続・朝ドライフ

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2022年10月13日

「舞いあがれ!」第9回:ツッコミどころもあるけれど気にならない理由

「舞いあがれ!」第9回:ツッコミどころもあるけれど気にならない理由


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2022年10月3日より放映スタートしたNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」。

本作は、主人公が東大阪と自然豊かな長崎・五島列島でさまざまな人との絆を育みながら、空を飛ぶ夢に向かっていく挫折と再生のストーリー。ものづくりの町・東大阪で生まれ育ち、 空への憧れをふくらませていくヒロイン・岩倉舞を福原遥が演じる。

本記事では、第9回をライター・木俣冬が紐解いていく。

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赤ちゃんが生まれる


舞(浅田芭路)が一太の家に行くと、妊娠中の莉子(大橋梓)が産気づきます。誰か呼んで来てと言われ飛び出す舞。ものすごい距離を走り、祥子(高畑淳子)の家まで戻り、また引き返します。
祥子が病院に莉子を連れていく間に、海岸にいた浦父子を迎えに。
舞の頑張りのおかげで無事出産。いつもなら熱が出るところですが、出ませんでした。

五島列島に来て1ヶ月、舞はのびのびしています。島に来た頃はスカートをはいていた舞ですが、
パンツを履いて活動的になっています。

舞が頑張れてよかったなあと思います。たくさんの民家を駆け抜けてずいぶん遠い祥子の家まで行かず、浦家の隣近所の人のところをまず訊ねても良かったのでは……という気持ちによぎらないことはありませんが、ほかのことが丁寧に綴られてあるのでここは舞のがんばりを見せるところだからと思えます。例えば、赤ちゃんが無事に生まれたあと、舞が見上げた空には飛行機が飛んでいます。飛行機はこれまで何度か映っています。舞の晴れやかになりたい気持ちの象徴なのでしょう。
また、8月になって東大阪の貴司(齋藤絢永)が舞から送られたはがきを読むとき、首元がかすかに汗ばんでいます。夏ですからね。第8回で、舞が作った凧には、飛行機と船と黒うさぎの絵が描いてありました。そういうところに手間が加えられ良作貯金が増えていきます。

子供だから見知らぬ近隣を訊ねることまで考えが至らなかったのかもしれません。
知ってる人は祥子しかいないから仕方ない。もしかしたら近所は全員留守だったのかもしれないですし。それと、舞が走ったことで五島の風景をたくさん見ることができたのも良かったです。

生まれた赤ちゃん・慶太のために一太(野原壱太)は大きな凧をあげることにして、舞も一緒にあげようと誘いますが、舞は遠慮します。一度失敗しているからです。

ここで祥子が自分だってたくさん失敗したという話をします。第8回の遅刻事件もそれ。そして、
14年前のめぐみ(永作博美)との別れも失敗のひとつ。

朝ドラ好きとしては、祥子がめぐみを許さなかったため、めぐみどころか孫にも「ず〜っと会えずに」いたことは「カムカムエヴリバディ」の安子(上白石萌音)るい(深津絵里)を思い出します。安子とるいの場合はるいが安子の行為を誤解して拒否しましたが、安子が誤解をとかず、そのまま幼い娘を置いてアメリカに行ってしまうのはいかがなものかという声もありました。

人間は完璧ではなく選択ミスすることもあるのです。長い月日を経て、そのミスを解消したのが「カムカム」でした。「舞いあがれ!」も舞の発熱をきっかけに別れていた祥子とめぐみが和解します。

なんでも言えばいいものではないけれど、ときには、思いを伝えること、失敗の大小にかぎらず、ゆるすことの大切さが、ゆったりとした自然とおおらかな人たちの姿から浮き上がってきます。

失敗をゆるすといえば、一太は舞が凧を壊したことをちっとも気にしていなくて、また凧揚げに誘いますが、舞は自分をゆるせません。みんなをがっかりさせるのがこわいと言いながら、一太の好意を無にしてがっかりさせてしまいます。

人間だもの。いいところもうまくいかないところもあります。でもよくしたいという気持ちがあればそれがまわりに伝わっていくのでしょう。そうありたいものですね。

【朝ドラ辞典 おじいちゃん

ホームドラマ、大家族ドラマが基本の朝ドラには、おばあちゃんと並んでおじいちゃんも必須。お父さんがだらしない存在であることが多いなか、よくできた人物が多く、
主人公にとって最初の導師的存在になることも少なくない。


(文:木俣冬)

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