映画コラム

REGULAR

2021年09月29日

夏の終わりに観たい映画は『水曜どうでしょう』の『激闘!西表島』だった

夏の終わりに観たい映画は『水曜どうでしょう』の『激闘!西表島』だった



「夏の終わりに観たい映画」と聞いた時に、真っ先に『水曜どうでしょう』の『激闘!西表島』を頭に思い浮かべた。「映画」ではないバラエティ番組を選んでいるぞと思われた方、まぁ夏に免じてお許しくださいませ。

『水曜どうでしょう』とは、1996年北海道テレビ(HTB)にて放送スタートした超長寿バラエティー番組。大泉洋、鈴井貴之、藤村忠寿ディレクター(以下藤村D)、嬉野雅道カメラマンが日本・世界で無茶苦茶な旅をします。

メインメンバーである大泉洋は、行き先や企画を直前まで知らされない上によく騙される。そしてスタッフ陣も同行しますから、大泉洋の苦境はメンバー全員の地獄という、毒を喰らわば皿までの地獄のピクニック番組です。

『激闘!西表島』は全8話で構成されており、レギュラーメンバーに安田顕(ハナタレナックスメンバー)も加わり、虫追い(虫とり)の最多ポイント獲得を競う企画です。筆者はもう虫を触れなくなってしまった。でも、なんなら筆者も参加したい!そこで彼らの西表島の冒険を振り返ってみましょう。

虫とり企画は最初から完全崩壊

昼間からビールを飲む大泉洋や、大酒を飲んで宿の「いわおちゃん」と仲良しになる「ヒゲ」こと藤村D。そして西表島ガイド・ロビンソン(日本人です)の「虫は面白くない」発言により、「虫とり企画」はいきなり「ロビンソンの見せたいものを巡るツアー」に変わります。このグダグダ加減がさすが「どうでしょう」です。

急遽開催された第1ラウンドは魚とり対決で、水中カメラならぬ水槽カメラで撮影されたクマノミ(ファインディングニモに出てくるオレンジの魚)がかわいい。なお、魚はちゃんとリリースされました。

サバ缶と安田さんと「爆笑!青タイツ茶タイツ黄タイツ寄席」

第2ラウンドは巨大なヤシガニとり。サバ缶のサバでヤシガニをおびき寄せられた人が勝ち。ここで安田さんは、2つのポイントで得点を稼ぐことはできませんでした。しかし、彼はこの西表島シリーズの前枠と後枠で入る「爆笑!青タイツ茶タイツ黄タイツ寄席」では、酔っ払った際のお下品な言動をバラされるという大活躍(?)をしています。

ある場所ではイマイチでも、他の場所ではバッチリ。「人の活躍の場はそれぞれあるのだよ」と教えてくれているような安田さんです。彼の活躍する寄席については、第5話と6話の前枠後枠をチェックしてください。


夜中の1時半でもあきらめない男・ロビンソンとやる気満々のミスターコンビ

第3ラウンドの大ウナギとり対決のために、一行は夜中に餌の確保に向かいますが、カエル(最低ノルマ6匹)はちっとも捕まらない。でも、あくまで目的達成をあきらめないロビンソンにより、午前1時に大の大人が躍起になって大ウナギの餌を捕る異常な光景が展開されます。

そんなロビンソンと一緒にミスターも最後まで粘る。ぼやく大泉洋、ディレクションしないディレクター・藤村D、あきらめないミスター・ロビンソンコンビ。キャラ立ちしすぎています。

真っ暗な画をなんとか盛り立てようとする、藤村D執念の寝ー釣ーり!コール

大ウナギ、テナガエビ、オオグチユゴイ釣り対決を経て、いよいよ最終ラウンドに突入し、上原港の夜釣り勝負へ。ここでは40〰50センチのゴマフエダイが目玉。当然多く釣って総合ポイントが高い者が優勝です。

決戦は22時40分からスタート。ロビンソンの熱血指導により、魚を驚かせないための照明なし釣りが行われることに(魚が釣れた時だけライトオン)。元はテレビ放送なのに、とことん前代未聞。

ここでなんとか盛り立てようと藤村Dの執念が炸裂します。画面が真っ暗なら、言葉で盛り上げるしかない。みんなが寝転がりながら釣りを開始すれば「寝ー釣ーり!寝ー釣ーり!寝ー釣ーり!」。メンバーが本当に寝始めると、「まーじー寝!まーじー寝!まーじー寝!」。大泉洋が暗闇の中で放屁すると「寝ーっ屁 !寝ーっ屁 !」。

おまけに脇を固める(?)ようにスタイリスト小松が上原港1泊をキメて、キャップことハナタレナックスプロデューサー(当時)はウキ釣り。魚を釣ることより経過の方が面白い。

人と共に笑って夏を過ごすのもいいと思わせてくれる作品

夜釣り対決は日の出と共に終了。対決を終え、それぞれが思いのこもったコメントを残します。ミスターは「勝った負けたじゃなくてどれだけ楽しむか」という勝負の過程そのものに価値を見出し、大泉洋は「実に壮絶だった。激闘。2人のライバルにもありがとう」とライバルたちを讃える。

彼らはこの後、2日連続で満足に寝ていない状態で、貝殻一杯の島にロビンソンと直行するのでした。タフです。

筆者は、メンバーがしょうもないことに一生懸命に取り組むこのシリーズを夏の終わりに観たい。それは人と共に笑って夏を過ごすのもいいと思わせてくれるから。そして来年の夏がやってくることが楽しみに思えるから。今と未来を明るくさせてくれる作品に乾杯です。

(文:ささのは)

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

水曜どうでしょうClassic 激闘!西表島【HTB北海道onデマンド】(C)HTB

RANKING

SPONSORD

PICK UP!