映画コラム

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2020年01月17日

『ジョジョ・ラビット』『マイテイ・ソー』監督の出世作『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』の見どころ

『ジョジョ・ラビット』『マイテイ・ソー』監督の出世作『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』の見どころ



モキュメンタリー方式と
アドリブ演技が放つ異彩


本作はタイカ・ワイティティとジェマイン・クレメントの共同製作&脚本&監督作品で出演も兼ねています。

ユニークなのは役者の演技はほぼほぼ全編アドリブで、またヴァンパイアたちに密着取材を試みたフェイク・ドキュメンタリー=モキュメンタリー方式を採用しているところでしょう(このあたりはニール・ジョーダン監督の秀作『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』をオマージュ的に意識しているのかもしれません)。

これによってどことなく飄々としたおとぼけタッチが好もしく醸し出されたコメディとして屹立され、ヴァンパイア映画としても異彩を放ったものとなっています。

特にワイティティ監督はアドリブが好みのようで、本作が認められて大抜擢された『マイティ・ソー バトルロイヤル』や『ジョジョ・ラビット』でも現場のアドリブを重視しながら、俳優陣の資質を引き出すことに腐心しています。

このあたりは俳優でもある彼ならではの信念でもあるのでしょう。

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またニュージーランドといえば、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズなどのピーター・ジャクソン監督が若き日に『バッド・テイスト』などのグロテスク・ホラー映画で台頭し、やがて世界へ羽ばたいていった歴史もありますが、本作もどことなく風土的かつ資質的に似た雰囲気を感じないでもなく、時折出てくるグロテスクな描写もやはりブラック・ユーモアに裏打ちされています。

いずれにしても本作はトロント国際映画祭ミッドナイト・マッドネス部門やシッチェス映画祭で観客賞を受賞するなど世界中のファンタスティック映画ファンの支持を得て、ワイティティ&クレメント両監督のハリウッド進出の足掛かりとなりました。

本作自体も後にアメリカでワイティティ&クレメント両監督の総指揮による“WHAT WE DO IN THE SHADOWS”のタイトルでTVドラマ化されていますが、2020年の4月からスタート予定のシーズン2には『スター・ウォーズ』サーガのルーク・スカイウォーカー役で知られるマーク・ハミルがゲスト出演するとのこと。

日本ではまだ放送&配信などはされていませんが、今後の展開にも期待したいところです。

またワイカティティ監督は『スター・ウォーズ』サーガの世界観を踏襲したTVシリーズ“THE MANDALORIAN”の1エピソードを演出し、その後『マイティ・ソー』シリーズ第4作の監督を務める予定となっています。

(文:増當竜也)

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