「ファーストペンギン!」第7話:一本の“針”でバラバラになった漁師たち……“言葉”は届くか?
奈緒主演、堤真一や鈴木伸之が脇を固める日テレ系列ドラマ「ファーストペンギン!」が、2022年10月5日より放送をスタート。
寂れた漁港を復興する”実話を元にした”オリジナルストーリーである本作。奈緒演じるシングルマザーの岩崎和佳(いわさき・のどか)は、職なし・宿なしのギリギリ状態で5歳の息子を連れ、とある港町に行き着く。堤真一演じる漁師かつ漁船団「さんし船団丸」の社長・片岡洋(かたおか・ひろし)と出会ったことで、和佳の生活に変化が訪れる。
本記事では、第7話をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。
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「ファーストペンギン!」第7話レビュー
農林水産省・溝口(松本若菜)からの打診により、6次産業化推進のため動くことを決めた和佳(奈緒)。ほかの漁師たちが、さんし船団丸の後を追うためには、漁協の意識から変えていく必要がある。地道な講演活動が、日本の漁業を変えていくかもしれない。タイミングを同じくして、さんし船団丸には3人の新人が!
忙しくなった和佳の代わりに、洋(堤真一)が教育役を買って出るが……。3人のなかでも厄介なのが、大卒で論理的な物言いをする小森くん(北川尚弥)である。
漁に出た時間が長引けば「労働基準法に違反するのでは?」、そよそよ(志田未来)特製のジュースをすべて飲んでしまったことを責められたら「ご自由に、と書いてあるのが悪いのでは?」……。
洋の言うように、小森くんの言うことは所々正論でもある。だからこそ、一方的に悪いと決めつけ、叱ることもできない。洋のそんな中立的な(ある意味、どっちつかずな)態度に、ふつふつと不満が高まる漁師たち。
そして、ヒヤッと背筋が冷える事故が起きてしまう。
漁に出る際、大きな網には大量の魚がかかる。網が出ていない側から「抑え船」で引いていないと、船は転覆してしまう。
なんと、その抑え船のロープが切れてしまい、あわや転覆事故の大惨事になるところだった。
小森くんに疑いを抱いた篤(梶原善)は、「お前がやったんじゃないんか!?」と責め立てる。この時点で漁師たちは気づいていないが、実は新人3人のうち、1人は漁協側から送られた「工作員」なのだ。
お魚ボックスの好調な売れ行きに、まさに波に乗るさんし船団丸に対し、これ以上調子に乗らないよう灸を据えるつもりで仕組まれた事故。
すんでのところで漁師たちの命は守られたが、最後の最後まで中立な態度を崩さない洋に対し、篤は激怒。不満を募らせていたほかの漁師たちも追随する形で、みんな出ていってしまった。
残ったのは、洋、和佳、そして小森くん。
こうなってくると、なぜ小森くんが後に残ったのか不思議に思えてくるが……。次回から、少数精鋭となったさんし船団丸の復活劇が始まるのだろう。
いつもの「ファーストペンギン!」では、たとえ仲間同士や外部とのすれ違いがあっても、自分の頭で考え言葉にした思いは必ず相手に伝わり、最後には和解できていた。
今回は、本心をなかなか言葉にできないもどかしさと、それにより決裂する絆のもろさを感じる、やるせない回になってしまったと言える。
せめてもの救いは、永沢くん(鈴木伸之)が着実に“良いパパ”の道を歩んでいるのがわかったことである。しかし、まだ彼女の妊娠が確信できる証拠はない。妊娠が嘘だった可能性は、まだ捨て切れない。
(文:北村有)
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