映画コラム

REGULAR

2021年12月11日

『ラストナイト・イン・ソーホー』こんなもん最高に決まってるじゃないか。エドガー・ライトに映画館いっぱいの感謝を

『ラストナイト・イン・ソーホー』こんなもん最高に決まってるじゃないか。エドガー・ライトに映画館いっぱいの感謝を

追記:以上、激賞したのだが少しだけ追記(若干ネタバレあり)

と、激賞してきた『ラストナイト・イン・ソーホー』なのだが、感想を友人(女性)とやりとりしていて、正直「やっぱこれ、触れといたほうが良いよなぁ」と感じたので、以下記しておく。

本作は前半のタクシーのシーンを皮切りに、結構エグい性暴力が頻繁に描写される。また映像もフラッシュバックするような演出が繰り返される。なので、過去にそういった経験がある方が鑑賞すると、辛い思いをしてしまう可能性がある。

本コラムは「いやあ、最高っすよ」方向で進めていたものの、やはり結構な尺が割かれている搾取の構造については、一筆入れておいたほうがフェアであると判断した。

とはいえ、エドガー・ライトは過激な、人によってはフラッシュバックするような描写を「道具」としては使っていないし、真摯に、優しい眼差しをもって描いていたと筆者は見積もる。

だが本作は、極論として登場するほとんどの男性が殺傷されるものの、結果として男は得するのみである。「殺されたから復讐完了でしょ」とはいかないだろう。なぜなら、サンディの人生は死ぬよりも遥かに辛い生き地獄であり、あまりにも哀しい物語だからだ。なにせ殺されてしまえば、ネオン管のライトが切れるように苦しみは終わる(場所に囚われて成仏できない=死後も苦しむ、という見解は除外する)。正直、この点だけは「(クライマックスに至るための)いつものエドガー・ライト」として駆動するための潤滑油として使われていたような気がしてならない。願わくば、もう少しだけ彼女を救済して欲しかった。

以上、追記である。危うく劇中に登場した男性になりかけていた筆者に、「見て見ぬ振り」をさせてくれなかった友人に感謝を。あとエドガー・ライト、俺のインスタアカウント名を間違ってシェアしてるからできれば修正してください。

(文:加藤 広大)

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