続・朝ドライフ

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2022年08月25日

「ちむどんどん」第99回:矢作、包丁持って暗闇にたたずむのあやしまれるからやめて

「ちむどんどん」第99回:矢作、包丁持って暗闇にたたずむのあやしまれるからやめて


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2022年4月11日より放映スタートしたNHK朝ドラ「ちむどんどん」。

沖縄の本土復帰50年に合わせて放映される本作は、復帰前の沖縄を舞台に、沖縄料理に夢をかける主人公と支え合う兄妹たちの絆を描くストーリー。「やんばる地域」で生まれ育ち、ふるさとの「食」に自分らしい生き方を見出していくヒロイン・比嘉暢子を黒島結菜が演じる。

本記事では、その第99回をライター・木俣冬が紐解いていく。

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「ちむどんどん」第99回レビュー

いよいよ明日で100回です。

99回は、東京でちゃくちゃくとお店の準備を進める暢子(黒島結菜)と、やんばるでゆっくり進行しはじめたらしき、歌子(上白石萌歌)智(前田公輝)との関係が描かれました。

暢子は矢作(井之脇海)をなんとしてでもお店で雇いたいと思って、彼の行方を追います。

矢作は食い詰めて、寝る場所もなく、浮浪者のように外でしゃがんでいます。
懐から包丁を取り出して眺めます。やばい。怪しまれますよ。

この包丁が洋包丁ではなく和包丁だとネットで話題になっていました。
イタリア料理を修業していたのになぜ和包丁なのか。きっと、彼のお父さんが日本食の職人でその形見みたいなことではないでしょうか。

昨日の夕方のNHKの番組でちょうど銃刀法違反について解説していましたが、朝ドラと連動しているのでしょうか。

その番組ではそこまで解説されてませんでしたが、調べたところ、料理人が職場から家に持ち帰るのは正当な理由としてありだそうですよ。

お店の工事が行われているなか、信用金庫の坂田(安井順平)がやってきます。遅刻したり、すぐトイレに行ったり、落ち着かない人ですが、嫌味がなく、受け入れられやすい得な人物です。

このひとも「運命共同体」という言葉を使い、みんなで協力することをほのめかします。ドラマの行き着く先が見えてきた感じですね。主人公が「ゆいまーる」精神を実践していく時が来たという印象です。

さて、やんばる。

智のはからいで、歌子が「比嘉花子」という芸名で、お店デビューすることになりました。お店・珊瑚礁の前を蝶が飛ぶという芸の細かさです。

が、弱気の虫がまた出て、逃げ帰ってしまいます。

飛行音が聞こえてきたり、お客が勝手にしゃべったり、集中できない。演奏に興味なく一緒に飲めという客もいます。いたたまれない。

お酒の席、しかも見知らぬ人の前で芸を披露することがどれだけ大変か。「浅草キッド」などでも描かれていますね。いくら、智の知り合いの店、同じ地元の人たちとはいえ、歌子も考えが甘い気がしますが……。

ギャラは智が勝手に出してくれていたことを知って、歌子のプライドは傷つきます。

智は、好意の度が過ぎてしまう傾向があるようです。暢子には恋、歌子にはそうではない、みたいですが、やってることはそんなに変わらない。何が違うんでしょうかね。

でも、暢子とは一方通行で、コミュニケーションできなかった智が、歌子とだとちゃんとお互いの考えを聞いて、謝ったりして、コミュニケーションとれるのです。

「あんな店」と歌子が言うと、「大事なお得意先だ」と智はたしなめるのです。こういうの、これまでだと一方的に「あんな店」で終わって、視聴者が突っ込んでいたところでしょう。

じょじょに他者との関係を築いていく流れになってきているのです。作り手の狙いなのかなと思いますが、あまりにも長く、傍若無人な描写が続きすぎたような気がします。2時間ドラマか映画のプロットですよこれは。

99回で活躍したのは優子(仲間由紀恵)。智と歌子の話を、立ち聞き(座っていたけど)しています。慌てて、隠れて、息を殺して聞いている優子がかわいい。隠れる動きが俊敏で若い。お母さん役で落ち着いて見せているけど、仲間さん若い。

芋を転がしてしまい、気づかれて、「お芋お芋」と誤魔化すところなど、ほんとうにチャーミング。「トリック」の山田を思い出します。ちゃっかり抜け目ないけど憎めない人物を好演できる仲間由紀恵さん。あなたがいてくれてよかったです。


(文:木俣冬)

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