『TENET テネット』のレビュー:開始1秒から鑑賞者を掴んで離さないノーランの豪腕を映画館で感じて!
どうも、橋本淳です。67回目の更新、今回もどうぞよろしくお願いします。
10月に入り東京もグッと寒くなり、今年も終わりだなぁと感じるようになってきました。大変な2020年もゆっくりと終わりが見えてきました。
いい年ならば、もう一度この年を過ごしたいと思うけれども、今年はやはりそんなことは微塵も思わず、早く過ぎて欲しいと願うばかり。もちろんいいこともあったのだけれど。時間は流れていくものだけれど、速度をいじることができるのならば、何倍速にも巻いて欲しいと願うばかり。
時間という人間にはどうやっても変えられないものに、対してこう思うのも変な話ですが。しかし想像力で対抗するということができる人間の不思議。変な生き物ですね。
そんな変な導入から、今回はこちらの作品をご紹介!
『TENET テネット』
ウクライナのオペラハウスで、テロ事件が勃発する。多くの人々の大量虐殺を阻止するべく、特殊部隊が突入する。そこに参加する名もない男(ジョン・デイビット・ワシントン)は、なんとか作戦を遂行している中で、不思議な現象を目の当たりにする。そして仲間を救うために自らが犠牲となって敵に捕らえられてしまい、拷問を受けてしまう。毒薬を口にするが、その薬は鎮痛剤にすり替えられていた。
昏睡状態から目覚めると、あるミッションを命じられる。それは、未来からやってくる敵と戦い世界を救うというものだった。未来では、時間を逆行する装置が開発されていて、人やものが時間を逆行できるというモノだった。ある作戦から、名もない男は、ニール(ロバート・パティンソン)と同行し、任務を遂行していくのだが、、、、、
待望のクリストファー・ノーラン監督の最新作!いやーーー待ってましたよ。去年映画館で冒頭部分の予告編を観てから、ずーーーと心待ちにしておりました。
ノーラン作品の鑑賞前はいつも非常に高いハードルを用意して映画館に向かうのですが、そのハードルなんてなんのそので、余裕で超えてくる満足感。毎度拝みたくなるくらいのホクホク度合いで映画館を後にするのが幸せです、わたし。
監督の着眼点に、そこかぁ、、!と唸りっぱなし。タイムリープものやパラレル的なものは数あれど、まさか時間の逆行というところに目をつけるとは、、、そしてそれを、作品として具現化してしまうところは、まさに天才と秀才の両面をもつノーランにしか出来ないでしょう。
この現実から、ぽんっと未来のある地点や、過去のある地点に飛ぶというSF的な想像は、今の私たちには容易に出来ますが、"そのある地点に行くためには、同じ時間を過ごさなくてはならない"という発想。(例えば20年前に戻るためには、20年分の時間を逆行しながら進まなくてはならない) これはまさに新しいSFであり近未来的な、でも、決して遠くない世界のような世界観に観るものは、ぐいっと引き込まれるのでしょう。
そして、そこに注目されがちですが、スパイ映画としてのストーリーラインも面白い。時間の要素を抜きにしても、スパイアクション映画として充分楽しめるほどの内容となっており、そこに時間の要素をさらに足すことで、どこのジャンルに属すこともない新たなカラーな作品になっています。
普通、盛りすぎたり、足しすぎたりすることで、作品が死んでいくことがほぼだと思うのですが、ノーランの天才的なバランス感覚で、そうはならないのがすごいところ。
観ている側が、物理や化学的な知識がそこまでなく100%理解出来ていなくても、感覚的に理解できて、広い大衆が楽しめる部分も、そのバランス感覚がなせる技。"大衆が楽しめる高尚な作品"という稀有な超大作がまさにいまやっているという奇跡。こんな奇跡に立ち会わないで、どう人生を生きることが出来ようか、、と、壮大な感じに言っておりますが、本当に素晴らしいのです。
語ることも限界があるので、これは是非見て欲しいところ、百聞は一見にしかず、とはまさにこの作品を言っているのではないかと思うほど。
これを体験せず2020年は終われません。
大興奮が鑑賞してからだいぶ経つのですが、全く収まる気配はなく、友人とずっと語ることが出来る、素晴らしすぎる映画です。
稚拙な文章で、紹介するのも憚られるので、ぜひ!
2度3度見返したくなる作りも憎いところ。ノーランといえば、やはりファーストシーン。どの作品も開始1秒から鑑賞者を掴んで離さない豪腕を、ぜひあなたも映画館で感じてみてください。
素晴らしいです!
それでは、おこがましくも紹介してさせていただきました。
(文:橋本淳)
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