2018年 音楽映画・映画サントラ総まとめ!今年は空前の当たり年!?
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気づけば2018年も残りわずかとなり、この1年で公開された映画作品を振り返っている真っ最中の人も多いのではないだろうか。今年は例年以上に良作が豊富で、“バーフバリ旋風”や“カメ止めブーム”といった、映画界という枠組みを超えて社会現象となった作品も現れた。
『バーフバリ』2作と『カメラを止めるな!』に共通しているのが、ファンの声援を後押しにしてサウンドトラック盤が発売されたという点。片やインド映画、片や自主製作体制の作品で、サントラが発売されるというのも異例だといえるだろう。また近年は音楽映画のサントラ売り上げもセールスを伸ばすなど、音楽映画や映画音楽そのものがますます注目されるようになってきている。そこで今回は2018年の総まとめとして、筆者がおススメしたい作品&その音楽について振り返っていきたい。
予想を大きく上回るヒットで今年を代表する1本に
まず1月の公開作品として、『キングスマン:ゴールデン・サークル』では前作に引き続きヘンリー・ジャックマンとマシュー・マージソンの師弟コンビがスコアを担当。相変わらずキレとノリの良いテンポで作品を盛り上げた。本作ではエルトン・ジョンのかなりハイな役者姿や歌曲の面で話題を呼んだわけだが、実は筆者としてはどの楽曲よりもマーク・ストロング演じるマーリンが終盤で披露した「カントリー・ロード」を推したい(サントラタイトルだと「No Time For Emotion」が該当)。哀愁感漂う旋律とストロングの歌唱はシリーズにおいて最もエモーショナルな響きがあり、ストーリーを知った上で聴くと涙なしでは語れない1曲だ。
毎年恒例の「今年の漢字」では“災”の字が選ばれたが、『ジオストーム』はタイトル通り自然災害の脅威を全面に押し出し、その結果ちょっとやりすぎてしまった感のある作品に仕上がった。それでも頼れる兄貴ジェラルド・バトラーの絶対的安心感や見事なVFXでエンタメとしての面白味が増し、さらにローン・バルフェの怒涛のオーケストラサウンドが全編にわたって鳴り響いた。ちなみにハンス・ジマーの門下生であるバルフェはとにかく多作家で、今年日本で公開の他作品として『パシフィック・リム:アップライジング』『ホース・ソルジャー』『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』『チャーチル ノルマンディーの決断』など、話題作への登板が続いた。
モフモフのクマ、パディントンがなんとも可愛らしい『パディントン2』は、前作より一層家族や人との関りを強くした珠玉のコメディドラマ。イギリスを舞台にユーモアセンス溢れる笑いとお洒落な演出もあいまっていたが、『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』や来年3月公開の『バンブルビー』が控える名匠ダリオ・マリアネッリの優し気な音楽も感動ドラマを引き立てている。
2月に入ると、福山雅治&チャン・ハンユーを主演に迎えた『マンハント』で香港映画の巨匠ジョン・ウー監督が本格的にアクションへ復帰。お得意のアクション美学が詰め込まれた作品を、ウー監督御用達となった岩代太郎がどこか懐かしさ(例えるなら一昔前の刑事モノや任侠作品?)のある音楽をクリエイトした。
ポーランド産ホラーファンタジー『ゆれる人魚』は、アンデルセンの『人魚姫』を下敷きにしつつ人魚本来の残酷性もしっかりと取り込んだ意欲作。実はミュージカル映画としての側面も強く、1980年代のディスコチューンを中心とした楽曲が、美しい人魚姉妹の成長と破綻の物語に寄り添っているのも興味深い。
今年の映画を代表する1本『グレイテスト・ショーマン』では『ラ・ラ・ランド』の音楽チーム、ベンジ・パセックとジャスティン・ポールがまたしてもやってくれた。予告編でも話題になった「The Greatest Show」をはじめ、キアラ・セトル圧巻のパフォーマンスで力強い人間賛歌となった曲「This Is Me」といった楽曲群はどれも耳の馴染みが強く、ふと気づくといまも頭のなかでリフレインすることが多い。なるほどこれは主演のヒュー・ジャックマンが求めた「1度聴いただけで口ずさめるような曲」がまさに形となった結果で、本編のミュージカルシーンとの融合もあって、まさに映像と音楽が最良の出会いを果たすことになった。応援上映作品としても、この先永く愛されるミュージカル映画だといえる。
