『マイル22』は『バトルシップ』の監督による超絶アクション映画の決定版!
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テレビ放映の度にSNS上で"祭"が起こるほど、未だに熱狂的なファンを持つ映画『バトルシップ』。その監督と言えば、そう、信頼できる男、ピーター・バーグ!
ここ数作は、主に実際の事件を描いた作品を撮っていた彼が、ついに念願のオリジナルストーリーで作り上げた最新アクション映画、それがこの『マイル22』だ。
一日も早い日本公開がファンの間でも待たれていた本作を、今回は公開初日の劇場で鑑賞してきた。
そのシンプルなタイトルと、95分という上映時間がちょっと気になった本作だが、果たしてその内容と出来は、どの様なものだったのか?
ストーリー
世界を揺るがす危険な“物質”が盗まれた。行方を知る唯一の“重要参考人”を亡命させるため、アメリカ最高機密「オーバーウォッチ」作戦が発動される。
周りを敵に囲まれる極限状態のなか、アメリカ大使館から空港までの22マイル(35.4km)をジェームズ・シルバ(マーク・ウォールバーグ)率いる“最強の特殊部隊”ד完璧な頭脳チーム”が、護送ミッションを遂行していく。しかし、行く手には想像を絶するラストが待っていた――。
(公式サイトより)
予告編
観た人が次々にハマる、その魅力とは?
わずか4名からなる男女混合の地上実戦部隊と、彼らを遠く離れた場所からバックアップする戦略チーム。
彼らが挑むのは、ある重要機密を握る参考人を、22マイル離れた空港へと護送する任務。
だが、国外への亡命を希望する参考人の命を狙う襲撃者たちによって、この22マイル(35.4km)の道のりが文字通り地獄の戦場と化すとは、誰も予想しなかった…。
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実は鑑賞前、タイトルからは内容が掴みづらいが、普通のB級アクション映画になっているのでは? そんな不安を持っていた本作。
だが、そんな不安はすぐに吹き飛ばされることになった。
確かに映画の後半は、文字通り敵地の真っ只中を敵の襲撃から重要参考人を守って展開する、超絶戦闘シーンの連続になるのだが、やはり本作の魅力は綿密に仕上げられた、その脚本の素晴らしさ!
散りばめられた様々な手がかりや伏線、そして誰が味方で誰が裏切り者なのか? 最後まで予断を許さない緊迫感あふれるその展開こそ、多くの映画ファンが本作にハマる要因と確信した次第。
謎に満ちた重要参考人の存在と、迫りくるタイムリミットの中、激しい銃撃戦を繰り広げながら空港を目指す戦略チーム。そして彼らの行動を影で監視する、ロシア軍偵察機の存在とは?
生き残るために全てを疑い、誰も信じられない状況で繰り広げられる本作の壮絶な市街戦の迫力は、アクション映画を見慣れた映画ファンにも、きっと新鮮な驚きを与えてくれるはずだ。
ピーター・バーグ監督が、その全力を叩き込んだ傑作!
アクション映画ファンにとって、文字通りの"お祭り映画"となっている『バトルシップ』のピーター・バーグ監督が、近年続いていた実録物映画3作品(『ローン・サバイバー』『バーニング・オーシャン』『パトリオット・デイ』)を経て、ついにオリジナルストーリーによって世に送り出した待望の超絶アクション映画、それがこの『マイル22』だ。
しかも主演が、実録物3作品に続いて4度目のタッグを組むマーク・ウォールバーグ。更に、あの『ザ・レイド』のイコ・ウワイスが共演するとくれば、これはもう期待するなという方が無理な話!
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実は、あのアクション映画の名作『ザ・レイド』から着想を得て製作されることになった、この『マイル22』。
更に、『ザ・レイド』で華麗なシラットの技を見せてくれたイコ・ウワイスが謎の重要参考人を演じるのだから、当然後半のアクションでは、彼の格闘技の凄さを見せ場に持ってくるはず。そう予想された観客も多かったのではないだろうか。
ところが、そんな観客の予想を裏切って、あくまでも壮絶な市街戦で部隊が追い詰められた末に、遂に彼の格闘技が炸裂する! そんな展開が待っていたのには、さすがピーター・バーグ監督は分かってる! そう思わずにはいられなかった。
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実際、後述する様に、CGに頼ることを避けて生身の人間によるリアルなアクション映画を目指して製作されただけに、イコ・ウワイスの超人的な格闘技が銃撃戦の中で浮いてしまわないように、様々な配慮がなされている本作。
遂にオリジナルストーリーでの映画化を実現させたピーター・バーグ監督が本作に賭ける熱意と自信のほどは、実は監督自身が本作のあるシーンに登場していることからも、きっとお分かり頂けるはず!
果たしてピーター・バーグ監督がどのシーンに登場して、どんな演技を披露しているのか? それは是非ご自分の目でご確認頂ければと思う。
95分に凝縮された超絶アクションの連続が凄い!
