムで「アマゾン」が出てくるんだね。




大谷:実験で作ったアマゾンが逃げ出して、それが人間食べちゃうぞっていう。

カツセ:仮面ライダーってそういう話だったんだ!

大谷:もともと仮面ライダーは人造人間の話なので、主人公のアマゾンと、ヒールのアマゾンがいて、映画では、命あるものを食べて生きている人間の本質的な話まで切り込んでいます。

カツセ:食育の話までいくんだ。すごい。

ヤギシタ:さて、続いて今年公開した映画の中で、どうしても語りたいという作品を取り上げます。『レディ・プレーヤー1』はゆうせいさん。イマイチ響かなかったそうですね。




ゆうせい:今年、訳あって入院していまして、映画館で観られなかったんですよね。退院したあと、観たんですけど、期待しすぎた感があって、僕の中では『ピクセル』と『トイズ』を足した感じで、みんなが言うまでではなかった。




カツセ「なんか『ジョーズ』を作ったスピルバーグが、世界中のアニメや映画が入った「おもちゃ箱」みたいな作品を2018年に作ったというのが僕はいいなと思っていて、監督が好きなポップカルチャーとか、映画とか、想いを全部詰め込んで作ったのに、ちゃんとエンタメになっているからすごいなと。劇中に出てくる映画を全部観ている人ほど感動すると思いました。

ヤギシタ:これは、大スクリーンで観てこその作品なので、せめて大きいテレビで観ることで感動も増す映画かなと思いますね。





ヤギシタ:今年一番の話題作『カメラを止めるな!』。これは観ている人はさすがに多いね。ただ語ることが出来ないけど。

カツセ:ポンっ!しか言えないね(笑)

ヤギシタ:低予算でミニシアター系の映画でも、こんなに多くの人の心に届く作品が出ることがすごい。ネットの口コミの力も含めて、いい意味で映画の良さを再認識した作品ですね。





ヤギシタ:このトークの前に『秒速5センチメートル』を上映していましたが、カツセさんは観ましたか?

カツセ:この星空の中で観ました。今までで観た中でベスト・オブ『秒速5センチメートル』でしたね。新海監督の作品は、好きな気持ちを持ったまま、会えなくなってしまった人たちに思いを馳せる事が多くて。そうした人が多いから『君の名は』も多くの方に観られたんだろうなと思います。ゆうせいさん、どうですか?

ゆうせい:そうですね、僕も秒速4センチまでは抑えたんですけど・・・。

カツセ:続編じゃないからね(笑)











今年は台風の接近により一時は開催も危ぶまれましたが、当日はスッキリと晴れ、満天の星空の中、映画際は無事終了しました。
参加者は星降る夜空とともに、浮かび上がるスクリーンで上映される映画を静かに眺めながら、秋の始まりを感じていました。
▶夜空と交差する森の映画祭2018 / FOREST MOVIE FESTIVAL
https://forest-movie-festival.jp/

おまけPhoto


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(取材・撮影:中川マナブ(東京散歩ぽ))

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