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2021年11月04日

『攻殻機動隊 SAC_2045 持続可能戦争』藤井道人監督オフィシャルインタビュー「トリッキーなオファーだと思いました」

『攻殻機動隊 SAC_2045 持続可能戦争』藤井道人監督オフィシャルインタビュー「トリッキーなオファーだと思いました」



11月12日(金)に劇場公開が迫った劇場用長編アニメーション『攻殻機動隊 SAC_2045 持続可能戦争』より、監督を務めた藤井道人のオフィシャルインタビューが到着した。

本作は、2020年4月よりシーズン1全12話がNetflixにて全世界独占配信されている『攻殻機動隊 SAC_2045』を、新たなシーンの追加と全カットフルグレーディングにより、劇場用長編アニメーションとして新生。アニメーション作品を手掛けるのは初めてだったという藤井監督が今回どのように劇場版を作り上げていったのか、全12話から1つの作品へと形を変える苦労などについて語った。

藤井道人監督インタビュー


───── 今回、『攻殻機動隊 SAC_2045』劇場版の監督を依頼されてどう思いましたか。
アニメーション作品は初めて手掛けました。お話をもらった時は、アニメ業界の別の監督と間違えて自分のところに連絡が来てしまったのではないかと疑いました(笑)。それくらいトリッキーなオファーでしたね。視聴者としてもアニメを消費していないので、自分とアニメとの親和性は全くないと思っていましたし。

いただいたオファーには全て目を通して、引き受けるかどうかを自分で決めているのですが、この作品を手掛けることで得るものが大きいのではないかという匂いがしたので、お受けすることにしました。僕自身、実写映画しか知らないし、ほぼ独学でしたし、業界的な正攻法の監督の在り方ではないと思っています。一方で、日本のアニメは世界から見て凄くクオリティが高いと言われていて、この人たちと仕事をしてみるという点にとても興味を持ちました。結果、すごく面白かったですね。

───── シーズン1全12話を劇場作品として再構成するにあたり、どのような方針を立てましたか。
歴史のある企画ですし、大ベテランのスタッフさんたちが集まって作っている作品に、自分の目線を入れさせてもらう、という仕事だと理解して取り組みました。もともと編集は自分でやっていて、得意ですし好きなんですけど、編集という作業を複眼で行うために今は編集技師を入れています。

本作に編集技師として参加してもらった古川(達馬)は「攻殻」の世界観にとても詳しいので、いつもは僕が主眼で技師が複眼なのを、今回は僕が複眼で客観的な視点を担当して、それがとても上手くいきました。僕がアニメに対して素養がない人間だから、知っている人間だから楽しめる、ではなく、一本の映画として楽しめるかどうかディスカッションするために、古川の存在は助かりましたね。最終的には脚本をバラして書き直したというような編集になっていると感じます。 

───── 劇場作品として構成していく上で苦労をした点を教えてください。
どんな仕事をする上でも、制限の中の自由ということを大事にしていて、今回は120分という制限を意識して作業しました。編集技師の古川と、まず何も考えずに120分にしてみる、という作業をしてみました。作品を知っている人の脳で観てはダメで、できれば映画館で1,900円を払って初めてこの作品を観る人の状態で。そうすると「ん?」というところが出てくるんですけど、映像はそのまま走っていってしまうので、そこを全部チェックしていきました。

結局、わからない所はわからなくて良いという解釈になるように、前半は挑発するようにテンポを上げました。「あ、こういう話なんだ」というのは中盤のブレイクからにして、そこでじゃあ本題に入ろうと。ポスト・ヒューマンというものがいて、これは人類を脅かす存在で、それを公安9課が捜す話なんだというところを、60分のミッドポイントに持ってきました。たとえば往年の「攻殻」ファンであるお父さんが息子さんを誘ってフワッと観に行ったら、何も知らない息子が「めっちゃ面白かったね」という感じを目指しました。



───── 藤井監督の作品と、『攻殻機動隊 SAC_2045』の間に共通するものはありましたか?
どの作品を手掛ける時も、自分たちの作っているものは時代の写し鏡だと考えています。時代の照射しているものが自分の作りたいものである、と。この作品にも、時代精神という側面があったから、この映画を届けられたと思います。

『新聞記者』はすごく堅く、直接的にそれをやっている企画ですが、他の映画でも『デイアンドナイト』や『ヤクザと家族The Family』など、オリジナルから生まれたものには共通して時代精神というものを書きこんでいるような気がしています。『攻殻機動隊 SAC_2045』とも、そういう共通項があった。ポスト・ヒューマンという存在や、その人達がなぜ現れたのか。すごく今の時代に必要なテーマ性があるなと思います

