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2019年10月27日

世界が驚いた実在のDIY宮殿 !奇想の宮殿“シュヴァルの理想宮”とは?

世界が驚いた実在のDIY宮殿 !奇想の宮殿“シュヴァルの理想宮”とは?




ある郵便配達員が33年の歳月をかけ、たった一人で築き上げた“シュヴァルの理想宮”。ピカソやアンドレ・ブルトンが絶賛し、フランス政府指定の重要建造物となった奇想の宮殿の誕生秘話『シュヴァルの理想宮ある郵便配達員の夢』が、 12月13日(金)全国公開される。

周囲に変人と噂されながらも、途方もない夢を実現した男・シュヴァル。この風変わりな人物を見事に体現したのは、『レセ・パセ自由への通行許可証』(02)でベルリン国際映画祭男優賞を受賞した名優ジャック・ガンブラン。夫を傍で見守り支える妻フィロメーヌ役にレティシア・カスタを迎え、ニルス・タヴェルニエ監督が精緻に描き出す映像美で、この驚くべき実話を映画化。撮影はほぼ全編をとおし現存する“シュヴァルの理想宮”で行われた。


奇想の宮殿“シュヴァルの理想宮”とは?




≪ collection Palais Ideal - Frederic Jouhanin ≫



郵便配達員のジョゼフ=フェルディナン・シュヴァル(1836-1924)が、たった一人で石を拾い集め、すべて手作業で築き上げたフランス南東部ドローム県のオートリ―ヴ村に現存する理想宮。1879~1912年の33年間、9万3000時間を費やし完成。スケールは東西26m 、北 14m、南 12m 、高さ8~10m(※1)。古今東西の様々な建築様式やモチーフが混在し、雑誌や絵はがきを情報源に空想癖の強いシュヴァルが思い描いた夢想が表現されている。



≪ collection Palais Ideal - Memoires de la Drome ≫



ある日奇妙な形の石に躓いたことをきっかけに、建築や石工の知識を持たない一介の郵便配達員が建て始めた不思議な建物はやがて噂を呼び、新聞や雑誌でも紹介されるようになり、1905年の夏には見物人が一日平均50人も訪れていたという。シュヴァルの死後、シュルレアリスムの旗手アンドレ・ブルトンを筆頭に、“素朴派唯一の建築物”と高い評価を受け、画家のピカソやニキ・ド・サンファルも絶賛。ピカソはシュヴァルをモチーフにした素描も残している。1969年、当時の文化相アンドレ・マルローの尽力により仏政府の重要建造物に指定。現在では世界中から年間17万5千人(※2)が訪れる一大観光スポットとなっている。 
※1 シュヴァル本人の証言による  
※2 2017年時点での情報

シュヴァルの夢が具現化された宮殿




≪ collection Palais Ideal - Frederic Jouhanin ≫


宮殿の壁面はさまざまな動植物のモチーフをはじめ夥しい数の細かな装飾に覆われている。
また、宮殿には「夢は現実になる」などのシュヴァルの言葉が数多く刻まれ、「1879~1912年 作業日数10,000日 作業時間9300時間 33年間の苦難 私以上に辛抱強い人にしかできない苦行」との言葉も。西側のテラスには、宮殿建築のきっかけとなった「躓きの石」も鎮座している。

★ちなみに......
アンコールワットがフランス人冒険家により発見され、西欧に知られるようになったのは1863年頃(シュヴァル37歳)。劇中でもシュヴァルが新聞によってアンコールワットの写真を目にするシーンがある。(アントニ・ガウディの代表作サグラダ・ファミリアの着工は1882年。日本では1912年に初代通天閣が完成している。)

数字で見る「シュヴァルの理想宮」がすごい!




≪ collection Palais Ideal - Frederic Jouhanin ≫


・たった1人で理想宮を制作
・制作時間は33年間、時間にして9万3000時間
・郵便配達員として毎日32Kmを歩く
・29年間の勤務で地球5周分(22万2720Km)を歩く
・理想宮完成後、また8年をかけ家族の墓を制作

「シュヴァルの理想宮」に魅せられた著名人たち




≪ collection Palais Ideal - Frederic Jouhanin ≫


シュルレアリスムの旗手、アンドレ・ブルトンをはじめ、画家のピカソ、ニキ・ド・サンファルも理想宮を実際に訪れ絶賛。ピカソはシュヴァル(=馬の意)をモチーフにした素描も残している。日本では澁澤龍彦によって紹介されたのが最初で、水木しげるもこの地を訪れ感銘を受け、短編「フランスの妖怪城」を書きあげた。

【ジョゼフ=フェルディナン・シュヴァル】




≪ collection Palais Ideal - Memoires de la Drome ≫


Joseph Ferdinand Cheval 1836/4/19 -1924/8/19
オートリ―ヴの南に位置するシャルムに農民の子として生を受ける。パン職人としての修業を経て、31歳の時に郵便配達員となり定年の60歳まで勤め上げた。配達の為に歩いた距離は1日32km、29年間で22万2720km=地球5周分にも及ぶ。理想宮の着工が43歳、完成時は76歳であった。さらに2年後には妻と自分が眠るための“終わりなき静寂と休息の墓”を共同墓地に築き始め8年かけて完成。1924年88歳で死去した。

★映画では、郵便配達員のシュヴァルが一人目の妻ロザリーを亡くしてから、理想宮、さらには家族のための廟を作るまでの半生を描いている。

※参考文献
シュヴァルの理想宮公式HP
岡谷公二著「郵便配達夫シュヴァルの理想宮」河出書房新社刊

ストーリー




日々村から村をまわる郵便配達員のシュヴァル。寡黙で不器用な男がある日、愛娘アリスのために “おとぎの国の宮殿”を建てるという奇想天外の挑戦を思いつく。村人たちに馬鹿にされながらも、来る日も来る日もたった一人で石を運び、積み上げ続けるシュヴァルだったが、過酷な運命が容赦なく彼に襲い掛かる…。




公開情報


『シュヴァルの理想宮ある郵便配達員の夢』
監督: ニルス・タヴェルニエ(『エトワール』、『グレート デイズ! ―夢に挑んだ父と子―』) 
出演:ジャック・ガンブラン、レティシア・カスタ、ベルナール・ル・コク、フロランス・トマサン
原題:L'Incroyable histoire du Facteur Cheval
2018年/フランス/フランス語/カラー/ビスタ/5.1ch/105分 字幕翻訳:星加久実 配給:KADOKAWA
(C)2017 Fechner Films - Fechner BE - SND - Groupe M6 - FINACCURATE - Auvergne-Rhone-Alpes Cinema

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