<対談>井浦新×成田凌「足したり引いたりをしながら、気持ちのいい時間を過ごせた」
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世界のあらゆる情勢が変わる中、かなた狼が脚本と監督を務めた『ニワトリ☆フェニックス』が2022年4月15日(金)に公開される。新型コロナウイルスのまん延を微塵も感じさせなかった2018年に公開された『ニワトリ★スター』の新シリーズだ。主演は前作に続き、井浦新と成田凌。息の合った2人の俳優があてもなき珍道中で出会ったものとは?
幼なじみの草太(井浦新)と楽人(成田凌)。自堕落な共同生活から4年が過ぎ、少し大人になった2人はいるはずもない“火の鳥”を探す旅に出かけることに。旅の途中、SM嬢の一味や農業ラッパー、自転車旅の青年に穏やかな僧侶、誰もいない映画館の館長とさまざまな人に出会う。2人の物語と並行して謎の花嫁や裏社会の追っ手も登場。何かから “少しだけ逃げたかった”束の間の逃避行で、2人は人生のヒントを掴むことができるのか—。
作品の根底にある、「ありがとう」の気持ちを届けたい
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——まずは完成した作品の印象をお聞かせください。
井浦新(以下、井浦):今回の作品は、これまで応援してくださった方々や、映画界への感謝を込めてという思いが作品の源流にあります。かなた狼監督と僕たち2人のはじまりでもある『ニワトリ★スター』を経て、今回の作品で皆さんにちゃんと「ありがとう」を伝えることができるんだなという喜びを感じています。
成田凌(以下、成田):作品を通して普段、自分たちを照らしてくれる人たちや、職場でもあり自分の好きな場所でもある映画館に感謝の気持ちを届ける作品が完成しました。
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——前作から4年が経ち、今回の『ニワトリ☆フェニックス』はまた違う作風に感じました。続編を撮るにあたり、監督とはどんなやりとりをされたのでしょうか。
成田:そうですね、「とにかく楽しんで欲しい」という感じでした。
井浦:本当にそんな感じでした。逆に台本通りにやったら「もう一回だな」って言われたり(笑)。
成田:足したり引いたりしながら気持ちのいい時間というものを感じました。
井浦:台本の流れは汲みつつも2人のテンションが上がり、台本にはない会話を展開したり、草太と楽人のセリフが入れ替わってしまったりすることもありました。でも、それくらい壊してもいいという感じで。監督が「俺は、自由に楽しんでいる2人を見たい」と言ってくれたことが印象に残っています。
成田:「自由に!」と言っても実際、自由ではないことが多い中で本当に自由を形にした作品でした。
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——今回の撮影は伊勢志摩ということでコロナ禍での地方ロケは大変だったかと思います。地方ロケで印象に残っていることがあれば聞かせてください。
井浦:シーンごとにハプニングが起こるのでどれも印象的でした(笑)。全体を通して伊勢志摩で撮影をさせてもらいましたが、撮影場所がお伊勢さんの参道だったり、伊勢志摩スカイラインというドライブウェイだったりと、とにかく魅力的。山の上から朝焼けを見るシーンや、海沿いの道を延々と走り続けたことも印象に残っています。また、今回は地元の方のバックアップがすごかったよね?
成田:本当にそうでした。地元の方々の助けがないとできなかったと言ってもいいくらいです。
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——ロケ中は地元の食材も食べられましたか?
井浦:食事に関しては本当に幸せでした。行きつけのお店もできて、そこでいつも新鮮な魚をいただき、宇治山田駅の近くの有名店や、伊勢エビの専門店などにも行きました。
——伊勢神宮にも行かれたのですか?
井浦:はい、撮影前にスタッフキャスト全員で行ってご祈祷をしてもらいました。
「楽人は僕以外、考えられない」、「ここからすべてがはじまった」
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——井浦さん、成田さんが共演する前のお互いの印象はどうでしたか?
井浦:僕は10代、20代はファッション雑誌をバイブルかのようにかき集めて自分で古着屋mapを作るほどでした。でもモデルの活動から俳優へ方向転換をしていく過程で、ファッション業界のほうに向かなくなってしまったので、成田凌というモデルの存在を知りませんでした。でも『ニワトリ★スター』が決まって監督から「楽人は僕以外、考えられない」と言っている若くて活きのいい奴がいると聞いて、今どきそんなことを言う若者がいるのか、いいじゃないか!と思っていました(笑)。
——成田さんはそのときのことを覚えていますか?
成田:もちろんです。事務所で監督たちとお話しをさせてもらって帰ろうと思っていたときに、監督とプロデューサーから食事の誘いを受け、「よし!」と思いましたね。そこで「僕しかいないっすよ」って言いました(笑)。当時は何もわからない状態でしたから、とりあえず言った者勝ちだなって思っていました。
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——楽人役が決まったと聞いたときはどんな気持ちでしたか?
成田:めちゃくちゃ嬉しかったですね。ここから人生が始まると思いましたね。井浦さんはじめ、監督やスタッフさんとの出会い。そして役との出会いもそうですね。とにかく始まったー! って感じでしたね。
井浦:印象に残っているのが『ニワトリ★スター』が完成して試写を観終わったときに、凌がボソっと「俺が映画でこんなに映ってる……」と、言ったんです。自分もデビュー作を試写で観たときに恥ずかしくて直視できなかったけれど、映画の世界に自分が映っていて不思議な感覚になったことを思い出しました。
——では井浦さんもその成田さんの一言で初心にかえることができたということですね。
井浦:まさにそうです。
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——『ニワトリ★スター』も今回の『ニワトリ☆フェニックス』もお2人にとっては大きな存在になりましたか?
井浦:大きく捉えるのもいいし、そうでなくてもいい。ご褒美がたまにくるみたいな感じでこのまま続いていっても面白いなとも思っています。自分が60歳代になって凌も40代になったときに、またこのメンバーで『ニワトリ☆エターナル』でも作りたいねとは言っています。
成田:『ニワトリ★スター』を撮った後も何十年後かにまたやろうな! って皆で話しましたね。でも結構早い段階で『ニワトリ☆フェニクス』が実現しちゃいました。
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——今回も出演者さんがそうそうたる顔ぶれでしたね。
成田:まさにそうですね。もう一度集結してくださった方もいれば、新しく出てくださる方もいて。素晴らしい役者さんが集まってくれて、本当にすごいことだなと思っています。
井浦:奥田瑛二さんとは今作でも父と息子の設定で共演させていただきました。自分たちと同じ感覚でこの作品や監督の想いを受け止めて、理解してくださっています。火野正平さんは監督とも僕らとも初めましての状態でしたが、現場でもいい緊張感を作ってくださいました。共演できて本当に光栄です。
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——最後にこれから作品をご覧になる方たちへメッセージをお願いします。
成田:草太と楽人がなにかを抱えながら、なにかから少しだけ逃げるという物語です。火野さん演じる悟りの僧侶の言葉一つひとつを聞くのもいいし、奥田さんのセリフにしびれるのもいいと思います。監督が普段から考えている言葉や気持ち、思いが脚本に詰まっています。とにかくいろいろとお話ししましたが何も考えずに楽しんでいただければと思います。
井浦: この2年間、コロナ禍において好きなことを封印し、色々なことを我慢してきた方もたくさんいらっしゃると思います。ですが、この作品をきっかけにこれまで遠ざかっていた映画館へ足を運んでいただければ嬉しいです。ぜひ劇場で楽しんでください。
(撮影=Marco Perboni/取材・文=駒子)
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「ニワトリ☆フェニックス」製作委員会