続・朝ドライフ

SPECIAL

2023年03月03日

「舞いあがれ!」すぐ辞めて新しいことをはじめる舞の生き方は現代的か<第106回>

「舞いあがれ!」すぐ辞めて新しいことをはじめる舞の生き方は現代的か<第106回>


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2022年10月3日より放映スタートしたNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」。

本作は、主人公・岩倉舞(福原遥)がものづくりの町・東大阪と自然豊かな長崎・五島列島で人との絆を育みながら、空を飛ぶ夢に向かっていく挫折と再生のストーリー。

ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は第106回を紐解いていく。

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IWAKURA  の営業辞めます

舞(福原遥)は新規事業の事業計画を悠人(横山裕)に見せます。すると厳しい応えが帰ってきました。でも舞は退きません。東大阪の町工場はみんなつながっているので、ひとつが潰れたら連鎖していく。みんなを守るためにつなげる事業を起こしたいと譲りません。
悠人は舞のその強い決意を聞いて、ひとつの策を授けます。
 
新会社をIWAKURA の子会社にすること。

こうして舞は、IWAKURAの営業を辞めることになりました

IWAKURAの営業を辞めます と仏壇に挨拶する場面を見て、舞はいろいろ辞めているなあと思いました。
飛行機づくりを辞めて、人力飛行機を辞めて、パイロットを辞めて、営業辞めてーー

新しいことを始めるには何かを捨てたり辞めたりしないといけないので、舞は思い切りがいい人なのだなと思います。

不幸や挫折があって、いかんともしがたい局面から仕方なく何かをはじめることになる展開ではなく、自ら、辞めて、新たなことを始めるのです。
舞のほかに営業職のひと、全然増えていないように見えたけれど、大丈夫なのかな。

御園(山口紗弥加)も新聞社を辞めます。「よろしくねー」と舞の起業に頼りきって厚かましく感じるのですが、こういうひとがナチュラルにドラマに存在しているということは、こういうキャラを自然に受け入れられる人たちもいるってことですよね。多様性。

最近の若い世代は、一度勤めた会社で我慢することなく、さっさと見切りをつけて、転職してステージをあげていくそうですので、新世代の感覚を生かしたシナリオなのではないかと感じます。

ただし、舞の場合は、今回、東大阪の町工場の人たちを決して見放さないために新規事業をはじめるのです。

会社の名前は「こんねくと」に決まりました。つなげるのコネクトだとしゅっとしすぎているので、五島の言葉をプラスして、親しみやすいものにしました。

事務所は、あの柏木公園の前のビルです。このビル、オープンファクトリーの会場にも使っていましたね。

いつも「テナント募集中」の文字が目立って気になっていました。第106回では悠人と久留美(山下美月)のちょっといいシーンでも文字が写り込んでいて、最初からここで新規事業する予定になっていたーーつまり伏線だったのかと感じたのですが、ヤフーニュース個人で取材したチーフ・プロデューサーのコメントによると、東大阪の町工場の一帯が不景気でビルも空いてしまっている状況を表しているらしいのです。セットばかりで町全体の様子がさっぱりわからないですが(舞の子供の頃、お父ちゃんと高いところから町の全景を眺めた場面があったくらいですよね)、美術の工夫で寂れた町を表現していたんですね。

【朝ドラ辞典 伏線(ふくせん)

物語のなかで事前にほのめしておいたことが、後々、重要になってくること。気づかれないことが良さだったが、近年、誰もが気づかれるようにあからさまに用意されたものとなってしまった。
類語:フラグ



(文:木俣冬)

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