「silent」第10話レビュー:想(目黒蓮)と湊斗(鈴鹿央士)の笑顔が尊い。でも…
主人公・紬(川口春奈)は突然別れを告げられた元恋人・想(目黒蓮)と8年ぶりに再会。彼は難病により、ほとんど聴力を失っていた……。
音のない世界でもう一度“出会い直す”ことになった二人と、それを取り巻く人々が織り成す、せつなくも温かい物語。
本記事では、第10話をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。
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「silent」第10話レビュー
紬(川口春奈)の家にCDを借りにきた想(目黒蓮)。いくつかほかのCDが入っているケースがあり、高校生のときに貸したCDが返ってきたときもそうだったと笑う想。一瞬弟の光(板垣李光人)がいたずらしたかなぁ? と人のせいにするが、すぐに素直に謝る紬。新しく聴きたいCDのケースにとりあえず入ってたCDを入れるとそうなるよね、わかる。想にしかわからない苦しみ
洗い物をする紬のポニーテールの毛先を引っ張ったりポンポンしたりして遊ぶ想。なんなの? 猫なの? かわいすぎるんだが??好きな人でなければブチ切れ案件だが、想なのでかわいく見える。っていうか、これで付き合ってないってどういうことなのかよくわからない。
だが想は、洗い物で手がふさがっている紬が話し続けるのを見て、しょんぼりしてしまう。想目線の映像だと、楽しそうに話している紬がなんと言っているかわからない。そうだよなぁ……。CDはまた今度にするという。自分でちょっかいをかけて自分でテンション下がっちゃうの、やっぱり猫かよと思うけど、切ない。
手をつなごうとした紬の手を「手話できなくなるから」と拒否したり、夜一人で自分の病名と「遺伝」というワードでネット検索したり。じわじわと、いろんな「できない」に直面し、落ち込む姿が見られた。きっとこの何倍も何十倍も、こういうシーンはあるのだろう。紬もそんな様子、ときどきすごくさみしそうな顔をする想に気づき、話してほしいなと思っていた。
湊斗(鈴鹿央士)に「また青羽に伝えないで勝手にいなくなるとかは絶対許さないから」と言われた想は、紬の家に訪れる。そこで想が伝えた本音は、つらいものだった。紬の声が思い出せないという。
2話を見た人なら、想がどんな気持ちで、これで最後だと紬に自分の名前を呼んでもらったかわかるはずだ。ふたりが好きなスピッツの『楓』の歌詞「さよなら 君の声を抱いて歩いて行く」のように、一生この声を思い出して生きようと思ったのではないだろうか。それでも思い出せなくなってしまったというのは、つらい。
紬は、声を出しながら手話をするのをやめ、手話だけで「声で話せるよ」と言うが、想の気持ちは止まらず、1話の再会シーンで、自分が手話でなんと言っていたか伝える。「電話もできなくなるし、一緒に音楽も聞けなくなる。そうわかってて一緒にいるなんてつらかった。だから別れた」
「やっぱりつらかった。一緒にいたいだけって言ってくれて、顔を見て一生懸命手話で話しかけてくれてうれしかった」
「でも一緒にいるほど、話すほど、好きになるほどつらくなっていく」
「青羽があのころのままだってわかるほど、自分が変わったことを思い知る」
「声が聞きたい。もう聞けないなら、また好きになんてならなきゃよかった」
1話のラストで紬を拒絶した想が、5話で「再会できてよかった」という心境になったことがうれしかった。
紬や湊斗と再会したことで、いい方向の気づきがたくさん生まれたのだと思っていた。前回はついに母・律子(篠原涼子)とのわだかまりも取れ、CDを新たに買う心境になるほど何かが変わったのだと思った。
でも甘かった。一瞬「このタイミングでそう言うのか」と思ったが、こちらが想像しきれていなかったのだ。想の立場や状況、その苦しみは想にしかわからない。
ふたりで泣く想と紬。こればっかりは誰にもどうにもできない。どうしたらいいのだろう。
弟も妹もかわいい…
忘れた学校のレポートを届けてくれた想に、ツンデレな感じで甘える紬の弟・光がかわいい。「牛乳買わなきゃいけないけど、スマホより重いもの持てないから一緒にきて」って言うの、どんな理由だよと思うけど、光らしくていいなぁ。紬への報告でも「佐倉くんがどうしても俺と一緒にスーパー行きたいって言うから」「佐倉くんがどうしても払いたいって言うから」というツンデレの後に、「ちゃんとありがとう言ったから」と報告するかわいさよ。
一方想の妹・萌(桜田ひより)も、紬のバイト先にお礼を言いに行く。紬はお礼を言われた意味がよくわかっていなさそうだったけど、「ちゃんとありがとうと言った」と両親に報告していた。律子の表情や受け答えがだいぶ柔らかくなっていてほっとした。光も萌もいい子だな。
湊斗の笑顔、プライスレス
奈々(夏帆)にバカと言われつつ、想と仲がいいんですねと言われてとびきりの笑顔で「はい!」という湊斗、かわいいかよ……。守りたいこの笑顔。想を見かけ、メッセージアプリで「想!」と呼び、笑顔で歩いていくシーンは涙が出た。3話で湊斗が泣きながら、もう叶わないと思い出すシーンと変わらなかったからだ。想もうれしそうで、いっそ想と湊斗が付き合えば解決なのでは……? と少し思ってしまった。あと、「俺が湊斗くんと結婚したいよ」と言う光をポンポンして笑う湊斗、かっこよすぎて「湊斗~! 俺だ~! 結婚してくれ~!」という気持ちになった。想にちゃんと言うこと言うところもいい。
奈々の手紙と「バーカ」
前回気になった奈々から正輝(風間俊介)への手紙。昔のことを謝りたい、春尾くんが仕事にするのが嫌だったわけじゃない、と当時の気持ちを打ち明け、最後に「通訳が必要なときは指名するね!」と書き添えるさわやかさ。いつもの居酒屋で飲むふたりの会話がよかった。「桃野さんみたいな人は桃野さんしかいなかった」
「言葉の意味を理解することと、相手の想いがわかるってことは違った」
「結局は伝えたいとか 受け取ろうとか、そういう気持ちがあるかどうかなんだと思う」
すてき。2人の成長に乾杯したい。
後からやってきた湊斗が手話をわからないのをいいことに、言いたい放題言う奈々がよかった。
「お前が紬ちゃんのこと引き留めてたら、こうはならなかったのに」
「なんで好きなのに自分から振るの? バカなの?」
お前って(笑)。でもこれは奈々が乗り越えたから言えることだし、湊斗が紬に手話教室を教えてくれたから正輝と再会できたとお礼も言っていて、なんだか奈々、好きだわ~と思った。
いつの間にか紬の家に行くほど仲良くなっていて、いくらなんでもあのきっかけでここまで仲良くできるの、紬も奈々もすごい。
次回はとうとう最終回。毎回言ってる気がするけど、みんな幸せになってほしいよ~!
(文:ぐみ)
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