「テッパチ!」8話:広がる差、後がない昇進試験、浮き彫りになる決定的な”欠点”
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町田啓太主演フジテレビ系ドラマ「テッパチ!」が2022年7月6日より放送スタート。
陸上自衛隊を舞台にした本作は、町田啓太演じる主人公・国生宙を含めた自衛隊候補生たちの熱き青春と成長を描いた物語。佐野勇斗や佐藤寛太など次世代を背負う若手役者が多数出演することでも話題を呼んでいる。
本記事では、第8話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。
「テッパチ!」第8話レビュー
「同期」や「仲間」や「ライバル」は、仕事に打ち込んだり目標達成に向かって頑張ったりするうえで、力にも薬にもなる。しかし、時には目の前にそびえ立つ壁のように感じることもある。宙(町田啓太)と馬場(佐野勇斗)の関係は、良き仲間でありライバルでありながらも、ひとつボタンを掛け違えると破綻してしまいそうな境地にある。
前回の”失敗”を胸にがむしゃらに訓練する宙は、その姿勢を買われ、早々に昇進試験を受けることになった。桜間(白石麻衣)によると、あくまでも模擬試験とのことだが、「受けるレベルに達していない」と評された馬場との差は大きい。
同期であり仲間でもある宙と馬場。なのに、差は広がっていくばかりのように見える。八女(北村一輝)をはじめ、彼のメンタルを心配し声を掛ける者は大勢いるが、心が折れてしまわないか心配になる場面も多い。
しかし、宙だって順風満帆とはいかない。先輩である金子(桐山漣)とともに受けた昇進試験だが、合格レベルに達していたものの、決定的な”欠点”も浮き彫りになった。
まさに瞬間湯沸かし器のように、何かあると「すぐに熱くなり、周りが見えなくなる」。前回の出動中、自己判断で行動し問題を起こした件に加え、今回の試験勉強中も咄嗟のことで金子と揉み合いになってしまった。自衛官として、冷静に物事を見据え決断する資質に欠けている、と桜間は断じたのだ。
宙にとっては聞き流せない話だろうが、ドラマの演出としては良い方向に働いていると感じた。このまま順調に宙がレベルアップしていき、桜間との仲も深まっていく……といった流れは、ぬるすぎる。これくらいの”壁”があってもいいだろう。
壁といえば、年齢的にも今回がラストチャンスの昇進試験となった、バツイチでギャンブル好きの金子。今回は彼のフィーチャー回であり、別れた妻子も登場して、過去と現実そして未来を見直す展開となった。
ギャンブルの誘惑に耐えながら、そして中卒であるハンデとプライドを抱えながらも、懸命に努力し見事合格した金子。元妻からは「再婚するの」と告げられる切ない終わりになってしまったが、一連の出来事は彼にとっての新たな自信になったに違いない。
金子を演じる役者・桐山漣は、活動歴こそ長いものの、『仮面ライダーW』で注目を集めるまではアルバイトを掛け持ちしつつ養成所に通う下積み生活を送っていたという。今回の金子フィーチャー回は、そんな彼自身のこれまでの過程を、自然と思い起こしてしまうような脚本だった。
壁を乗り越えれば、また新たな壁が現れる。次は、誰にとっての大きな壁が現れるのだろうか。
(文:北村有)
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