3月公開作品としては、マーベルの『ブラックパンサー』が音楽面でも熱を帯びていた。ボーカルナンバーでは、ラッパーのケンドリック・ラマーがプロデュースを担当。スコアは今年『ヴェノム』も担当したルドウィグ・ゴランソンがアフリカで現地録音も行って、アフリカンコーラスとパーカッションをミックスした結果、見事ワカンダ王国という象徴を音楽で表現してみせた。
そんな『ブラックパンサー』と同日公開となったのが、ギレルモ・デル・トロ監督の『シェイプ・オブ・ウォーター』。第90回アカデミー賞では作品賞・監督賞・美術賞・作曲賞を受賞しており、音楽を手掛けたアレクサンドル・デスプラが『グランド・ブダペスト・ホテル』に続き2度目のオスカー戴冠を果たした。サリー・ホーキンス演じるイライザとダグ・ジョーンズが見事に演じてみせた半魚人の、異種間の愛や精神的な繋がりを美しい旋律と重々しくはなりすぎないライトモチーフで彩りを添えた。
ピクサー作品の『リメンバー・ミー』は、第90回アカデミー賞で長編アニメーション賞と主題歌賞を獲得。死者の国を舞台に家族の繋がりと死生観を巧みに絡ませながら、情感豊かなビジュアルとマイケル・ジアッキーノが手掛けた軽快なスコアで魅了した。『アナと雪の女王』の作詞作曲を務めたクリステン・アンダーソン=ロペス&ロバート・ロペスによる主題歌「リメンバー・ミー」や、「ウン・ポコ・ロコ」なども作品の情景をしっかり反映したボーカルナンバーとなっている。
ゴジラのテーマでテンションが天井を突破
4月公開の『レディ・プレイヤー1』ではヴァン・ヘイレンの「Jump」やビー・ジーズの「Stayin’Alive」といった、80年代を中心にヒットチャートを賑わせた楽曲がふんだんに盛り込まれている。映像面でも映画やゲームのキャラクターがこれでもかと登場しているが、ここで観客を驚かせた、というか胸を高鳴らせたのがスコアを担当したアラン・シルヴェストリによる“ゴジラのテーマ”だろう。物語の面でも観客にあっと言わせた終盤に流れる楽曲で、オーケストラによる伝統的なサウンドが鳴り響いていたと思いきや、日本人の誰もが慣れ親しんだフレーズに突如転調する瞬間。正直筆者は驚きのあまり目頭が熱くなったほどで、管弦と打楽器で打ち鳴らされるゴジラのテーマはテンションのピークだったのではないかと思う。キャラだけでなく楽曲の使用許可まで出した東宝には感謝しかない。ゴジラのテーマはスコアサントラにも「Looking For A Truck」のタイトルで収録されている。
ロングヒットを記録したルカ・グァダニーノ監督の『君の名前で僕を呼んで』。イタリアを舞台にアーミー・ハマーとティモシー・シャラメがカップルを演じ、ハマーの男性的な魅力とシャラメが見せた美しくも儚い成長譚が多くの観客を魅了した。本作の音楽は様々なアーティストが楽曲を提供するコンピレーションとして形成されていて、坂本龍一やジョルジオ・モロダー、スフィアン・スティーブンスといった名前が並ぶ。サントラには坂本の実験的なピアノ曲「M.A.Y. in the Backyard」や「Germination」などが収録されているので、本作を観て音楽も聴き留めていたらぜひサントラ盤も手にしてみてほしい。
5月公開のウェス・アンダーソン監督『犬ヶ島』は、日本を舞台に“犬インフルエンザ”が蔓延した世界を描いたストップモーション作品。新星コーユー・ランキンを筆頭に、リーブ・シュレイバーやブライアン・クランストン、エドワード・ノートン、ジェフ・ゴールドブラム、夏木マリ、野田洋次郎といった豪華ボイスキャストも話題を呼んだ。アンダーソン監督特有のシュールな世界観に音楽を当てはめたのは、『シェイプ・オブ・ウォーター』のアレクサンドル・デスプラ。太鼓や尺八といった伝統和楽器に加え、コーラスや口笛もミックスしながらユーモラスな曲調に仕上げて、映像に負けず劣らず独特の感性を見せている。また東宝シンフォニー・オーケストラによる録音で、『七人の侍』から「勘兵衛と勝四郎~菊千代のマンボ」が使用されているのも面白い。
