インタビュー

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2020年08月06日

弘兼憲史「獺祭の挑戦」冒頭無料配信!〜中興の祖・桜井会長対談とともに〜

弘兼憲史「獺祭の挑戦」冒頭無料配信!〜中興の祖・桜井会長対談とともに〜



これから


新型コロナウィルス感染症は2018年の豪雨被害にも勝るダメージを世界中に与え続けている。獺祭はコロナ禍にどう立ち向かい、どのような戦略で生き残り成長を狙っていくのか。漫画の最終ページの続きが語られる。




──新型コロナウィルス感染症で人々の外出が減るなか、どのようなビジョンを描かれていますか?

桜井:やっぱり、長引きますよね。まず現状でいうと、ちゃんと酒蔵が健康体でいるように持っていかないと。あとは輸出でしょうね。売れるところで売るというのはどうしようもない現実だと思うので。

弘兼:飲食店の自粛って東京ではすごくやっていますけれど、例えば岩手県でもやっていますか?

桜井:第一号にみんななりたくないから。東京のお客さんより岩手県のお客さんの方が、もっとコロナを怖がっているんですよ。

弘兼:おまえのせいだって言われたら(笑)

桜井:ここが日本経済の弱点だろうなと最近思うんですけれど。確率の問題だからそんな大した問題じゃないから、お店に行きそうなもんだけれど行かない。

──感染者が少ない、岩手にしても鳥取でも出歩いてもいいはずなんだけど、出歩かない。獺祭なんかもお店に卸している方が多いのでは?

桜井:中国では感染したにも関わらず立ち直るの早かったでしょ?感染のスピードが全然落ちていないのにアメリカがそれほど痛んでいないですよね。それに比べて日本の文化が、ひ弱なのかなという感じがします。ただこの中でやっていかざるを得ないから、この市場も受け入れつつ、やっぱり海外をある程度見ていくしかないね。

弘兼:前からね、寿司がいま世界で流行っているんだったら、寿司と一緒に日本酒も行くべきだって思ってたんです。寿司とワイン、寿司とウィスキーってやっぱり合わないからね。

桜井:大きなチャンスがあるんですよね。目の前に寿司ブームがあって、これを使わない手はないです。

──桜井さん、中国はマーケットとしては大きいわけですよね?

桜井:今現在中国の売り上げは相当伸びています。今年のうちの輸出割合が、全部の売り上げの40%なんですね。その40%の半分は中国です。

弘兼:今回のマンガの中では、ゆくゆくは9割くらいは輸出したいと言われていたので、それを描いていたんですけれど。

桜井:でもそれは、現実で考えたらそうなるでしょ?

弘兼:ワインがあれだけ高値で流通していますからね。

桜井:ロマネコンティが地元のフランスで、県で、どれだけ売れてる?

弘兼:確かにね、地元では一本数百万もするワインは買わない。やっぱり日本とか中国とかアメリカとかで売れてる。それならすごい山田錦で作った4合瓶の獺祭を1本100万円くらいで売ったとしても、買ってくれる人がいるかもしれませんね。

──日本酒も世界的にみたら安い。

弘兼:この間、クリスティーズ(美術品オークションハウス)のカタログに十四代の龍泉(山形県の日本酒のハイブランド)が出てていたんですよ。予想価格が40万円くらいでしたね。50万くらい以上で落札されるのではないかと思いますよ。

桜井:そういう領域へ突っ込んでいかないといけないかもしれないね。どういうやり方をするかは別にして、そこに入っていかないと将来はない。

──日本酒としてやる余地があるかもしれないですね。

弘兼:日本でも龍泉が40万円くらいで取り引きされているので、海外だったら80万円くらいになってほしいんだよね。獺祭もクリスティーズなんかで出す気はないんですか?

桜井:今、その話はしていましてね……。そのマーケットを作らないと将来がないというのは分かっています。どうやってやるかは今は説明できないけれど、そこに入り込んでいこうとしているのは確かです。

──マンガを読んでいると息子さんの方にうまくバトンタッチして繋いでいるような印象がある?

弘兼:一宏さん、社長になりたての頃は人前ではちょっと緊張するときがあったけれど、今は結構みんなの前で堂々としゃべるようになって、社長として風格出てきましたよね。

──安心ですね。

弘兼:いまおいくつでしたっけ

桜井:43ですね。

弘兼:50くらいになったら絶対風格でてきます。僕も40代のころはあんまり出なかったからね。

桜井:ですね。まあ40代の頃は本当に芽が出ていなかったからね

──厳しいもなにもないですよね(笑)ありがとうございました。

弘兼さんが描く桜井会長の成長譚は好評発売中!


2020年7月22日に発売された「獺祭の挑戦〜山奥から世界へ〜」は好評発売中。桜井会長が経営に苦しむ旭酒造を継ぐところから始まり、獺祭の誕生、日本酒業界の常識を覆す斬新な経営改革、世界戦略を目指すこれからの展望までが112ページの漫画として収められている。

獺祭がどうして日本酒ファンの心を掴んで話さないのか、二人の対談と本書を読み進めていくことで理解できることだろう。

「獺祭の挑戦〜山奥から世界へ〜」書籍情報・購入ページ

(取材・文:奥野大児)

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