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耳で観る話題作『THE GUILTY/ギルティ』の魅力とは?緊急司令室のみで展開する新感覚サスペンス

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■橋本淳の「おこがまシネマ」

どうも、橋本淳です。

29回目の更新。今回もどうぞよろしくお願いします。

大多数の人が常に持っているもの、携帯電話。電話というものは、気づけば、なくてはならないものになっている。

携帯電話なるものが出てきて、メールなんて機能がついて、写真を撮れるようになり、今ではパソコンの代わりを務めるほどになっている。常に携帯し、常に連絡が取れる、便利な世の中になったものです。

しかし、ふと思う。電話を掛ける。この行為、割と暴力的だなと。

相手側が、いま、何処で、何をしているか分からない状態にも関わらず、こちら側のタイミングで強制的に相手の時間を奪う。出なかったら出なかったで、留守電に用件を残したり、履歴に残ったりで、コールバックを要求(されているように無意識に感じる)。

冷静に考えるとなんだか怖いと感じるのは私だけでしょうか。

その上、通話しているときに頼りになるのは、声と言葉遣い。こちらの意図としていることがうまく伝わらず、相手側の解釈で、関係が難しくなることも。実際に会ってやり取りすれば、簡単に済む事柄も、声だけ、文章(メール)だけだと、なかなかに労力を使う。便利なものだけれど。出し手と受取り手、の疎通が難しく、ある程度の互いの想像力と察してぇ〜という強い思いが必要だなと。

「なんか電話だと、怖いよね、、、」と、誰しも、言われたことも言ったこともあるでしょう。なんでしょうね。

なんだか最近、電話にまつわる諸々が怖いと感じるのです。

この映画を、観たからでしょうか、、、


今回はコチラをご紹介。

『THE GUILTY/ギルティ』




(C)2018 NORDISK FILM PRODUCTION A/S


サンダンス映画祭で観客賞を受賞し、各映画祭でも話題沸騰の今作。第91回アカデミー賞外国語映画賞デンマーク代表でもあります。ジェイク・ギレンホール主演でハリウッドリメイクも発表されたようで、注目度バツグンです。

とにかく、やられた!という映画。聴覚だけでここまで出来るのかと衝撃をうけ、のめり込みました。ひとつの発想から、この脚本を書き上げたセンスとテクニックに脱帽です。


あることをきっかけに緊急司令室のオペレーターをすることになった警察官のアスガー(ヤコブ・セーダーグレン)。交通事故の緊急搬送や、様々な事件に応対していく日々だった。酔っ払いからの電話や、些細な事件、深夜のケンカなど大小様々な事件を遠隔で解決に導く仕事。

そんなある日、一本の通報がアスガーの元に。現在、今まさに誘拐されているという女性からの電話だった。男に車で連れ去られていると。頼りになるのは、電話の声と音と少ないデータ情報のみ。電話から聞こえる、車や雨や息遣いなど微かな音に耳を傾け、事件を解決しようと、アスガーが動き出すが。


シーンとして視覚的には緊急司令室の無機質な部屋のみ。観客もアスガー同様、掛かってきた電話の音に耳を傾ける、全神経を聴覚に傾けます。(実際私自身は目を閉じて音に集中している時間もありましたね。)

尺も88分という短い時間、話もどんどん進んでいきます。観ているシーンはずっと同じシチュエーションなのですが、脳内では話している人物の姿を想像したり、どんな車なのか、どの程度の雨なのか、距離感はこのくらいだろうか、部屋の大きさ、血の量は、、、などどんどんイメージが広がります。

音のみが頼りなので、観ている人それぞれが、それぞれのイメージで話を観ていく、推薦コメントにもあったように、まさに"耳で観る映画"でした。

脚本も見事に練られていて、観客のミスリードを誘い、よりドラマティックにそして観る人に委ねる展開になります(ヒントがあるので大体の解釈は定まりますが)。

小説を読んでいる感覚に似ています。読み手のイメージでキャラクターや情景が変わるように、この映画もそれぞれで見ている風景が変わる、不思議で画期的な映画で。本当に感動です。

音が命ですので、ぜひこれは映画館で!

監督はグスタフ・モーラー。なんと本作で長編デビュー!

このプロットを思いつき、リサーチをし続け、何度も脚本を書き直し推敲を重ねたようです。

声へのこだわりも強く、キャストオーディションでは有名無名関係なく、名前も姿も知らない状態で声のみで選定。どの声なら観客の想像力を掻き立てられるか分かってきた、と語っています。

そして、あらゆる環境音は何度も試し、実際作りあげた音を今度はどのように流すか、どうすれば効果的かなど、計算しつくされた音響設計。これは本当に見事です。

人間の想像力は、すごい。

まさに無限のエンタメです。

そこに着目し、見事に具現化した本作は素晴らしい。

米アカデミー賞ノミネート作品が軒並み公開している現在ですが、是非とも耳で観る作品も鑑賞してみてはどうでしょう。駆け込むなら今ですよ。

それでは、今回も、烏滸がましくも紹介させていただきました。

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