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2020-09-08

洋画実写

『グッバイ、リチャード!』のレビュー:ジョニー・デップがたしかな演技力と表情力で魅せる本当の生の体験

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■橋本淳の「おこがまシネマ」

どうも、橋本淳です。65回目の更新、今回もよろしくお願いします。

若い時にどういう作品に出会うか、どんな音楽を聴いてきたか、どんなものに触れてきたか、それによって人格構成がこんなにも変わるんだなと感じている最近のワタクシです。

もっと色んなものに触れておけば良かったと、常々思う。

小さい時に、大人からはそういうようなことを言われ続けていたはずなのに、その当時はよく分からずスルーしていた。もしスルーせずにいたのなら、もっと教養もあり知識も知恵も身についた大人になっていたのに。と、後悔しても遅いので今少しづつ取り戻せるはずのない時間を必死こいて逆行し、足掻いている段階でございます。

ですので、このページをみている若い人たちには(見ている人いるのか)、ぜひ後悔しないでもらいたい、と思うのです。小生の文は、非常に拙くて申し訳ないのですが、紹介する傑作の数々は本物です。ぜひ心で触れて欲しいと思うのです。

映画こそ、人の人生を豊かにするもの、だと信じています。

それでは、コチラの作品をご紹介。

『グッバイ、リチャード!』





大学教授であるリチャード(ジョニー・デップ)は、ある日、医者から「余命180日です」と突如、ガンであることを宣告される。それまで、美しい妻ヴェロニカ(ローズマリー・デヴィット)と素直で可愛らしい娘オリヴィア(オデッサ・ヤング)と、何不自由ない暮らしを送っていたはずなのに、その人生は一変する。

そして妻ヴェロニカからは、追い討ちを掛けるかのように、リチャードの勤める大学の学長であるハリーと不倫していると告げられる。リチャードは一旦現実を受け入れられないような自暴自棄のようになるが、待ち受ける死に対し、もはや怖いものなしとなり、残りの自分の人生を謳歌しようと考え始め、行動していく。

妻や娘に自分の病気のことは、話せずにいたリチャードであったが、唯一の親友であり同僚のピーター(ダニー・ヒューストン)にだけは打ち明けられた。それまでは、どちらかと言えば静かで地味な生活を送っていたリチャードであったが、授業中に、酒を飲んだり、マリファナを吸ったりとルールや立場に縛られない新しい生き方をしていく。

そのことによりリチャードはこれまで味わったことのない喜びや快感を得る。そして何ものにも縛られない彼の言動は周囲の人に影響を与えていく。

しかし、リチャードの終わりの日は刻々と近づいてくる。。。




ウェイン・ロバーツ監督、ジョニー・デップ主演の本作。尺長91分。

日本では、単館で数少ない上映館しかやってないのが本当にもったいない。

中盤からは、涙を流すというより、ずっと目頭目尻に涙を溜めながら、ウルウル状態(これ大事、好きな映画はだいたいこうなるんです)で鑑賞し続ける感じでした。

死を意識しだしてからの人間は、そこから本当の生を体験することを、まっすぐ伝えてくれます。

そしてとにかく台詞が良いのです。リチャードが生徒に説く場面や、別れのスピーチでの言葉が突き刺さる。重くなりがちな題材を、軽妙でウィットにとんだ台詞と、ジョニー・デップのたしかな演技力、表情力で作品に奥行きと彩りが加わる。

自分に残された時間がないと知ってからの彼の行動によって、周囲の人から引き出されるものにとても感動します。それは、言葉であったり、表情であったり、温度感であったり、距離感であったり、そのキャラクターそれぞれなのですが、そこがこの作品の肝であり、世に残しておきたい彼の思いの具現化なのではないかと思います。

娘から、実はレズビアンであると告白されたとき、父リチャードは優しく受け入れた。(母はまぁ旧時代の反応ですが) 告知を受けてから、終始リチャードは、だらしなく、一見辛辣な言葉を吐き続けるが、目はずっと優しいままだった。各人物にリチャードが、真っ直ぐな言葉を投げる素敵なシーンはいくつもありますが、娘との別れのシーンで、抑え込んでいたものが漏れ出してしまうシーンがこの作品のハイライトだなと思います。

ジョニー・デップ自身も、「リチャードは感情を露わにしない人物だと思っていたけど、オデッサとのシーンでは顔面に蹴りを入れられるほどの衝撃を受けて、その限界を超えられた瞬間が良かった。彼女とその瞬間を共有でき、リアルに感じた」と語っています。その嘘や狙いや雑念がないシーンは、観るものを真に感動させること間違いなしです。




いまこの世を生きている人間に、ぜひ観ていただきたい本作。

若い人には是非観ていただきたいと思いました。

これからのために、これから生きる後世の人達に伝えるために、大切なものをくれる本作を、おこがましくも紹介させていただきました。

ぜひご覧ください。

(文:橋本淳)

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