「ちむどんどん」第8回レビュー:暢子に料理を教えると倒れる法則? お母さん(仲間由紀恵)まで(※ストーリーネタバレあり)
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2022年4月11日より放映スタートしたNHK朝ドラ「ちむどんどん」。
沖縄の本土復帰50年に合わせて放映される本作は、復帰前の沖縄を舞台に、沖縄料理に夢をかける主人公と支え合う兄妹たちの絆を描くストーリー。「やんばる地域」で生まれ育ち、ふるさとの「食」に自分らしい生き方を見出していくヒロイン・比嘉暢子を黒島結菜が演じる。
本記事では、その第8回をライター・木俣冬が紐解いていく。
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裸足のアベベの勝利もつかの間
運動会、暢子(稲垣来泉)は徒競走で1位確実でしたが、途中で運動靴が破れて走れなくなってしまいます。
次に、良子(土屋希乃)が登場。新品の体操着をアベベにぼろぼろにされて運動会を休むとすねていましたが、優子(仲間由紀恵)が懸命に洗った体操着を着て参加しました。が、あいにく2位。でも、泣きながら優子に抱きつきました。母の愛に感謝。
さて、いよいよ、賢秀(浅川大治)の番です。
1960年、ローマオリンピックで靴が壊れて裸足で走った選手アベベになぞらえて、暢子が裸足で走って逆転するかと想像していましたが、短距離走ではちょっと間に合わないようで、代わりに、賢秀が裸足で走ってぶっちぎりの1位になりました。
「俺はアベベだ!」と運動靴を脱いで投げ、指笛を吹きながら周囲を煽るシーンは決まりました。
貧乏をからからわれた比嘉きょうだいが、長男の「宇宙パワー」で華麗な大逆転。大人も子どもも、みんな、踊りだします。
賢秀が走る前に靴を脱いだとき、砂川智(宮下柚百)と青柳和彦(田中奏生)も靴を脱ぐ友情を見せます。智はありそうですが、和彦まで……ということに胸が熱くなりました。それも最初は靴下で、やがて靴下も脱ぐのです。
これまで頼りない印象しかなかった賢秀がかっこよく見えるターンであると同時に、和彦が東京から来た象徴のような靴下を脱ぐことで沖縄に馴染んだことを感じさせるターンでもありました。沖縄の子たちと比べてまだまだ白い足ですが、後に、いじめっ子たちに向かっていく勇気も見せます。
早くも亡くなったお父さん(大森南朋)や、賢秀や和彦のいろいろな悔しさを跳ね返していく反骨精神みたいなところがさりげなく手厚く描かれているのは、脚本家・羽原大介が以前描いた朝ドラ「マッサン」でも感じたことでした。主人公は女性なのですが、その夫や恩人などの男性たちが生き生きと描かれていました。
「エール」のように男性主役の朝ドラもあるので、それはそれで良いのですが、まだ第2週なので、ここは主人公・暢子、あるいは母・優子を中心に絞って、彼女たちの悔しさとそれを跳ね返す爽快な見せ場を作ってほしいなと余計なお世話ですが感じます。
ただし、いじめっこにお母さんが工事現場で肉体労働をしていることをからかわれたときに怒って立ち向かっていくときの稲垣来泉さんの凛々しさには見入りました。
暢子や優子はまだまだ苦労が続きます。優子は夫亡きあと、泣き言ひとつ言わず、懸命に肉体労働して、でも借金は返せず、PTA会費や給食費も払えません。さらに過労で倒れてしまい……。
運動会で踊ってなかったのは疲労が蓄積していたのでしょうか。
比嘉家の運気、悪過ぎます。見ていてつらい。なんとか上向いてほしいです。それにしても、暢子に料理の仕方を伝授すると倒れてしまう。父も、母も……。おそろしい伝承の法則です。
ごまかさない仲間由紀恵の凄み
工事現場で泥だらけになって重労働していたり、歌子(布施愛織)を背負って歩いたり、ごまかしのきかないことをちゃんとやっています。
ごまかしがきかないといえば、調理シーンです。フーチーバーを切りながらセリフをしゃべっています。そこが自然でした。料理しながらセリフを言うのは難しく、たいていどちらかがおろそかになるものです。家事の手をとめてしゃべる俳優もいるなかで、仲間さんは自然に包丁を動かしながらしゃべっていました。着々と俳優としての実力を伸ばしているのを感じます。
(文:木俣冬)
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