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2019-07-26

その他

令和元年の夏に見てほしい2つの戦争映画

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平成から令和に元号が変わって初めての夏がやってきました。

日本の夏といえば、どうしても8月15日の終戦にまつわる戦争の記憶が毎年呼び起こされていきます。

戦後74年、世の中はかなりきな臭くなってきていますが、そんな中で今一度戦争とは何かを確認するためにも映画はとても有用化かと思われます。

7月26日からは戦艦大和建造を数学的見地で描いた異色作『アルキメデスの大戦』が劇場公開されますが、今回は自宅でも配信で戦争の時代を体感できる作品を2本紹介したいと思います。

異邦人の視線で戦後を見据えた
『終戦のエンペラー』




(C)Fellers Film LLC 2012 ALLRIGHTS RESERVED



まずは終戦後、アメリカに占領された日本を舞台にした『終戦のエンペラー』。

ここでは、かつて日本に住んだことがあり、日本人の恋人あや(初音映莉子)もいた知日派アメリカ人フェラーズ准将(マシュー・フォックス)が、GHQ最高司令官マッカーサー(トミー・リー・ジョーンズ)の命令で、太平洋戦争の始まりを告げる日本軍の真珠湾攻撃の意思決定に昭和天皇(片岡幸太郎)が関与していたかどうかを調査していきます。

アメリカでも日本でも天皇の戦争責任を問う声は多かったわけですが、どこか曖昧模糊とした日本人独自の気質の中、書面など具体的な証拠こそないまでも、天皇が開戦に消極的であったことや、終戦の際も官僚らにポツダム宣言の受諾に同意してほしいと自ら懇願していたことをフェラーズは確信していきます。

そんなフェラーズからの報告を聞いたマッカーサーは、天皇との会談を求め、赤坂の米国大使公邸にて両者は邂逅しますが……。

ここでは天皇の戦争責任がどのようにして回避されたか、そのきっかけとなるマッカーサーとの会談をクライマックスに、アメリカ人の目線で終戦直後の日本を捉えていきます。

アメリカ人から見て異国情緒あふれる日本を、その驚きを隠すことなく、しかしながら単なるフジヤマゲイシャ的感覚に陥ることなく描いているあたりが好感の持てるところで、これには数々のヒット曲で知られる作詞家で、宮内庁職員・関谷貞三郎を祖父に持つ企画者・奈良橋陽子の功績も大ではあるでしょう。

特筆すべきはマッカーサーに扮する名優トミー・リー・ジョーンズで、まるで記録映像からそのまま飛び出してきたかのようなインパクトに圧倒されます。

フェラーズは実在の人物で、ヒロインあやのモデルとなった女性もいたようですが、彼が調査の際に東条英機(火野正平)らと面会した事実はないなど、いくらかフィクションも交えながらの戦後秘話。実際の史実はどうだったのか、この作品をきっかけにいろいろ調べてみるのも一興ではあるでしょう。

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戦場の狂気をクールに見据えた
反戦映画『野火』


野火 メイン ネタバレなし

 (C)SHINYA TSUKAMOTO/KAIJYU THEATER



さて、戦争を始めるのも終わらせるのも、その後処理をするのも結局のところはお偉方なわけですが、実際に戦争が始まって戦場に赴き、殺し殺されのむごたらしい血を流していくのは一般庶民です。

映画『野火』は南方フィリピン戦線の島(原作ではレイテ島となっています)に送られた兵士・田村一等兵(塚本晋也)がそこで体験するさまざまな地獄絵図を描いた戦場映画です。

高校時代に大岡正平の原作小説を読んだ塚本晋也監督は、これを映画化するのを宿願としており、20年の歳月を経て製作・監督・脚本・撮影・編集・主演を兼ねた自主製作映画として、2015年に完成させました。

灼熱の中の孤独と飢餓、差別、迫害など人間の赤裸々な姿が戦場という名の狂気のもとで繰り広げられていきますが、ユニークなのは熱帯のジャングルを舞台にしながら登場人物の誰も汗をかいていないことで、灼熱なのにどこかしらクールな佇まいが、より戦場の中での人間の狂気をぞくっとさせる冷たさで描出しているようにも思えてなりません。

本作は1959年にも市川崑監督のメガホンで映画化されていますが、このときはモノクロで撮られていて、当然ながら視点も異なるので双方見比べてみるのも面白いでしょう。

本作は公開されるや戦争を知らない若い世代を中心に大きな衝撃をもたらすとともに、塚本監督の反戦のメッセージを汲みながら日本中で大きな支持を集め、今でも毎年夏になると必ず各地で上映がなされるようになっています。

今年もきっとどこか上映が予定されていることでしょうが、予定のない地域にお住まいの方はぜひ配信などの手段を使って、断固戦争を否定する本作に触れてみてください。

ちなみに本作は、キネマ旬報ベストテン第2位など多数の賞を受賞していますが、その中に毎日映画コンクールの男優主演賞も含まれています。

今や名匠として名を馳せる塚本晋也監督ですが、実は俳優としても出色の存在であるのです(『シン・ゴジラ』の彼とかも素晴らしかったですものね)。

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(文:増當竜也)
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