6月は映画音楽的に面白い作品が多く並んだ。例えば大ヒットシリーズの『デッドプール2』では、オープニングクレジット主題歌「Ashes」でセリーヌ・ディオンが壮大なハーモニーを披露している。哀愁感漂うドラマチックな1曲だが、完全にアデルの「Skyfall」に対抗意識を燃やしまくった楽曲でもある(そもそもオープニングクレジット自体が『007 スカイフォール』のパ〇リ)。「Ashes」は曲だけ聴けば涙を誘う旋律が切ないが、PVを観てみれば熱唱するディオンの周りでデッドプールがダンスを披露しているだけでなく、パンチの効いたオチまで用意されているという、いかにもデップーらしい遊び心に満ちたPVになっている。いやよくこの仕事引き受けたなセリーヌ・ディオン。
同じくぶっ飛んだ世界観を見せつけた『ニンジャバットマン』では、お馴染みのバットマンやジョーカーが大暴れするだけでなく子安武人なゴリラや“五城合体”といったパワーワードがいくつも誕生している。そんな作品の音楽を担当したのは菅野祐悟だが、さすが世界を見据えたジャパニメーションだけあって音楽も邦画離れした迫力が打ち出されている。そう、やたらカッコいいのだ。そういった意味では本家でもある『バットマン』『ダークナイト』シリーズに全く引けを取っていない。余談だが今年公開の作品でドラマチックな場面を除いて、映像と音楽のあまりのハマりっぷりに思わず涙したのはバトルシーンで流れた「Duels」が唯一だった。
センセーショナルなテーマを扱いながら、物語の魅力で観客を引き寄せた『ブリグズビー・ベア』。デヴィッド・ウィンゴによるピアノを主体にした、シンフォニックで優しげなメロディが心地良い印象を残している。また作中劇の主題歌にして物語そのものにおいてもインパクトが大きい「It’s Brigsby Bear」は、80年代のSF作品を彷彿とさせる電子サウンドと独特な歌詞で、鑑賞後しばらく頭から離れなかった人も多いのでは?
『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』に続くアナザー・ストーリー『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』。撮影中に監督が交代してロン・ハワードが引き継ぐことになった本作で音楽を任されたのは、『ヒックとドラゴン』シリーズや『ジェイソン・ボーン』シリーズで知られるジョン・パウエル。ヒクドラでもお馴染みの大胆なオーケストレーションが正史シリーズを担当するジョン・ウィリアムズの世界観とマッチしているが、しっかりボーンシリーズ的なパーカッションも取り入れるなどパウエル自身の爪痕も残している。
やっぱりABBAはノリノリだった
7月に公開された細田守監督の『未来のミライ』では、主題歌として山下達郎が『サマーウォーズ』以来2度目の細田作品への楽曲提供となった。また劇伴は『おおかみこどもの雨と雪』『バケモノの子』に続いて音楽・映像作家の高木正勝が登板。くんちゃんの視点を通して過去や未来から自身のルーツを探る冒険的な作品を、異国情緒も併せ持ちながら音楽で物語を引き立たせている。日本国内では興行成績が伸び悩んだものの海外では評価が高く、第76回ゴールデングローブ賞アニメーション部門にノミネート。ほかに第46回アニー賞でも長編インディペンデント作品賞と長編アニメ脚本賞の2部門にノミネートされているので、結果に期待したい。
8月公開の『マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー』は、言わずと知れたABBAの楽曲をフィーチャーしたミュージカル映画。2008年公開の前作から10年ぶりの続編で、前作の主人公ドナの若き日の姿をリリー・ジェームズ、ドナの娘ソフィを前作から引き続いてアマンダ・セイフライドが好演している。ドナがどのような経緯でソフィを身ごもったのか、そしてソフィが見据える未来を、ABBAのヒットナンバーに乗せて描写。ソフィの“3人のパパ”であるピアース・ブロスナン、コリン・ファース、ステラン・スカルスガルド、さらにはアンディ・ガルシアやシェールも加わった終盤の「ダンシング・クイーン」は圧巻のひと言。
