インタビュー

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2020年08月06日

弘兼憲史「獺祭の挑戦」冒頭無料配信!〜中興の祖・桜井会長対談とともに〜

弘兼憲史「獺祭の挑戦」冒頭無料配信!〜中興の祖・桜井会長対談とともに〜



自社でデザインする


獺祭という名前。白地に黒い文字のシンプルなラベル。今でこそ馴染みあるデザインだが、当時の日本酒ではとても珍しかった。こうした決定も桜井会長が行った。
「獺祭」という名前の由来は、漫画の「獺祭の誕生」の節に記されている。




──漫画で面白かったのは、ネーミングを桜井さんで決めたエピソードです。

弘兼:獺祭という名前、よくつけましたよね。海外に展開するのに、日本酒の名前に付けられがちななんとか錦・なんとか誉では覚えられないのではないでしょうか。獺祭ならワンフレーズ、「DASSAI」で大丈夫。

桜井:今の事業規模で獺祭とつけろと言われたら、その度胸はないですね(笑)

たかが年商1億くらいの会社のプライベートブランドでしょ。だから気軽につけられたんですよ、獺祭という名前が。

──気軽さは大切ですよね。

弘兼:昔ながらの日本酒の名前では似たようなラベルになってしまうし、獺祭のような白地に黒でボーンと書かれているのが良いですね。

桜井:それまでの酒のラベルには抵抗があったんですよ。日本酒のラベルをデザインする会社が少なくて、山口の酒と他県の酒が同じデザインになりかねないんです。旭富士(獺祭の前身の酒)と他県の酒が同じデザインになっていたりして。

昔は県ごとくらいしかお酒が流通しなかったからよかったけれど、東京なんかで県を超えてお複数の酒を見ることになると「あれ、同じラベルだ」っていわれることになっちゃいます。

──そういう企業に頼まない怖さはなかったですか?

桜井:それはなかったですね。それより酒が売れない方が怖かったです。それより怖いものってないですよ。

──いろいろな意味でチャレンジングなんだけど、ビジネスの法則で言ったらまっとうなことをやられているんですね。

桜井:僕はよく言うんですよ。「当たり前のことを当たり前にやっただけです」って。

杜氏を使わないのだって、製造ですから一番大事でしょう?酒蔵ですから、メーカーですから。それを内製化しただけ。周年で製造する四季醸造が日本の伝統を壊したって言われるけれど、メーカーですから。酒蔵の稼働率を考えるのは当たり前。

──酒米の自家栽培もしている。

桜井:原料となるお米を増やそうとしただけです。

弘兼:お米もね、農協に行ったら、彼等にとっては酒蔵に勝手に米を作られると困るわけだから冷たい態度を取られる、って書いてありましたものね。

桜井:全農の担当者と話したら、そして農協の担当者と話していたら、同じ日本語なんだけれど、何話しているか意味がわからない(笑)

弘兼:霞が関用語ならぬ農協用語ですね。

桜井:日本語じゃないですね。

──さらっと言われてますけれど、ひとつひとつ既得権益を壊している。ラベルもそうだし、農協だって。

弘兼:桜井さんって喧嘩っ早いですよね(笑)

桜井:そのときに良いポジションにいる人たちは、その状況で安穏としている方がいいから動いていかないでしょ。酒蔵の人って多くは地方の名士じゃないですか。その点うちは負け組ですから。

弘兼:桜井さんが昔からある酒造りをやっていたら獺祭はできないと思いますよ(笑)今まで通り、業界を乱さないようにしてたのでは。

──とはいえ、やると反発や嫌がらせはあったんじゃないですか? 

桜井:それはありますよ(笑)

弘兼:今でも、こんな一番売れているお酒がですね、地元のお酒のイベントで一番端に置かれることがありますからね。

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