マーク・ウォールバーグが演じる個性的なリーダー、ジェームズ・シルバが率いる実戦部隊の4人が、映画の冒頭で展開する見事な奇襲作戦からも分かる通り、この4人の見事なチームワークも見どころの一つとなっている本作。
ちなみに、この『マイル22』の上映時間は、最近では短い部類に入る95分。監督自身の言葉通り、「やばいアクション映画」の最高峰と呼ぶべき数々の見せ場が、この短い上映時間の後半に一気に投入されることになる。
実際、安易にCGに頼ることをせず、あくまでもリアルなアクション映画として製作された本作だけに、バイクによる襲撃からのカーチェイス、更に爆破から壮絶な銃撃戦への流れは、迫力満点!
過去にその壮絶な戦闘シーンで観客に強烈な印象を残した『ブラックホーク・ダウン』や『プライベート・ライアン』に負けず、戦地で飛び交う弾丸の中にいる迫力が、観客にも十分に味わえるようになっている本作。
そのあまりに圧倒的な敵の戦力のため、次第に迷路の様なビルの中で追い詰められていく主人公たちの絶体絶命っぷりは、観客が思わず彼らに感情移入してしまうほどの緊迫感に溢れている。
加えて、シルバが自身の怒りを静めるために手首に巻いているゴムバンドや、重要参考人のリーが時折見せる、意味ありげな指の動きなど、登場人物に深みを与える様々な描写も、彼らの人間的魅力を観客に伝える効果を上げているのだ。
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こうした一癖も二癖もありそうな登場人物たちが、複雑に絡み合った人間関係や陰謀の中で、最終的に生き残りを賭けた壮絶な市街戦に突入していく様は、正に先の展開が読めない面白さ!
主人公でさえ、いつ死んでも不思議ではない状況の中、果たして最後まで生き残るのは誰なのか。輸送機の離陸時間が刻一刻と迫る中、シルバたちは無事に重要参考人を空港まで護送することが出来るのか? そして敵の攻撃の裏に隠された真の目的とは何か?
これら多くの謎が、95分に凝縮された密度の濃いアクションと共に展開する、この『マイル22』。その面白さと迫力あふれる戦闘シーンは、是非劇場で!
アクション映画でありながら、実は重要な"母親"という存在
本作で壮絶な市街戦に巻き込まれる地上部隊のメンバーには、実は二人の女性が含まれている。一人は見るからにタフな女戦士であるサム。そしてもう一人は、後半の銃撃戦で大活躍をみせる、娘を持つシングルマザーのアリスだ。
『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』でも、その見事な肉体と格闘技を観客に披露してくれた、ロンダ・ラウジー。彼女が演じるサムの、見るからに強そうな闘う女という印象に反して、アリスの方は外見上は普通の女性に見える。
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だが、彼女には守るべき娘の存在という、絶対に生きて帰らなければならない理由があり、そのことが地獄の様な戦闘の中で、彼女に強さを与えてくれるという素晴らしい展開に繋がっていくことになる。
そう、"やばいアクション映画"でありながら、本作で重要なテーマとなっているのは、実は母親の子供に対する愛情なのだ。
特に戦闘中、絶体絶命の危機に陥ったアリスが、女性や母親としての弱さを利用して生き延びようとする姿は、危機的状況の中でも冷静な判断力を失わない、彼女のプロ意識を表現していて、実に見事!
銃や格闘のスキルだけが、戦士の武器ではない! そう証明してくれる本作の魅力的な女性キャラクターたちの存在は、よくある男性主体のアクション映画とは一線を画す効果を上げているので、お見逃しなく!
最後に
観客の予想をことごとく裏切る展開の連続に、思わず鑑賞中、「これ、最終的に話は無事に終わるのか?」と、心配になってしまった本作。
残念ながらネタバレになってしまうため、詳しい内容の説明は控えさせて頂くが、その代わりに本作のイメージを、過去の映画のタイトルを使って表現するなら、『ブラックホーク・ダウン』+『サボタージュ』+『ヒート』+『ザ・レイド』+リメイク版『ジャッジ・ドレッド』+『ユージュアル・サスペクツ』といった感じだろうか。しかも、最終的にアクション映画版『SAW』になるという素晴らしさ!
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更に、本作での銃器に対するピーター・バーグ監督のこだわりも素晴らしく、特に映画の冒頭で登場する奇襲作戦で、アリスが見せるグロック拳銃でのフルオート射撃は必見!
もちろんアクションシーンだけでなく、登場人物たちのキャラクターや背景がちゃんと書き込まれている点も、本作成功の大きな要点となっているのだが、実はそれさえも、後半の展開への壮大な仕掛けの一部となっているのが素晴らし過ぎる本作。
映画の終盤で、重要参考人の護送という任務に隠された、ある巨大な陰謀が明らかになるのだが、「えっ、この先はどうなるの?」と思わせるその展開には、きっと多くの観客が続編を期待されたのではないだろうか。
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シンプルなタイトルやポスターデザインから、良くあるB級アクションの様に誤解されそうな本作だが、これこそ正に思いがけない拾い物!
スルーしないで劇場で観て良かった! 鑑賞後にそう思うことは確実な、アクション映画の隠れた傑作なので、全力でオススメします!
(文:滝口アキラ)
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