2021年08月13日

『ワイルド・スピード』ヴィン・ディーゼルの代表作を振り返る

『ワイルド・スピード』ヴィン・ディーゼルの代表作を振り返る



『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』が現在大ヒットしています。

前作『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』(19)が実質スピンオフ作品で、シリーズの顔ともいえるヴィン・ディーゼルが出演してないことに不満だったワイスピ・ファンの皆様方、お待たせしました! といった名物シリーズ!

今回も世界を股にかけた壮大なカー・アクション&バトルで久々ハリウッド超大作の貫禄を示してくれています。

これを記念して今回は『ワイルド・スピード』シリーズ以外のヴィン・ディーゼルの代表作をいくつか集めてみました!

ヴィン・ディーゼルの出世作
『プライベート・ライアン』



ヴィン・ディーゼルは1967年7月18日、アメリカ・ニューヨーク州ニューヨークに生まれました。

7歳にして初舞台に立ち、学生時代は演劇に勤しむ一方、その鍛えぬいた体を乞われてクラブの用心棒としても働いていたとか!?

大学を中退してハリウッドを目指すも一度挫折し、ニューヨークへ戻りますが、そこで短編映画“Multi-Facial”(94)を製作・監督・脚本・主演し、カンヌ国際映画祭で上映され好評を博します。この後も初長編映画『ストレイ・ドッグ』(97)を発表。

そして“Multi-Facial”を見たスティーヴン・スピルバーグ監督が、『プライベート・ライアン』(98)出演を依頼!

第2次世界大戦における連合軍のノルマンディ上陸作戦成功の後、行方不明となったライアン二等兵(マット・デイモン)を救うための壮絶なミッションを描いたこの作品の中で、ヴィン・ディーゼルはジョン・ミラー大尉(トム・ハンクス)率いる小隊の一員カパーゾ二等兵をこわもてながらも人情味あふれる雰囲気で飄々と体現し、実に鮮やかな印象を残してくれました。

実はこの役、スピルバーグ監督が彼のために脚本を改定して新たに設けた役でもあったのです。

かくしてハリウッドデビューを果たした彼は、次々と新作映画のオファーが入り込んでくるようになるのでした!

 

一躍シリーズ主演をものにした
『ピッチ・ブラック』



2000年に公開されたデヴィッド・トゥーヒー監督のSFヴァイオレンス・アクション映画『ピッチ・ブラック』はヴィン・ディーゼルの人気をさらに高めることになりました。

肉食エイリアンが棲む惑星に不時着した生存者たちのサバイバルを描いたこの作品の中で、ヴィン・ディーゼルは手術によって夜目が利く凶悪犯罪者リディックを熱演。

いわゆるプログラムピクチュア的作品ではありましたが、これが映画ファンの間で評判となり、続編を望む声も多数寄せられ、これを受けて2004年にはシリーズ第2作『リディック』が発表されました。

こちらは前作以上の製作費を投入したスペースオペラ超大作ですが、主人公の名前をタイトルにすること自体、その人気を物語っているといっても過言ではありません。

さらには2013年、シリーズ第3作『リディック」ギャラクシー・バトル』も発表。

ここまでくると、もう貫禄の一言ですね!
 

もうひとつの代表シリーズ
『トリプルX』


 
『ワイルド・スピード』『リディック』と並ぶヴィン・ディーゼルの名物シリーズが『トリプルX』シリーズです。

その第1作『トリプルX』は、2001年の『ワイルド・スピード』でディーゼルと組んだロブ・コーエン監督作品。

エクストリーム・スポーツ・ゲームのアスリートであるザンダー・ケイジ(ヴィン・ディーゼル)は、車窃盗の罪を見逃してもらう代わりにアメリカ国家保安安全保障局エージェントとなってチェコの犯罪組織アナーキー99へ潜入!

首の後ろに「xXx」を刺青したタフガイのザンダーを、ヴィン・ディーゼルは持ち前のふてぶてしさで巧みに演じ切っています。

実はこのシリーズ、第2作は主演をアイス・キューブに代えて『トリプルX ネクストレベル』(05)を発表しますが、これが興行的に大コケ。

やはりこのシリーズの顔はヴィン・ディーゼルでなければ! 

そんな声に応えて、ようやく第3作『トリプルX:再起動』(17)では彼の再主演が実現し、多くの映画ファンを喜ばせてくれました。
 

不老不死の魔女ハンター!
『ラスト・ウィッチ・ハンター』



2015年度作品『ラスト・ウィッチ・ハンター』は、ヴィン・ディーゼルが不老不死のウィッチハンター、コールダーを演じたダーク・バトル・ファンタジー映画です。

コールダーは今から800年前、家族を殺した魔女の女王(ジュエリー・エンゲルブレヒト)への復讐を成し遂げたものの、その代償として不老不死の呪いをかけられてしまい、その後ずっと現代に至るまで、ウィッチ(魔女)ハンターとして戦いを繰り広げてきました。

彼にはその時代時代に「ドーラン」と名付けられる神父の相棒がいますが、現在の36代目ドーラン(マイケル・ケイン)が引退を宣言した日、何者かに彼が殺害されてしまいます。

犯人は800年前に葬ったはずの魔女の女王で、かくしてコールダーは新たな37代目ドーラン(イライジャ・ウッド)、そしてコールダーがかつて命を助けた魔女クロエ(ローズ・レスリー)とともに、女王への戦いを挑みます……。

ここでのヴィン・ディーゼルはウイッチ・ハンターとして、タフガイなだけでは倒せない壮絶魔女とのバトルを、幻惑的なCGも加味させながらダイナミックに魅せていきます。

36代目ドーラン役の名優マイケル・ケインと、37代目イライジャ・ウッドとの対比もユニークなところ。

ストーリー的にもかなり意外な展開なので最後の最後まで目の離せない作品でもあります。

 

二転三転するストーリーの妙
『ブラッドショット』



昨年から続く世界的コロナ禍の中、日米で大健闘したのが、同名アメリカン・コミックを原作に映画化したSFサスペンス・アクション『ブラッドショット』(20)です。

アメリカ海兵隊員のレイ(ヴィン・ディーゼル)は愛妻とともに何者かに拉致され、そのままふたりとも殺されてしまいます。

しかし、ある組織のナノ・テクノロジーを駆使した人体改造手術によって、レイは記憶を失ったまま超人的なパワーを備えて蘇生。

やがて記憶を取り戻した彼は妻の仇をとるのですが、その直後に意識を失い、再び目を覚ましたときは……。

かなり二転三転していく複雑なストーリー展開ゆえにネタバレ厳禁な個所も多々ありますが、やはり基本はヴィン・ディーゼル主演映画、画面から目をそらさず見続けていくことで、彼ならではの気合のこもったアクションの数々に圧倒されつつ、ストーリーの難解さも吹き飛ばしてくれることでしょう。

このように、シリーズ代表作を大事にしながら、次々と新たなものへ挑戦していくのがヴィン・ディーゼルの醍醐味といえるかもしれません。

(でも時には、そんな彼のノン・アクション・ヒューマン映画なんてものも見てみたい気もしています)

(文:増當竜也)

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