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2023年09月11日

「転職の魔王様」9話:人に“生産性”という言葉をあてがった瞬間から、世界はおかしくなった

「転職の魔王様」9話:人に“生産性”という言葉をあてがった瞬間から、世界はおかしくなった


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成田凌主演、小芝風花がヒロインをつとめる“月10”ドラマ転職の魔王様」が2023年7月17日放送スタート。成田凌が毒舌転職エージェント・来栖嵐を、小芝風花が3年で広告代理店を辞めた新卒社員・未谷千晴を演じる。人生のステージを変える「転職」をテーマに、異色のタッグが繰り広げる爽快エンターテイメントドラマ。

本記事では、第9話をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。

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「転職の魔王様」9話レビュー

正直に申し上げて、「生産性」という言葉を「人」に当てがうようになってから、世界に対して少しずつ嫌な予感がしていた。「コストパフォーマンス(=コスパ)」「タイムパフォーマンス(=タイパ)」なんて言葉もどんどん一般的になってきている。

もしも第三者から「タイパの悪い生き方をしている!」「あなたには生産性がない!」なんて言われたら、生きるうえでの解釈違いがひどすぎて、目眩で倒れてもおかしくない。


洋子(石田ゆり子)の恋人でもあった五十嵐君雄(金子ノブアキ)は、10年前にとつぜん教師の職を辞し、部屋に引きこもるようになってしまった。心配した千晴(小芝風花)や来栖(成田凌)は、協力し合って君雄が心を病んだ原因を探す。

その結果、当時の教え子だった藤川孝介(野村康太)が、イジメに遭った末に引きこもりになってしまった過去を突き止めた。学校に行けなくなった理由は「先生が余計なことをしたからだ!」。孝介を助けようと手を差し伸べた君雄の行動は逆効果だったようで、それが深い心の傷になってしまった。


良かれと思い、救おうと思ってとった行動が、さらに他者を深い闇に落とすことになった。自分のしたことが許せない、取り返しがつかない……そんな思いは、どんどん自罰的な思考を加速させる。君雄は十年、部屋から出ることができずにいた。

彼を引き上げたのは、諦めずに彼の元へ通い続けた洋子の存在、そして、22歳になった藤川の“本当の思い”だった。

5年間、部屋から出られなかった彼は、17歳になったときに「このままじゃいけない」と一念発起。フリースクールに通い始め、社会復帰を目指したという。支えになった言葉は、君雄からの「どんな形でもいいから、人と繋がることを諦めないでほしい」だった。

君雄の言葉は、長い時間を耐え抜いて、教え子を救った。そして巡り巡って、君雄自身の心も救う。


来栖が言う。「引きこもりに生産性がないなんて、誰が決めたんですか」。そもそも「生産性」なんて、命あるものにあてがう言葉ではないことは大前提のうえで、そんなものはあろうがなかろうがどちらでもいい。

人の命に価値なんてものさしはないけれど、もし無理やりに測ろうとしたところで、「生産性」なんて言葉が浮遊している場所とはもっとも遠いところでしか測れないはずだ。命なのだから。

仕事をしていなければ、他人に認められなければ、社会で自立していなければ、自分を自分として誇りに思えないかもしれない。それでもこのドラマは、人としての尊厳は人の数だけあり、軽率に他者に侵害させてはならないことを教えてくれる。

物語は最終章へ。千晴、来栖、そして天間(白洲迅)をめぐる恋愛要素も顔を出す。彼らの歩む道は、どこへ向かっていくのだろうか。

(文:北村有)

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