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2022年08月10日

「ちむどんどん」第88回:歌子、お手柄。たどたどしいカセットテープの挨拶と歌が頑なな重子の心を突破した。

「ちむどんどん」第88回:歌子、お手柄。たどたどしいカセットテープの挨拶と歌が頑なな重子の心を突破した。


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2022年4月11日より放映スタートしたNHK朝ドラ「ちむどんどん」。

沖縄の本土復帰50年に合わせて放映される本作は、復帰前の沖縄を舞台に、沖縄料理に夢をかける主人公と支え合う兄妹たちの絆を描くストーリー。「やんばる地域」で生まれ育ち、ふるさとの「食」に自分らしい生き方を見出していくヒロイン・比嘉暢子を黒島結菜が演じる。

本記事では、その第88回をライター・木俣冬が紐解いていく。


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「ちむどんどん」第88回レビュー

今日も、重子(鈴木保奈美)は中原中也を読んでいます。
中原中也、この一冊しか読まないのか、このひとは。というのは言いがかりにしかなりませんが。

それより気になるカセットテープです。
「いやになってしまう」と波子(円城寺あや)に聞かせる重子。

歌子(上白石萌歌)の声が入っていました。
「結婚させてください」
「私、歌います」
たどたどしい挨拶とちょっと下手くそな演奏と歌が。
そこに優子(仲間由紀恵)の声も入ってしまいます。

こういうことあるあるですね。いまだと、部屋でユーチューブのライブ配信していたらおかんが声をかけてきたみたいな感じでしょうか。

テープの音を聞いた波子の優しそうな表情。円成寺あやさんはほんとうにいいお芝居をされます。

そして、フォンターナでの食事会。
おいしくないものを出す計画ははたして……。
ふつうにおいしいものが出てきます。
今回は食事中に、暢子も房子(原田美枝子)も邪魔しません。

魚肉ソーセージ、エビの頭、クジラの肉……それから特製、おからのお寿司。

食べながら、重子はじょじょに何かを思い出していきます。

「やっぱり、これ。なつかしい」

終戦食後、夫・青柳史彦(戸次重幸)と闇市で食べた味の再現でした。

重子は戦争から史彦が帰ってきたときの話をしはじめます。
和彦が生まれたのは、戦後まだ、貧しい頃だったそうです。へえ、和彦は戦後間もなく生まれなんですね。

子供には絶対味わわせたくないような不自由な暮らしながら、家族3人で過ごしたあの頃が一番幸せだったのかもと回想します。それが豊かな暮らしを取り戻したら、ばらばらになってしまう。そんな家族もあるんですね。大変な苦労をくぐり抜けたら、結束が固まるかと思いきや、喉元過ぎれば熱さを忘れるとはこういうことなのでしょうか。

虚しい日々を過ごしてきた重子に、暢子はもう一度思い出や思い出の味を作りたいと考えます。それは、
亡き史彦が、沖縄を去るとき、学校に来て語った話が原点になっていました。

史彦は重子に愛情を注げなかったけれど、回り回って、暢子を通じて、愛情を手渡したのです。
互いを尊重してください
広い目ではそういう考え方をしていた史彦が、最も身近な妻を尊重できず、悲しませていたのでしょうか。それとも、頑なな妻を尊重し過ぎたことで、こうなったのでしょうか。

史彦は重子をどう思っていたのでしょうね。気になります。

重子のことを「しーちゃん」と呼んでいたのでしょうか。呼んでくれなくて、重子はそう呼んでほしかったのでしょうか。

結婚を認め、「しーちゃんと呼んでくださる?」と重子は暢子に頼みます。かわいい人なんですよね。でもたぶん、一緒に暮らしたら面倒くさいでしょう。

第88回は概ね、胸いっぱい、感動回でした。

比嘉きょうだいが、暢子を助けたとも言えるでしょう。第87回で、賢秀(竜星涼)と良子(川口春奈)、88回で歌子、力を合わせて暢子をバックアップしました。子供のときの運動会以来、はじめて、きょうだい一丸となったような気がします。


とはいえ、批判癖が習慣化してしまっていまして、良かったで終われないので、もう少し続けます。

自分を信じられなくなりました。
和彦くんを不幸にしてしまうかもしれない。そう思い始めていました。

深刻な暢子。
でも、なんででしょうか。やたらと前向きで自信満々だった彼女の考えの変化が唐突過ぎて、ついていけなくて。
想像すれば、何も知らなかった暢子が、自分と和彦とにずいぶん差があることに気づき、愕然としたということなのでしょうけれど。その葛藤を見たいと思うドラマ好きもいます。

映画やドラマを早送りして見る時代、いつの間にか、早送りして、間が抜けてしまったのかと思いました。あるいは、どうせ早送りされるから、過程は飛ばして結果だけでいいよねという作りかたなのでしょか。早送りする人が増えているという話題が広がれば広がるほど、じゃあ、その人たちのために作ろうと思ってしまいそうで、心配な昨今です。

早送りする世代だったら、たぶん、今回は、文句なしに感動した!と思うでしょう。
過程を丁寧に見せてほしいというのは贅沢なのかもしれません。

戦後の闇市の味、何もないけど、ありもので工夫して、それでも食べられるだけ幸せだったとはこういうことかもしれません。我々はドラマにも贅沢を求め過ぎているのではないかと反省しました。


(文:木俣冬)

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