『仮面病棟』永野芽郁の演技が凄い!その見どころを解説!



©2020 映画「仮面病棟」製作委員会



現役の医師でもある作家、知念実希人の同名ベストセラー小説を、坂口健太郎と永野芽郁の共演で映画化した話題作『仮面病棟』が、3月6日から劇場公開された。

TVスポットや予告編で見た限りでは、ピエロのマスクを被った犯人に病院ごと監禁された状況から、人々が決死の脱出を繰り広げるサスペンス映画? そんなイメージが強かった本作。

気になるその内容と出来は、果たしてどのようなものだったのか?

注:以下は若干のネタバレを含みます。鑑賞後にお読み頂くか、本編を未見の方はご注意の上でお読み下さい。

ストーリー


先輩医師から頼まれて、一夜限りの当直医師をすることになった速水(坂口健太郎)。だがその夜、コンビニを襲った凶悪犯が、速水のいる病院に立てこもり、速水たち医師と患者たちは病院内に閉じ込められてしまう。
ピエロの仮面を着けた犯人に撃たれてケガを負った女子大生の瞳(永野芽郁)の協力を得て、速水は危険な密室と化した病院から必死の脱出を試みる。やがて明らかになる病院に隠された秘密、そして犯人の意外な目的とは?


予告編




見どころは永野芽郁の演技と豹変ぶり!



TVスポットや予告編でのイメージから、病院を舞台に展開する脱出サスペンスを期待して鑑賞に臨んだのだが、実はかなり予想とは違った内容に仕上がっていた、この『仮面病棟』。

実際、ネットに上がっているレビューの中にも、出演キャスト陣の演技への評価とは対照的に、ストーリーや設定に対する厳しい意見が見受けられた。



©2020 映画「仮面病棟」製作委員会



例えば、意外に規模の小さい病院や最小限の登場人物、更に出入り口となる階段一箇所を閉鎖しただけの密室など、必死で謎を解いて脱出しようとする主人公たちとは、若干不釣合いに感じるその舞台設定には、やはり多くの方が言及されていた。

実は自分も、永野芽郁の表情や髪型への違和感が終始気になってしまい、この部分はもう少し配慮出来なかったのか? そう思わされた次第。

こう書いてしまうと、まるで出来の悪い映画だと誤解されそうだが、その点は大丈夫! 何故なら、こうしたマイナス要素は、ラストの展開で大きく覆されることになるからだ。

そう、あくまでも本作の見どころは、映画終盤に用意された謎解き部分と、犯人の意外な正体や犯行の動機にあるのだ!



©2020 映画「仮面病棟」製作委員会



詳しく書くことは避けるが、この謎解き部分で見せる永野芽郁の豹変ぶりは素晴らしく、事件に巻き込まれた普通の女子大生から、まさに往年の梶芽衣子主演作を彷彿とさせる、永野芽郁版の『さそり』となる展開は必見!

それまで気になっていた不自然さや違和感は消え、強い意志を持った女性の顔が現れる、映画終盤での演技の切り替えや表情の変化は、まさに永野芽郁の演技力があればこそ! そう思わされた本作。

TVスポットから受ける、巨大な密室と化した病院からの脱出! というイメージに囚われず、事件の意外な背景や最後の謎解き、そして永野芽郁の演技力を楽しむのがオススメです!

最後に



実は、あの『屍人荘の殺人』の木村ひさし監督が演出を務めていると聞いて、今回も同じようなベストセラー小説の映画化ということもあり、実際に本編を観るまでは、かなり不安だった本作。



©2020 映画「仮面病棟」製作委員会



ただ、同じ木村ひさし監督による『任侠学園』が素晴らしい出来だっただけに、正直どのような内容に仕上がっているのか? 全く予想がつかないまま鑑賞に臨んだのだが、残念ながら多くの方々の意見と同様、終盤までは違和感や疑問・不満を感じずにはいられなかった。

何故なら、すでにネット上でも指摘されているように、明らかに怪しい当直のスタッフや、あまりに唐突に登場する院長。更には、どう考えても身元不明の患者にはならないのでは? と思わせる重要な設定への疑問など、ミステリーものとして鑑賞するには、かなり観客側の努力が必要と思われる内容だったからだ。

とはいえ、ラストの謎解き部分からの意外な展開や、予想外に重い犯人の動機などが、それまでのモヤモヤを解消し、本作の評価を一気に押し上げてくれているのも事実。

例えば、映画化に際して新たに付け加えられた速水の過去が、犯人の動機や悲しい過去と交差する展開は、永野芽郁の変貌ぶりと合わせて、それまでのモヤモヤした気持ちを一気に晴らしてくれて、実に見事!

加えて、今回主役に坂口健太郎を起用したことにより、彼の持つ誠実なイメージが、犯人が速水に共感する展開に説得力を与てくれるのも、終盤の謎解き部分が成功した大きな理由と言えるだろう。
 
それだけに、できればエピローグ的なシーンを付けずに、暗転で映画が終わってくれていれば、その後の展開を観客側に委ねることができて、更に深い余韻を残したのでは? そう思わずにはいられなかった。

これから鑑賞を予定されている方は、出来れば鑑賞後に原作小説を読まれることをオススメします。

(文:滝口アキラ)

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