新旧『サスペリア』&『サスペリアPART2』をこの夏堪能しよう!

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ダリオ・アルジェント監督の名作オカルト・ホラー映画を『君の名前で僕を呼んで』(17)で知られるルカ・グァダニーノ監督が自分なりの解釈で大胆に完全リブートしたことで反響を呼んだ『サスペリア』(18)が7月2日にBlu-ray&DVD発売されました(Amazon.co.jpでは非売品プレス付きの限定版も発売!)。

それを記念して(?)今回はそのオリジナルとなったダリオ・アルジェント監督の『サスペリア』(77)および姉妹編(?)『サスペリアPART2』(75)をご紹介していきましょう。

名門バレエ学院内で起きる
恐怖を描いた『サスペリア』

サスペリア [Blu-ray]

オリジナル版『サスペリア』は、ドイツの名門バレエ学院を舞台に繰り広げられていきます。

学院に入学してきたアメリカ人少女スージー(ジェシカ・ハーパー)は、そこで次々と不気味で奇妙な出来事に遭遇。

やがて彼女は学院の真相を突き止めようとするのですが……といった、あたかもホラー版“ふしぎの国のアリス”的テイストで学院内で巻き起こる恐怖の数々を、赤や青の原色を際立たせた極彩美の映像と、プログレッシプ・ロックバンド“ゴブリン”による美しさと不穏さを巧みに融合させた音楽、そして何よりもダリオ・アルジェント監督ならではのショッキングな残酷描写の連鎖で魅惑的に描き、観る者を甘美な悪夢へと誘っていきます。

日本で初めて劇場公開されたときは「決して、ひとりでは見ないでください」といったキャッチコピーが功を奏して大ヒット。サーカム・サウンドなる独自の立体音響方式も話題を集めました。

アルジェント監督はこの後『インフェルノ』(80)『サスペリア・テルザ 最後の魔女』(07)を発表し、『サスペリア』と併せて“魔女三部作”としています。

現在、この『サスペリア』は4Kレストアされて再上映が各地で始まっており、また7月19日にはUltra HD Blu-rayが発売。高画質であればあるほど恐怖と鮮血の美学が引き立つ作品なので、ファンにとってはマストアイテムでしょう。

さらには10月25&26日、ゴブリンが来日しての『サスペリア』『シャドー』(82)のライヴ上映がクラブチッタで開催されます。

ちなみにルカ・グァダニーノ監督版『サスペリア』は、オリジナルと同じ1977年のドイツを舞台にすることで当時の東西冷戦構造を背景にしつつ、オリジナルの極彩美とは真逆なシックな映像でトーンを統一させ、残酷シーンも一見控え目(に見せておいて、実は)……といった換骨奪胎した姿でオリジナルをリスペクトするとともに独自の『サスペリア』を構築。オリジナル版のヒロインを演じたジェシカ・ハーパーがゲスト出演しているのもファンには嬉しいところです。

『サスペリア』の前に撮られた
ジャーロ映画『サスペリアPART2』

(C)1974 MEDIASET

一方『サスペリアPART2』ですが、これはダリオ・アルジェント監督が『サスペリア』の前に撮った作品なのに、日本の配給会社が勝手に『PART2』と誰もが続編と勘違いしてしまう邦題をつけてしまった作品です(原題は“Profondo Rosso”、英題名は“Deep Red”。即ち“赤い深淵”)。

今ではおよそありえない邦題のつけ方ですが、1970年代は良くも悪くも配給会社の張り切り具合が映画ファンの話題を集めることしばしで、それもひとつの時代的風俗として語り草にはなっています(つまり、それだけ『サスペリア』が話題になったという事実の一つの顕れなのです)。

公開時のキャッチコピーは「約束です!決してひとりでは見ないでください」。

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さて、その『サスペリアPART2』は殺人などの残酷描写を主眼とするサスペンス・スリラー映画=ジャーロ映画の代表作であり、アルジェント映画の最高傑作と讃えるファンも多数いる作品です。

あるクリスマスの夜、わらべ歌が聞こえる中で行われた殺人から数十年後、ひとりの霊媒師がアパートの窓越しに殺されるのをアメリカ人ピアニストのマーク(デヴィッド・ヘミングス)が目撃したことから事件に巻き込まれていきます。

ここでは人形やわらべ歌、子どもといった童心的要素と、ショッキングな殺人シーンの数々などが観る者にトラウマをもたらすほど巧みな対比となっています(そして時折、意外なまでのユーモラスなシーンも!)。

またこの作品でゴブリンがアルジェント作品の映画音楽を担当するようになったことも特筆しておくべきでしょう。

『サスペリア』とは無関係とは言いつつ、この作品におけるキャメラワークや画面構図、音響効果、小道具の使い方などなど、かなり『サスペリア』はもとより後々のアルジェント監督作品に反映されているのも事実で、まだアルジェント映画に触れたことのない方は、やはりこの2作をまずは押さえてから恐怖と魅惑の迷宮世界へ入り込んでいくのが得策かもしれません。

なお『サスペリアPART2』のヒロインを務めたダリア・ニコロディはアルジェント監督と公私にわたるパートナーであり、ふたりの間に生まれた女優のアーシア・アルジェントも『トラウマ/鮮血の叫び』(93)『スタンダール・シンドローム』(96)など父ダリオの作品に多数出演しています。

そもそも『サスペリア』を企画したのも彼女とのことで、共同で脚本も担当しているのでした。

(文:増當竜也)

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ライタープロフィール

増當竜也

増當竜也

増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画新作すべてのレビューをめざす『戯画日誌』、『衛星劇場プログラムガイド』誌に、毎月オンエアされる松竹映画名作群の見どころなどを紹介する『シネマde温故知新』を連載中。

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