『東京喰種 トーキョーグール【S】』を見る前に、1作目も要チェック!

©石田スイ/集英社
©2019「東京喰種【S】」製作委員会

2019年も既に夏休みに向けての超大作などが競ってお目見えされ始めていますが、その中で7月19日より公開される『東京喰種 トーキョーグール【S】』も見逃し厳禁の面白さで迫るシリーズ第2弾です。

今回は『S』の予習復習も兼ねて、2017年に公開された映画第1作『東京喰種 トーキョーグール』を改めてご紹介したいと思います。まだご覧になってない方は、この機会に是非どうぞ。

半人半喰種と化した
若者の苦悩と戦い

映画『東京喰種 トーキョーグール』は2011年から週刊ヤングジャンプにて連載されて話題を集め、14年からは新編『東京喰種 トーキョーグール:re』として人気を博し、コミックの全世界発行部数累計4000万部を超える大ヒットとなった石田スイの漫画を原作に実写化したバトル・ダーク・ファンタジーです。

東京喰種 トーキョーグール 新メイン

(C)2017「東京喰種」製作委員会

舞台となるのは、いつかどこかの街・東京20区。

この世界では、人の姿をしながら人肉を喰らう種族“喰種(グール)”が跋扈しています。

ある日、大学生のカネキ(窪田正孝)は美しい女性リゼ(蒼井優)とデートしますが、彼女の正体はグールで、捕食されようとしたところ不慮の事故で難を逃れます。

しかし瀕死の重傷を負った彼は、病院で何とリゼの臓器を移植されてしまいました。

手術は成功したものの、目を覚ましたカネキはそれ以降人間が普通に口にする食べ物を一切受け付けられなくなり、代わって人肉に食欲をそそられるようになっていきます。

まもなくしてカネキは、喫茶店“あんていく”のマスター・ヨシムラ(村井國夫)と店員のトーコ(清水富美加)に助けられます。

グールであることを隠し、ひっそりと生きながら人間との共存を望み続けている彼らから、自分が半人半グールと化してしまったことを知らされたカネキは、人としての尊厳と生きていく上での食欲の狭間に立たされ、精神的にも肉体的にも追い詰められていきながらも、グールたちの実情などを知らされ、またそれによってさらなる葛藤も生まれていきます。

そんな中、グールの駆逐をめざす喰種対策局(CCG)の一等捜査官アモン(大泉洋)らが20区に現れ……。

「生」の苦悩を描いた
エンタメ青春映画

本作は人が人を喰らうカニバリズムをベースに置いたダーク・ファンタジーであり、グールたちの葛藤や熾烈な戦いを描いたバイオレンス・バトル・アクション映画であり、その中から全ての生き物は他の生き物を捕食しなければ生きていけないという宿命を、エンタテインメントの形を借りて訴えていく稀有な面白さを持った作品です。

その成功要因として第一に挙げられるのは、実写化に際してのキャスティングで、特に主人公カネキを演じる窪田正孝は原作から飛び出てきたかのように2次元から3次元への転換を見事に体現してくれています。

もともとは平凡な一男子に過ぎなかった彼ですが、数奇な運命に弄ばされながら苦悩していく姿は、もし自分がグールだったら? といった想いまで観る者に募らせてくれるものがあるのです。

その他、清水富美加や大泉洋、桜田ひより、白石隼也など総じて原作のイメージを裏切らないキャスティングが組まれており、漫画やアニメーションの実写映画化として大事な点がきちんと押さえられているのが本作の美徳といえるかもしれません。

中でも個人的にお気に入りなのは喫茶店あんていくマスター役の村井國夫で、さりげなく淡々とした雰囲気の中からカネキの苦悩を優しくいたわる存在感など、まさにいぶし銀のベテランならではの味わいです。

監督の萩原健太郎はこれが長編映画デビュー作ですが、エネルギッシュな演出の中から「生」に悩む若者の苦悩を醸し出す青春映画として屹立させています。

驚いたのは音楽で、ここでは『マトリックス』3部作(99~03)や『エネミー・ライン』(01)などで知られるハリウッドの作曲家ドン・デイヴィスを起用していることで、本作で世界に打って出ようという製作サイドの意思と、その期待に応えた幽玄かつダイナミズムを保持した楽曲が奏でられていきます。

本作は興収11億円のクリーンヒットとなり、DVD化されたときのレンタルランキングでは初登場1位を計上するなど、多くの映画ファンの支持を得ました。

『東京喰種 トーキョーグール【S】』は、その勢いに乗せて取り組んだ第2弾です。

この機会にぜひ第1作を見直して、映画館で第2作に接してみてください。

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(文:増當竜也)

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ライタープロフィール

増當竜也

増當竜也

増當竜也 Tatsuya Masutou 鹿児島県出身。映画文筆。 朝日ソノラマ『宇宙船』『獅子王』、キネマ旬報社『キネマ旬報』編集部を経て、フリーの映画文筆業に就く。 取材書に『十五人の黒澤明』(ぴあ刊)、『特撮映画美術監督・井上泰幸』(キネマ旬報社刊)など。 編集書に『40/300 その画、音、人』(佐藤勝・著)『神(ゴジラ)を放った男/映画製作者・田中友幸』(田中文雄・著)『日記』(中井貴一・著)『日記2』(中井貴一・著)『キネ旬ムック/竹中直人の小宇宙』『同/忠臣蔵映画の世界』『同/戦争映画大作戦』(以上、キネマ旬報社刊) その他、パンフレットやBD&DVDライナーノートへの寄稿、取材など多数。 ノヴェライズ執筆に『狐怪談』『君に捧げる初恋』『4400』サードシーズン(以上、竹書房刊) 現在『キネマ旬報』誌に国産アニメーション映画新作すべてのレビューをめざす『戯画日誌』、『衛星劇場プログラムガイド』誌に、毎月オンエアされる松竹映画名作群の見どころなどを紹介する『シネマde温故知新』を連載中。

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