邦画では韓国映画のリメイク『SUNNY 強い気持ち・強い愛』が、90年代のヒットナンバーを網羅。当時トレンド化していた女子高生という青春の煌めきが安室奈美恵の「SWEET 19 BLUES」や小沢健二の「強い気持ち・強い愛」、trfの「EZ DO DANCE」、久保田利伸の「LA・LA・LA LOVE SONG」といったJ-POPの名曲で鮮やかに蘇らせている。また劇伴を小室哲哉が手掛けており、小室プロデュースの使用楽曲だけでなく、主演を務めた篠原涼子と久しぶりにタッグを組んだことも話題に。90年代に「恋しさと せつなさと 心強さと」や「もっと もっと…」をヒットさせたボーカルとプロデューサーが、時を経て再び映画という枠組みでチームを組むというのも感慨深いものがあった。
9月公開の『ザ・プレデター』は、『プレデター』の正統続編であると同時に愛すべきキャラクターが大挙して登場する賑やかな作品となった。オリジナル第1作で狩猟エイリアン・プレデターの餌食となったシェーン・ブラックが監督・脚本の立場で復帰を果たしたのも熱いものがあるが、ワケあり軍人集団ルーニーズの描き方もブラックユーモアを含めて各個性が魅力的だった。ヘンリー・ジャックマンが手掛けたスコアはアラン・シルヴェストリのオリジナルをしっかり踏襲しているので、改めて本作が正統続編であることを実感させてくれる。
『若おかみは小学生!』はそのタイトルやビジュアルから“子ども向け”と思わせ、実は大人の心にも大きな楔を打ち込む特異な作品でもあった。おかげで口コミによるヒットを記録し、一旦上映館数が減りつつも再び拡大されていくというV字回復を記録。健気な小学生おっこやグローリー・水領といった魅力的なキャラクターも多く、そのなかでおっこが若女将としての自覚を胸に成長していく姿が胸を打つ。劇伴はムーンライダーズのボーカルで、近年では北野武作品でもお馴染みの鈴木慶一が担当。藤原さくらが主題歌「また明日」を歌っている。
全世代に届いた魂のライブステージ
10月公開の『アンダー・ザ・シルバーレイク』は、常に頭のなかで「?」のマークがふわふわと浮かぶような作品だった。主演のアンドリュー・ガーフィールドが飛び込む深淵な世界は謎に満ち溢れ、それでいて不条理な出来事さえ定められた歯車のようにきっちりと噛み合いラストに向かって回り続ける。悪夢的であり革新性も備えたストーリー展開に加えて、音楽を担当したディザスターピースや多くの挿入曲がなんともキレッキレで、観客をさらなる迷宮へと半ば強制的に誘うことになった。それにしても『ビバリーヒルズ・コップ』の名テーマ曲「アクセルF」にあんな秘密が隠されていたなんて(※作中の話です)。
『ピッチ・パーフェクト ラストステージ』はアカペラチーム、ベラーズの成長と奮闘を描いたシリーズ最終作。前2作でも多くの楽曲がアカペラ曲としてピックアップされてきたが、今回ももちろんブリトニー・スピアーズやビヨンセ、ジョージ・マイケルの楽曲がステージパフォーマンスや白熱のミュージックバトル“リフ・オフ”の場面で使用されている。本作は前2作以上にハチャメチャなコメディ感が押し出されているが、一方でベラーズにとっての“到達点”にもなった。もしもサブタイトル通り最後の作品となるなら、アカペラで奏でられるユニバーサル・ファンファーレが聴けなくなるというのも寂しいところ。
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11月公開の『ボヘミアン・ラプソディ』は、誰もが知る伝説のバンド、クイーンとそのボーカルであるフレディ・マーキュリーの人生にスポットを当てた作品。曲名は分からずとも曲そのものを聴けば「聴いたことがある」というような楽曲群で構成されており、破天荒ながら世界のミュージックシーンを動かしてきたバンドの足跡をじっくりと堪能できる。たとえ映画としてマッシュアップするために時系列や一部事実に改変があったとしても、そこに刻まれているフレディの抱えた葛藤や苦悩は、ブライアン・メイらほかのメンバーを通して見て紛れもないリアルだっただろう。そんなフレディが人生を賭して挑んだライヴ・エイドのシークエンスは、もはや音楽映画の枠を超えたドラマとしてのエンディングにも相応しい。その姿やカリスマ性はクイーンを知らない世代にまで浸透し、あるいは往年のファンを再び釘づけにすることとなった。21分にも及ぶライブシーンに詰め込まれた感情は簡単に表現できるようなものではなく、二度と新しいステージを観ることは叶わないという点も踏まえると、映画が見せた奇跡にも等しいかもしれない。
