『ペイン・アンド・グローリー』公開を記念して、ペドロ・アルモドバル監督作品3選!

『ローマの休日』をお下品ドタバタ・コメディにしたような
『セクシリア』(82)

  (C)ALPHAVILLE,S.A.1982

ペドロ・アルモドバル監督の長編映画第2作。1982年の作品ですが、日本ではミニシアターでのアルモドバル人気を得た後の1995年に初公開されました。

本作のヒロインはロックバンドのメンバーで、ニンフォマニア(=淫乱症)のセクシリア(セシリア・ロス)。

彼女の父親は娘とは真逆にSEXへの嫌悪感から人工授精の権威となったペニャ博士(フェルナンド・ビバンコ)ですが、そんな彼のもとを政情不安のティラン国元皇后の美魔女トラヤ(ヘルガ・リナ)が謎の訪問(果たして彼女が入手しようとしている白い液体とは!?)。

一方、同国の皇太子でイケメン・ゲイのリサ(イマノル・アリアス)は変装してマドリッドに亡命していますが、反皇帝派のサディック(アントニオ・バンデラス)は彼の誘拐を目論んでいます。

そんな中、セクシリアはリサと出会って一目惚れしてしまったことから、反皇帝派の魔手から彼を救うために一役買う羽目に……!?

あたかもゲイとニンフォマニアが織り成す『ローマの休日』?

ここでもアルモドバル監督ならではの老若男女が織り成すドタバタ&ハチャメチャなスラップスティックでスクリューボール的エロ・コメディがさく裂! 

近親相姦みたいな深刻な要素すらも、タブーを恐れることのない彼の手にかかると不可思議で猥雑な映画的躍動感のフックと化し、さほど不快な印象をもたらさないのは恐るべし! です。
(総じて彼の作品は「父娘の性的関係性」が強調される節がありますが、そこには何某かの彼の映画作家としてのアイコンが秘められている気もします)

ヒロインのセクシリアを演じるセシリア・ロス(ちなみにセクシーなセシリアということで“セクシリア”と名付けられたといった説は真か嘘か!?)もまたアルモドバル映画の常連で、後の『オールアバウト・マイ・マザー』での名演も忘れられないところ。新作『ペイン・アンド・グローリー』にも出演しています。

また若き日のアントニオ・バンデラスも出演していますが、彼もまたアルモドバル作品の常連として売り出し、やがて世界的スターとして躍進していくのでした。

あ、監督自身も女装して歌を披露しています(実は彼自身、同性愛者であることを公言しているのでした)

映画の配信情報をチェック!
                  

ライタープロフィール

増當竜也

増當竜也

増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画レビュー・コーナー『戯画日誌』を連載中。近著に『映画よ憤怒の河を渉れ 映画監督佐藤純彌』(DU BOOKS刊)がある。

ピックアップ

新着記事

WP Facebook Auto Publish Powered By : XYZScripts.com