俳優・映画人コラム

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2021年04月22日

新田真剣佑 「今とこれから」:世界進出前「るろ剣」で大いなる存在感

新田真剣佑 「今とこれから」:世界進出前「るろ剣」で大いなる存在感



「海外進出前に、真剣佑はものすごいものを残していったな!!」

『るろうに剣心 最終章 The Final』を見終わったときに感じた素直な想いです。

『るろうに剣心 最終章 The Final』は佐藤健演じる緋村剣心への復讐のためにだけ生き続けてきた新田真剣佑の演じる義弟・雪代縁の物語と言えるでしょう。

これは『るろうに剣心 最終章 The Beginning』にも言えることですが、過去三作(1作目、『京都大火編』『伝説の最期編』)では常に緋村剣心が主体的に動いて物語が進んでいましたが、『最終章』2部作の剣心は常に受け身に回っています。

『The Final』で剣心は(多分に誤解もあるのですが…)復讐心をぶつけてくる義弟の縁の想いをひたすら受け続けます。『The Beginning』でもまた剣心(抜刀斎)は時代の“うねり”と“人斬りの業”“巴との愛”を受け続け、それに反応(リアクション)してきます。

そう考えると『最終章』は雪代姉弟が様々な形で剣心に大きな影響を与え続ける物語と言えますね。

怨讐の義弟・最凶の敵を演じきった新田真剣佑



シリーズ最後の大敵・雪代縁に抜擢されたのは新田真剣佑。

今回、新田真剣佑はキャスティングされたことに驚き、長く過酷な撮影にコンディションを維持し続けることへの苦労を語る一方で、大役を任せてもらえたこと、日本映画のアクションシーンを数段レベルアップさせたシリーズに参加したことに誇りに思っているとも語っています。

本作で新田真剣佑が演じた雪代縁は、大陸の格闘術を身に着けた強敵であり上海マフィアの頭目で、映画の中では圧倒的な強さを見せつけます。
冒頭では取り囲む警官隊を汽車の中という限定空間で徒手空拳で圧倒、これが『The Final』のオープニングシーンで、この一連のアクションで新田真剣佑は観客の目を一気にスクリーンに集めます。

中盤以降もその強さを出し惜しみすることはなく(ネタバレになるので伏せますが)レギュラーメンバーの一部を戦闘不能にまで追い込みます。単純に戦闘シーンとそのバリエーションが多いと言うこともありますが、原作の雪代縁と映画の新田真剣佑の縁と見比べたとき、映画の縁の方が強く感じるほどです。



『るろうに剣心』1作目のラスボス・吉川晃司が演じた鵜堂仁衛は見るからに禍々しさを纏っていましたし、それは『京都大火編』『伝説の最期編』の藤原竜也が特殊メイクで挑んだ志々雄真実にしても言えることで、見るからに強そうです。おまけに両者には幕末から激戦を生き抜いた剣客として実績(志々雄は人斬り抜刀斎の後継者)があります。それゆえに登場した瞬間から明らかに強い!と感じることができるのです。

対して、雪代縁は『The Final』の物語の中だけで本人の持つ怪しさ(=妖しさ)と常軌を逸した精神状態、そして圧倒的な強さの持ち主であることをゼロから語り・示し、観客に納得させなくてはいけません。

過去作のラスボスは吉川晃司と藤原竜也が演じましたが、キャリアの面で彼らよりはるかに劣る新田真剣佑はこの強烈な先人に肩を並べる、またはそれ以上の存在感を見せつけることが求められていました。そして、新田真剣佑はそれを見事にやりきりました。

これまで続いてきた大ヒットシリーズの最期の大敵、最凶の敵とを演じるということへのプレッシャーは計り知れないものであったと思いますが、新田真剣佑はそれを見事に乗り切りました。

『るろうに剣心 最終章』2部作は雪代姉弟の物語と書きましたが、その重要なキーパーソンとなる雪代縁と雪代巴を演じた新田真剣佑と有村架純の感じた重圧はかなりのものだということは一人の観客・シリーズファンの立場でもわかります。

『最終章』になっていきなりシリーズに参戦、そのうえでシリーズのテーマ・緋村剣心の生き様の総括をしなくてはいけないキャラクターと演じろと言われるのですから…。二人はよくこの難役を引き受けたなと思いますね。

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(C)和月伸宏/集英社 (C)2020映画「るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning」製作委員会

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