ベネチオ・デル・トロ主演の『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ』は、前作で音楽を担当したヨハン・ヨハンソンが今年2月に急逝。続編では女流作曲家のヒドゥル・グドナドッティルがヨハンソンのあとを受け継いでいる。彼女はヨハンソンに師事し、前作だけでなく『プリズナーズ』や『メッセージ』にも参加して密な連携を取っていた人物であり、まさにヨハンソンの後継者としてはうってつけの存在。本作ではヨハンソンが生み出した不気味な音の世界を再現しながら、キャラクターにフォーカスした音色もしっかり加えることに成功している。余談だが彼女の新作にはホアキン・フェニックス主演の『Joker(原題)』が控えているので、今後が楽しみな作曲家のひとりでもある。
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12月21日に公開されたばかりの『シュガー・ラッシュ:オンライン』は前作に引き続きヘンリー・ジャックマンがスコアを担当し、イマジン・ドラゴンズが主題歌に「Zero」を提供。また本作はディズニープリンセスが集結したりディズニーキャラクターが登場していることで話題だが、音楽面でもディズニーアニメのレジェンドであるアラン・メンケンが参加していることにも注目したい。こちらはヴァネロペ役のサラ・シルバーマンと新キャラ・シャンク役のガル・ガドットらキャスト陣による「A Place Called Slaughter Race」というボーカルナンバーで、ディズニーヒロイン定番の歌唱シーンでメンケンが参加するというセルフオマージュが面白い。
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同じく21日公開で、俳優ブラッドリー・クーパーが初監督を務めた『アリー/ スター誕生』。レディー・ガガを主演に起用した3度目のリメイク作品で、古典的なストーリーラインを踏襲しながら現代的な解釈もしっかり持ち込んだ物語となっている。従来のオーラを消して本当の表情であろう素顔をさらけ出しながらスターへの道を上りつめていくガガはもちろん、主演ではないもののほぼ物語の視点も担うクーパーの役割も重要な位置を占めている。本作の主題歌でガガとクーパーによるデュエットソング「Shallow」が本編で初披露されるライブステージは、序盤ながら最大の見せ場と言っても過言ではないほど胸に迫る感情をもたらす。アリー(ガガ)とジャクソン(クーパー)がバーで出会い、駐車場で語り合う空気感もさることながら、「Shallow」の歌詞が持つ意味を考えると鑑賞後になおのこと深い余韻を残すことになるはず。ちなみにクーパーは監督・出演・歌唱以外にもアディショナル・ミュージックとしてもクレジットされているので、改めて才気に溢れた俳優だということが分かる。
まとめ
音楽映画やミュージカル映画というくくりだけでも、『グレイテスト・ショーマン』や『ボヘミアン・ラプソディ』『アリー/ スター誕生』といったヒット作が並んだ2018年。サウンドトラックの当たり年でもあったが、きっと観客の耳にそれぞれ残った楽曲、お気に入りの楽曲というものがあるはず。実際筆者も今年購入したサントラはまだまだあり、まったくもって語り足りないくらいだ。2019年は2月に『メリー・ポピンズ リターンズ』が控えているし、夏には音楽賞を総なめにしたアニメ版と同じメンツで挑む実写版『ライオン・キング』もある。どのような作品が新たな名曲を生み出してくれるのか楽しみにしたい。
(文:葦見川和哉)
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