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銀座でカーチェイスも?東京であらゆる映画が撮れる時代がやってくる

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東京は映画ロケのしにくい街だとよく言われます。

繁華街で撮影許可が降りることは稀ですし、撮影のために車や人の流れを止めることもなかなかできません。そんな中、スクランブル交差点を再現した「足利スクランブルシティスタジオ」が開設され、『サイレント・トーキョー』や『今際の国のアリス』といった作品で使用され大きな話題となりました。


「足利スクランブルシティスタジオ」

その足利スクランブルシティスタジオを立ち上げた株式会社ギークピクチュアズは、撮影困難な場所での映像制作をさらに推進するために「デジタル・リアリティ・ロケーション」の開始を発表。


「デジタル・リアリティ・ロケーション」においてCG再現された渋谷スクランブル交差点

撮影許可や経済的理由などで実際にロケをすることが困難な場所を完全再現した360°CGをベースにクリエイターの要望に合わせて合成、編集、加工した映像を提供します。

従来の撮影方法では、道路の使用許可が得られない、あるいは遠方の撮影場所に出演者を連れていくことが難しい、撮影の邪魔にならないように一般の歩行者を誘導することが困難など様々な制約が存在します。「デジタル・リアリティ・ロケーション」は、実際の町並みを再現した空間を制作・アーカイブ化していき、実写作品やアニメーション、ゲームなど様々なメディアで利用可能にするものです。

これは日本のロケ事情を根本から変え、映画制作の自由度を飛躍的に広げることになるかもしれません。

担当プロデューサーの考える未来

Q:「デジタル・リアリティ・ロケーション」の利用が増えることで、映像表現はどのように変わっていくか。映画に限らず想像される未来を教えて下さい


担当プロデューサー若生 秀人・上江洲 和麻
「映像表現をする上で、これまで様々な事情や状況により不可能でだった事が、国を超えてグローバルで実現可能になり、よりクリエイティブの領域が広がってくと思います。それはクリエーターだけではなく、様々な人たちが身近に手にする事ができ、様々なコンテンツを生み出していく無限大の可能性を秘めてると思います。」

なお、本件の詳細は下記のWebサイトへ
https://www.digitalrealitylocation.com

問い合わせ先は下記
info@digitalrealitylocation.com

日本のロケ撮影のお寒い事情

2000年の東京国際映画祭で、当時の東京都知事だった石原慎太郎氏が「銀座でカーチェイスをやれるようにする」と発言したことが話題になりました。翌年、映画やテレビドラマの撮影が円滑にできるよう協力する「東京ロケーションボックス」が発足しています。



しかし、それから20年が経過しましたが、いまだに「銀座でカーチェイス」は実現できていません。もちろん、渋谷や新宿でも実現していません。ロケーションボックスが開設されても、やはり繁華街での大規模撮影はなかなか実現できないのが現状です。



それは、予算の少ない日本映画に限りません。2006年に公開されたハリウッド映画『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』は東京を舞台に激しいカーチェイスシーンを描いています。渋谷のスクランブル交差点で豪快なドリフトを決めるシーンもありますが、実はこの映画のロケはほとんど日本では行われず、ロサンゼルスで撮影したものを後から背景をVFXで合成して作られています。しかし、ジャスティン・リン監督は、日本ロケがどうしても必要だと判断したようで、一部のシーンを無許可でゲリラ撮影を敢行。関係者が警察に拘束されたことを明かしています。



他にもアカデミー賞にノミネートしたアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の『バベル』の日本のシーンもゲリラ撮影が行われています。東京という街はオスカーにノミネートする作品にすらゲリラ撮影を強いているのです。



外国映画だけでなく、日本映画でも例えば2003年公開の『ドラゴンヘッド』では、崩壊した渋谷のシーンの撮影のためにわざわざウズベキスタンまで行っています。こうした例は実はかなり多くて、東京は世界でも有数のロケができない街として知られてしまっているのです。

上記に挙げた例は、それでも東京を舞台に選んでくれて、様々な創意工夫で作品を完成させていますが、ロケができないという理由で断念された企画も数多いでしょう。なんとももったいない話です。

テクノロジーが東京の物語をもっと語りやすくする

近年、あらゆるロケーションの問題を解消するシステムとして「バーチャルプロダクション」が注目されています。



例えば、ディズニーの超実写と銘打った『ライオン・キング』は360°リアルなサバンナをVR上に作り上げたことが話題になりました。サバンナに行かずともサバンナのシーンを作ることを可能にしたわけです。

ギークピクチュアズの「デジタル・リアリティ・ロケーション」は、これと似た発想で、より手軽に360°のリアルな空間でのクリエイティブを可能とするものと考えられるでしょう。

そのほか、高精細な巨大LEDモニターにリアルな背景を投影し撮影を行えるスタジオの整備も進んでいます。



「Disney+(ディズニープラス)」で配信中の『マンダロリアン』では、CGで作られた架空の世界をモニタに投影、その前で役者が演じているのです。昔の撮影所はベニヤ板に絵で背景を描いて、その前で芝居を撮影していましたが、今は高精細のCGに取って代わっているのですね。こうしたスタジオは日本国内でもSONYやサイバーエージェントなど様々な会社が開発に参入しており、今後盛り上がってくることは確実です。

ギークピクチュアズの新たなサービスは、こうしたことをも可能にするサービスと言えるでしょう。これが実現できれば、渋谷や銀座でカーチェイスをする映画も夢ではありませんし、東京を舞台にあらゆる映画を作ることができるようになるかもしれません。ハリウッド映画並のスケールの作品も不可能ではないはずです。

そうなれば、ハリウッドもこれまで以上に東京を舞台にした企画を作りやすくなるでしょうし、現代の東京を舞台にしたアクション大作邦画も作りやすくなるはずです。こうしたテクノロジーが発展・普及すれば、日本映画は今よりももっと自由になれるのではないでしょうか。

(文:杉本穂高)

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