───── 主人公・草薙素子をはじめとするキャラクターについての印象を聞かせてください。
うまく答えられるか分からないんですけど、素子はやっぱり綺麗で、強くて、冷静で。座長という感じですよね。彼女自体の思想というか哲学って、そんなに彼女は喋らないじゃないですか。そこが好きですね。ずっと前で、第一線で戦っている感じが。それから、プリン。演じている方のお芝居が上手くて驚きました。個人的に公安9課で好きなのはイシカワです。

───── 『攻殻機動隊 SAC_2045』劇場版で、注目してもらいたいところはどこでしょう。
シリーズも劇場版も観てくれた人なら、新たに一本の映画として楽しんでほしいと思います。やっぱり劇場であのアクションシーンを観られるというのは、すごく素敵な体験だと思うので、是非アクションシーンを楽しんで観てもらいたいですね。神山・荒牧両監督が盛りこんだテーマというか、ポスト・ヒューマンとの闘いという所に、娯楽性がちゃんとある。エンターテインメントとして楽しんでもらえる。そこですね。

───── 皆さんにメッセージをお願いします。
シーズン1の劇場版を担当するということで、シーズン2の映像も途中まで観させて頂いたんですけど、めちゃくちゃ面白くて、映画でもシーズン2を楽しみにして頂ける内容になっています!もしシーズン2でも劇場版を担当させてもらえるのなら、頑張りたいと思っています。 

ストーリー

2045年。全ての国家を震撼させる経済災害「全世界同時デフォルト」の発生と、AIの爆発的な進化により、世界は計画的且つ持続可能な戦争“サスティ ナブル・ウォー”へと突入した。だが人々が、AIによる人類滅亡への危機を日常レベルで実感できるまでには衰退の進んでいない近未来――。内戦・紛 争を渡り歩き、廃墟が横たわるアメリカ大陸西海岸において、傭兵部隊として腕を奮っている全身義体のサイボーグ・草薙素子とバトーたち元・公安9 課のメンバー。電脳犯罪やテロに対する攻性の組織に所属し、卓越した電脳・戦闘スキルを誇っていた彼女らにとって、この時代はまさにこの世の春 である。そんな草薙率いる部隊の前に、“ポスト・ヒューマン”と呼ばれる驚異的な知能と身体能力を持つ存在が突如として現れる。彼らは如何にして生 まれ、その目的とは。大国間の謀略渦巻くなか、いま再び“攻殻機動隊”が組織される――。

作品情報

作品名:劇場用長編アニメーション『攻殻機動隊 SAC_2045 持続可能戦争』
公開日:2021年11月12日(金)より全国20館にて劇場公開[2週間限定]
キャスト
田中敦子/阪 脩/大塚明夫/山寺宏一
仲野 裕/大川 透/小野塚貴志/山口太郎/玉川砂記子/潘めぐみ/津田健次郎/曽世海司/喜山茂雄/林原めぐみ
川渕かおり/曽世海司/笠原紳司/岡田地平/武井秀哲/山城屋理紗
スタッフ 
原作:士郎正宗「攻殻機動隊」(講談社 KCデラックス刊)/総監督:神山健治 × 荒牧伸志/監督:藤井道人
脚本:神山健治・檜垣 亮・砂山蔵澄・土城温美・佐藤 大・大東大介/キャラクターデザイン:イリヤ・クブシノブ
3Dキャラクタースーパーバイザー:松重宏美/プロダクションデザイナー:臼井伸二・寺岡賢司・松田大介/モデリングスーパーバイザー:田崎真允
リギングスーパーバイザー:錦織洋介・井上暢三/エフェクトスーパーバイザー:清塚拓也/ライティングコンポジットスーパーバイザー:高橋孝弥
編集:古川達馬/カラーグレーディング:松本 勝/音楽:戸田信子 × 陣内一真/サウンドデザイナー:高木 創
主題歌:「Fly with me」millennium parade × ghost in the shell: SAC_2045/音楽制作:フライングドッグ
主題歌協力:ソニー・ミュージックレーベルズ/制作:Production I.G × SOLA DIGITAL ARTS/製作:攻殻機動隊2045製作委員会
配給:バンダイナムコアーツ

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(C)士郎正宗・Production I.G/講談社・攻殻機動隊2045製作委員会

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