<冴羽獠がずっと「いる」>『劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)』神谷明インタビュー
「賢雄ずるい!」と思いましたよ(笑)
──前作は完全なオリジナルストーリーで、今作は海原や獠の過去に触れられています。原作にある話とない話を描くという点がテレビシリーズを含めアニメ『シティーハンター』の特徴だと思いますが、原作あり・なしで演じる際に何か違いがあったり意識していることはあるのでしょうか。
神谷:演じる際に違いは特にありませんね。
ただ、前作の場合は「シティーハンターファンのために帰ってきたぞ!」という感じで音楽もつけられていたと思うんです。でも今回は、ファンはもちろん一般の方が観ても見応えのある作品に作り上げていただけたと思います。だから今回“も”自信を持っておすすめできる作品になりました。
でも原作を読んでいるファンにとって、今回の海原の登場シーンなんかも「これこれ!」っていう感じで出てくるんです。それでね、堀内賢雄さんの声がもうぴったりで! みんなもっていかれたような感じで(笑)。本当に憎んでも憎みきれないようなキャラクターなんだけど、魅力のあるキャラでもありますよね。いやあ~だからもうね、「賢雄ずるい!」と思いましたよ(笑)。見事に演じられているわけじゃないですか。やられたなあという感じで、素晴らしい演技でした。
それにアンジー役の沢城みゆきさん。アンジーも振れ幅が結構ありましたから、彼女も大変な役を見事に演じられて。敵役の関くん(ピラルクー役・関智一)や木村くん(エスパーダ役・木村昴)は言うに及ばず、ゲスト声優の山ちゃん(山里亮太)や世界さん(EXILE/FANTASTICS)に至るまでみなさん良かったですよね。キャスティングが素晴らしかったなって。そういう意味でもスタッフに感謝しましたね。これだけの素晴らしい作品ができたっていうのは、すべての部分で手を抜いていないということですから。
小室哲哉さんも改めて素晴らしい曲を作ってくれました。テレビシリーズをやっているときはお会いするチャンスがなかったんですけど、この4年間で何回か小室さんとお会いできましたね。それでお互い「『シティーハンター』に携わることができて良かったよね」っていう話をしていて。宇都宮隆くんともよく彼のコンサートに呼んでいただいておしゃべりするチャンスがありましたし、この4年間で一気にTM NETWORKのみなさんとの距離が縮まりました。
今回はすでに試写で何回か観ているのに全然観足りなくて。こんなに自分の作品を観たのは初めてです。いつもは「もうお客様のものだ、どうぞ」っていう感じで何度もは観ないんです。でも今回は自分でも楽しみたいというのと、絵や音楽、効果音やみんなの芝居を確認したいんですよね。1、2回では全然足りないんです。
試写会の前はすごく自信があったのに、だんだん不安に包まれて、次の日評判を聞いてまた胸を張ることができたというか。ものすごく良い手応えがあるのでいまはちょっと安心しています。あとは多くのみなさんに観ていただいて前回を凌ぐ興行収入を上げて、映画を作ってくださったスタッフのみなさんにも喜んでいただきたいという思いですね。
時代を超越して愛されるキャラクター
──『シティーハンター』は若いファンも多く配信サイトでアニメシリーズを追っている人もいると思いますが、「獠のことをこんなに好きでいてくれるんだ」と感じるようなエピソードはありましたか?
神谷:前作を親子で鑑賞したという方がいて、「いまは娘のほうがハマっています」という声をいただきました。あと『シティーハンター』をまったく知らなかった方が前作をご覧になって、改めてコミックスから全部読んで大好きになったという話も聞いてやっぱり嬉しいですよね。
僕としてはどの作品もそうなんですけど、リアルにそのキャラクターが存在するかのように思ってもらえることが最高の褒め言葉だと思ってやってるんです。
前回の『新宿プライベートアイズ』のとき、吹き込みが終わったあとでセリフのOKテイクが入った映像を見せてもらったんですね。ところが、テレビ放送当時に比べ少し声が低いことに気づきました。なので、冒頭部分をディレクターと相談して録り直しました。ですから、「待たせたな、オレを呼んだのは君だろ」は予告編と本編では声が違います。予告編では、最初に収録したセリフが使われていて……ちょっとドスが効いています。
──えっ、そうだったんですか! それは気づかなかったです……。
神谷:ほんの少しだけどテイストを変えているんです。今回はそういうことはせず、素直に自分の想像した冴羽獠の演技を、いわゆるひょうきんな部分も含めてやらせてもらいました。でもそうやって演じた冴羽獠を変わらず感じてもらえていることが嬉しいと思いますね。
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(C)北条司/コアミックス・「2023 劇場版シティーハンター」製作委員会