<速攻レビュー>『エターナルズ』:地球滅亡までの7日間、アベンジャーズ新世界線へ

事前予習一切必要なし!『エターナルズ』本編を見終えて

【特報】


今回、とあるご縁で一足先に『エターナルズ』本編を見てきたのですが、最初の感想は“超実験作”だなということです。

キャストの面やキャラクター設定の面でも国際色と多様性を大いに取り込んだ作品でした。

クロエ・ジャオ監督も『キャプテン・マーベル』のアンナ・ボーデン、『ブラック・ウィドウ』のケイト・ショートランドに次ぐ三人目の女性監督であり、『シャン・チー/テン・リングスの伝説』のデスティン・ダニエル・クレットンに次ぐ二番目のアジア系監督となり、新たな試みを感じさせます。

マーベルはフェーズ3あたりから新進気鋭の監督を抜擢する例が増え、『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』から『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』『エンドゲーム』2部作を手掛けたルッソ兄弟や新たな『スパイダーマン』シリーズを手掛けるジョン・ワッツ、『マイティ・ソー』の近作を手掛けるタイカ・ワイティティなどMCUに関わったことで大きくステップアップした監督たちが多数います。

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』を担当し、『スーサイド・スクワッド“極”悪党、終結』を手掛けたジェームズ・ガンもその1人ですね。

今回も長編映画はこれで4本目のアカデミー賞監督になったクロエ・ジャオ監督を引っ張ってきました。

企画的にはもう何年も前から下ごしらえがあったはずなので、おそらく『ノマドランド』の公開前、長編デビュー作の『Songs My Brother Taught Me』と『ザ・ライダー』だけで『エターナルズ』を任せるという決断が下されたことになります。

長編デビュー作の『Songs My Brother Taught Me』は日本では長らく劇場未公開作品でしたが、10月31日にWOWOWで『兄が教えてくれた歌』というタイトルで日本初解禁となる放映がされました。

ドルで“億単位”のビジネスはまだまだ未知数な部分が多い女性監督の可能性を信じて託すというのは日本ではあまりない話ですよね。

映画にもクロエ・ジャオ監督が脚本家として参加していることで、実験的な部分が多数、盛り込まれています。超人であるエターナルズを通して“人間の優れている点”と“醜さ”を浮き彫りにして見せるのは、一瞬マーベル映画とは思えない展開。

ただ同じマーベルの別路線の『X-MEN』シリーズなどを思い出すとわかると思うのですが、ヒーローの活躍を描くことで、市井の一般人の在り方や、社会情勢の在り方、時代の動きを描くのがアメコミの一つの特徴でもあり、アジア家女性が“今この瞬間”にアメコミ超大作を作という意味がはっきりと感じられるとも言えます。




ストーリーの部分でいえば、おそらく予告編や事前の情報で得られているものはことごとくひっくり返してくると言ってもなんら問題ありません。

詳細のネタバレはアメリカ本国から「何も言わないで!!」と言われるほど過敏になっているので、できませんが、本編を見た後に予告編を見直すと“予告編は思い切り仕掛けてきた”ことがわかります。

本編鑑賞の前と後で、こんなにイメージの変わる予告編になるとは思いもしませんでした。

『シャン・チー/テン・リングスの伝説』もMCUの過去作の貯金をあまり使わない、独立性の高い作品でしたが、『エターナルズ』はもっと独立性の高い作品で、アメコミ映画というよりは壮大なファンタジー映画を見ているよう気分になります。

よくマーベルの映画の話になると「もうシリーズを追いかけきれてないから、見てもわからない」といった言葉を聞きますが、『エターナルズ』は本当にこれまでのシリーズを見る必要はありませんとはっきり断言できます。

MCUは今回で26本目の映画となりますが、ここまで独立性の高いものを、このタイミングで投入してくるというのも、かなり斬新な試みと言えるでしょう。

MCUはこれからどうなる?



もはやアメコミ映画のお馴染みとなったエンドロール時の“次への布石映像”ですが、今回の『エターナルズ』にもあって、今回はかなり大掛かりな仕掛けが2つも仕掛けられているのです。

一部報道やコミコンでのMCUを統括するプロデューサーのケヴィン・ファイギの口から語られていることもありますが、ある“新たなヒーロー”の登場と“驚くべきキャラクターの兄弟”が出現。

今年春の“ポストコロナの仕切り直し”でフェーズ4の10作品の映画のタイトルが明らかになりました。加えてリブート版の『ブレイド』と『ファンタスティック・フォー』に『デッド・プール』の第3弾、『キャプテン・アメリカ』の第4弾が予定されていることも明らかになっています。

しかしながら、現状アメコミ原作の内容や設定から予想するに『エターナルズ』のエンドロールに登場した二つの要素はこの新規作品のどれにも絡まない可能性も。つまりフェーズ5以降の作品になる可能性があります。フェーズ4は“アベンジャーズ”のタイトルを冠した映画がなく、またトム・ホランドの『スパイダーマン』、クリス・ヘムズワースの『マイティ・ソー』もこれで最後になると言われています。

すでにフェーズ3までが大きな“インフィニティ・サーガ”という括りの中にあったことが後追いで語られていて、フェーズ4は旧来のキャラクターの“あり方の決着”と次世代ヒーローへの”世代交代”への色合いが色濃くなっています。

ドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』でファルコンが“2代目キャプテン・アメリカ”を襲名したのはその代表例でしょう。アイアンマンもドラマ『Ironheart』という次世代への橋渡し作品が用意されています。

一気に世代交代が始まっているので映画もドラマ(特にDisney+ (ディズニープラス)
作品)も1つとして見逃すことができず、ファンであってもなかなか大変ではありますが、これを乗り切ると新たな世界線が広がると思われますので、全作品網羅するとMCUの大変革を知ることが可能です。

MCUの『エターナルズ』の次は、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』になる予定。ドクター・ストレンジがゲスト出演するほかなんとサム・ライミ版の『スパイダーマン』と『アメイジング・スパイダーマン』の両方のシリーズから横断的にヴィランが登場。アメコミお得意の平行世界=マルチバース方式を本格的に導入することになります。

アメリカでは今年の12月17日に公開予定、日本はこの冬の公開となっています。

『スパイダーマン』はディズニー=マーベル体制とは別にソニー・ピクチャーズ主導のユニバースがあって『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』が日本でも12月3日に公開されますので、こちらもお忘れなく。

『エターナルズ』はMCU新世界線への転換点でしかない



先日、全体としてMCU作品の公開の順延が発表されましたがそれでも2022年以降、1年3~4作品は公開される予定になりました。間に必見のドラマもあるので1年中マーベルを追いかける続ける日々がしばらくは続きそうな予感がします。

そう考えるとフェーズ4の第3作『エターナルズ』はMCUの新たな世界線への転換点でしかないことに気づかされます。

2時間半を超えるSF超大作である『エターナルズ』を“点”というには少し違和感もありますが、MCUはこれから更なる新世界線へ突入していくにちがいない。

(文:村松健太郎)


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